ICT工夫

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科学的開票作業

2007-04-01 21:49:04 | 行政・議会

2007年4月1日の毎日新聞新聞山梨版に宇都宮さんの署名記事で「県議選 笛吹・南アルプス・北杜の各市、開票迅速化へ」がありました。

 笛吹、南アルプス、北杜の3市は、今回の県議選で、開票作業を改善して迅速化し、開票開始から1時間以内の確定を目指す。開票の進み具合に応じて、1人の職員が開票や集計など何役もこなす方式を導入する。自分の担当以外はやらなかった従来の方法と比べて、開票作業に従事する職員数と作業にかかる時間を減らせ、職員の時間外手当なども抑えられる。

 早大マニフェスト研究所(所長、北川正恭・早大大学院教授)が提案する改善策を取り入れた。ほかに、疑問票を最後に回さず、判定係を用意する▽立って作業をしやすいよう机の高さを調節する--などで、福島県相馬市や長野県小諸市、東京都府中市などで大幅な時間短縮ができた。笛吹市は前回知事選(1月)から導入し開票後51分で確定。南アルプス、北杜の両市は知事選の際に市民から「笛吹市は確定したのに、まだ終わらないのか」と苦情もあり、今回の県議選から導入した。

 笛吹市は疑問票の処理に弁護士2人が立ち会い判定を早める。南アルプス市は開票を始める時間を15分繰り上げ、投票箱の鍵の点検は開票前に済ませておくなどで全体の時間を縮める。北杜市も立会人が開票を見るのを許可したり、疑問の余地のない票は多めに束ねて審査に回すなどの工夫で時間短縮をはかる。

 一方、大票田の甲府市は投票用紙の自動読み取り機の導入で迅速化を目指す。1月の知事、市長の同日選挙では計6台の読み取り機を3台ずつ分けて使い、前回より約1時間短い約2時間半で確定。従事の職員も435人から317人に減らした。今回の県議選も前回より50分早い午後11時半までの確定を目指す。

という内容から、どこかでこの話があったように思い出して調べたら、産経新聞山梨版が1月19日の記事で「開票短縮無理なの? 同規模・府中市52分 甲府市“午前様”ネック」として報じていました。

この記事では、甲府市では『新兵器に投票用紙の自動読み取り機6台を導入したが、「機械導入は職員の人員削減のため」』ということで、その結果が毎日新聞で報じられたということになります。

早大マニフェスト研究所のサイトは先日来工事中なので以前に読んだページと異なりますが、「0.1秒の努力」資料にある、「0.1秒の努力マニュアル」や「多摩市・府中市資料」をざっと見ても、投票用紙の自動読み取り機を府中市が使ったということは書かれていないようです。

投票用紙の自動読み取り機は1台250万円から300万円ほどするようですね。

「処理能力は1分間に400票と、手作業の20倍は早い。職員は、投票用紙のタテヨコをそろえるだけでいい。後は機械が候補者名を自動的に読み取り、振り分けてくれる。」(朝日新聞

しかし、『前回読み取り機を使った滑川市選管は「読み取れない票が多く、余計、手間取ったかもしれない」と判読能力に疑問を投げかける。氷見市選管は今回、読み取り機を使わない方針だ。』(朝日新聞)という記事もあります。甲府市の知事選開票ではどのような成果があったのか、問題はなかったのか、そういうことが知りたいです。


国会の議事録も検索にヒットしましたが、第151回国会 政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会平成13(2001)年3月30日の中に次のような答弁がありました。

『どうもこの機械の特徴といたしますと、一回に分類できる票の種類が四種類から十種類ぐらいということでございますから、非拘束名簿比例代表制にこれを使うのはなかなか難しい、選挙区選挙の方は可能性があるということでございます。それから、大体分類速度が一時間当たり一万二千票ぐらいなんですね。』

甲府市野中一二市議のブログで、知事選開票大幅短縮では、知事選の時のNHK出口調査速報のことで締めくくられていますが、ここに書かれている 「全ての作業を円滑にこなすという原点は、職員の人力のなせる技である。トヨタのカンバン方式を見習ってほしいと考える問題である。」と言う点に私は賛成なのです。

私のホームページでも使っているように二次元バーコードをはじめとして、情報の自動読み取りの為のシステムは街中に溢れている時代です。手書き文字認識にまで話を拡げる知識も能力もありませんが、1台300万円のおそらく光学式手書き文字認識システムは、どこのメーカーの何という製品なのかは知りたいです。はっきり言えば、こんなものを導入した事に胡散臭さすら感じます。

北川さんの研究所のドキュメントを拝読していると、公務員さん達は今更何をやっているのだろうという感想しかありません。製造工場の現場で作業研究をし工程改善をし能率を高める仕事に熟達した方々は全て同様にお考えになるはずです。

300万の金を使うなら、そういう経験豊富な中小企業診断士、コンサルタント、企業の生産技術、生産管理の専門技術者などのお知恵をまず借りることです。甲府市にも大勢いらっしゃる、開票作業改善のために北川さんの研究所まで出かける必要はありません(もちろん行政的な理論的な検討には北川さんのお知恵も大切です)。

なによりも、現在の行政がこういう問題で最初に面談するのは読み取り機メーカーのセールスマンでは無いはずだと思う今日この頃です。年に一度使うか使わないかという機械に1台300万円、贅沢なお仕事ですね。

「科学的開票作業」というタイトルは意味深なんです(^o^)、産業能率大学日本科学技術連盟日本能率協会社会経済生産性本部(旧日本生産性本部)、工業経営研究学会日本経営工学会さんあたりに関係しています。いずれも甲府市行政機構からは忘れられた存在かも知れませんが。