⚫︎1. 服のリサイクルが必要な理由とは?
近年はファストファッションの世界的な流行により、低価格でおしゃれな服を気軽に購入し、誰でもトレンドのファッションを楽しめるようになりました。しかしながら、服を簡単に手に入れられるようになったことで、数回しか着ていない服を処分して新しい服を購入するなど、買い替えのサイクルが早まったと感じる方も多いのではないでしょうか。
2019年の世界経済フォーラムの調査によると、世界では廃棄された服の7割以上が焼却されたり埋め立てられたりしており、リサイクルとして回収されるのは1割程度であるとのこと。大量生産、大量消費、その結果としての大量廃棄は、世界的にも大きな社会課題となっています。着なくなった服をただ捨てるだけでなく、再び誰かに着てもらうリユースや、別の何かに生まれ変わらせるリサイクルで、服の廃棄量を減らしていくことは、世界的にも早急に取り組まなければならない課題の1つとなっています。
⚫︎2. 服を捨てずに再利用する方法とは?
一般的に「服のリサイクル」と聞くと、着なくなった服を捨てずに、回収して再利用することをイメージしますが、回収した服を再利用する方法には、リユースとリメイク、そしてリサイクルの3つのパターンがあります。
1.リユース(古着)
同じ服として再着用、再利用するのがリユースです。「デザインが飽きた」「サイズが合わなくなった」と不要になった服でも、着られる状態であれば別の人に着てもらうことで無駄なく活かすことができます。通常、アパレルショップで行われている「リサイクル」は、このリユースである場合が多いです。リユースは、物をそのままもう一度使う方法なので、回収した服から新しい製品を作るために必要なエネルギーを使いません。CO2排出量も少なく済み、再生産の企画、製造、輸送などの手間や費用も発生しません。一部の古着は、着古されているからこそ、新品の色合いとは違う独特の風合いを持つ古着として、また製造が終了している希少なアイテムとして、新たな価値を持つ場合もあります。
2.リメイク(アップサイクル)
不要になった服の素材を使い、元の服とは別の形に作り直し、新たな使い方をするのがリメイクです。最近ではサステナブルなものづくりの方法論として、元の素材を活かしながら、さらに高い価値のものに生まれ変わらせる 「アップサイクル」も人気があります。例えば、着なくなった着物や帯を使い、和の伝統美を活かしつつ、現代風な洋服やバッグとして新たな命を吹き込むなど、魅力的なアイテムが次々に誕生しています。リメイクは、長年着用し思い出が詰まった服のさまざまな生地を組み合わせ、服だけでなく、バッグや帽子、ランチョンマットやクッションカバーなど、さまざまな形に生まれ変わらせることができます。最近では、子どもの使い終わったランドセルを使い、財布やキーホルダーを作る方も増えています。
3.リサイクル
ショップによっては、リサイクルボックスに投函された服の再利用には、そのまま着られる服は古着(=リユース)として寄付し、それ以外のものは、使えるパーツに分解し、再び新しいテキスタイルの資源として再利用しています。「リサイクル」とは、このように廃棄予定の衣類を資源レベルで再利用することです。
⚫︎3. 簡単にできる衣服の回収サービスの利用方法
要らなくなった服を捨てずにリサイクルなどに出す方法には、いくつか選択肢があります。ここでは誰でもすぐにできる3つの方法をご紹介します。
1.店舗に持って行く
まずは、自社ブランドの服限定で、店頭で無料回収してくれるアパレルブランドなど、色々あるので自分に合った場所 を探してみてください。
2.自治体や団体に寄付
自治体によっては、不用になった服を事業者が買い取り、その売却代金をその自治体に寄付できる取組みを行っているところもあります。また、NPO法人への寄付を通して海外の衣料支援に役立てることもできます。いらない服を処分するだけで地域や海外の社会貢献ができるという、一石二鳥な方法です。
3.リサイクル業者を利用
リサイクルを専門としている業者を利用して、着なくなった服を引き取ってもらうこともできます。有料にはなりますが、廃品回収など幅広い不用品処分に対応している業者もあるので、引っ越しの際に、服だけでなく家具や家電などをまとめて処分したいときに依頼すると便利です。
⚫︎4. 常設で衣服の回収サービスを行っているアパレルブランド11選
近年では、ファストファッションブランドを中心 に、服を回収してリサイクルやリユースにつなげるブランドも増えてきました。ここでは、常設で古着の回収サービスを展開しているブランドを紹介します。服を購入したお店にリサイクルボックスが設置されているかどうか、ぜひ一度確認してみてください!
1. ユニクロ
店内に設置された回収ボックスで不要になった服を集めてリユースし、ニーズに合わせて世界中に届ける取り組みをしています。送付先は難民キャンプや被災地への緊急災害支援など。また、リユースできないものは燃料や防音材に加工し、燃料・素材としてリサイクル。最近では新しい試みとして「服から服へのリサイクル」に挑戦し、「リサイクルダウンジャケット」など、ダウン商品を中心に展開しています。
リサイクル対象商品 全てのユニクロ商品とGU商品
回収方法 店舗に設置されているRE.UNIQLO回収ボックスへ持ち込み
特典 期間によっては、割引クーポンがもらえる限定キャンペーン有
参照 ユニクロのリサイクルの取り組み
【ウェブサイト】
ユニクロ2. GU
ユニクロと並んでファストファッションの代表格であるGUでも、ユニクロ同様、全GU商品とユニクロ商品をリサイクルしており、リサイクルの仕組みも一緒です。なお、ユニクロとは異なり、GUではリサイクル協力によるマイル制度があるのが特徴です。
リサイクル対象商品 全てのユニクロ商品とGU商品
回収方法 店舗に設置されている回収BOXへ持ち込み
特典 1人1日1回に限り、専用アプリでQRコードを読み取るとGUで使えるマイルがもらえる
参照 GUのリサイクルの取り組み
【ウェブサイト】
GU3. H&M
回収された服は最寄りの再生プラントへ運ばれ、リサイクル事業に使われます。また、回収サービスで得られた過剰金は、繊維リサイクルの研究機関や社会活動に寄付しているそう。さらにH&Mメンバー限定でマイバッグの持参や古着回収サービスの利用などに応じて特典がもらえる「Consciousポイント」も導入され、サステナブルなアクションをさまざまな点から促進しています。
リサイクル対象商品 どのブランドのどんな状態の服でもOK(レザーは対象外)
回収方法 店舗に設置されているリサイクルボックスへ持ち込み
特典 古着を入れた袋1つにつき、3,000円以上の買い物で使える500円割引クーポンが1人1日最大2枚まで配られる。さらにH&Mメンバー限定のポイントももらえる。
参照 H&Mのリサイクルの取り組み
【ウェブサイト】
H&M オンラインショップ
4. 無印良品
無印良品では、対象製品は分類され、着ることができるものはリユースされて、染め直して新たな商品として販売されています。着ることができないものは繊維に含まれる綿をバイオエタノールに、またポリエステル繊維をもう一度ポリエステル繊維の原料であるポリエステル樹脂へとリサイクル。回収方法は無印良品、MUJIcom、MUJItoGOの店舗への持ち込みになります。
リサイクル対象商品 無印良品の繊維製品全般(くつ下と下着を除く)
回収方法 回収ボックス等はないので、スタッフに声をかける
特典 対象製品の持ち込み1日につき1回、無印良品のお買い物に使えるMUJI passport 1,000マイルを付与
参照 無印良品のリサイクルの取り組み
【ウェブサイト】
無印良品 オンラインショップ
5. ZARA(ザラ)
ZARAでは集められた衣類は赤十字をはじめとする、ZARAが協力する世界中の非営利団体の分類センターに運ばれます。その後は、必要としている人たちへの寄付やソーシャルプロジェクトの資金、別の製品となって再販売、新しい繊維や建築、自動車向けの素材へリサイクルなど、さまざまな用途に使われます。
リサイクル対象商品 ZARAの商品に限らず、すべての衣類やテキスタイル商品
回収方法 店舗に設置されたコンテナに持ち込み
特典 特になし
参照 ZARAのリサイクルの取り組み
【ウェブサイト】
ZARA6. URBAN RESEARCH(アーバンリサーチ)
ダウン率50%以上の羽毛製品、もしくはGreen Down Projectのダウン製品と、アーバンリサーチの服を回収しています。ダウン製品は羽毛をリサイクルし、再生羽毛を使った新たな商品として企画販売されています。また、回収したアーバンリサーチの服は、廃棄衣料をアップサイクルするサステナブルブランドの「commpost(コンポスト)」の原料として再利用されています。
リサイクル対象商品 ・ダウン率50%以上の羽毛製品 ・Green Down Projectのダウン製品
・アーバンリサーチの服
回収方法 アーバンリサーチの回収BOXに持ち込み
特典 特になし
参照 Green Down Project アーバンリサーチのリサイクルの取り組み
【ウェブサイト】
アーバンリサーチ 【ウェブサイト】アーバンリサーチオンラインショップ
7. パタゴニア(Patagonia)
パタゴニアでは、回収された商品のうち、まだ着られるものは古着としても再利用され、もう着られないものは新しい繊維や生地にリサイクルされています。リサイクル原料による新商品の開発にも積極的で、現在パタゴニア製品の素材の64%はリサイクル原料が使用されています。
リサイクル対象商品 全パタゴニア商品
回収方法 店舗に設置された専用ボックスへの持ち込みか、パタゴニア流通センターへの送付(別途送料必要)
特典 特になし
参照 パタゴニアのリサイクルの取り組み パタゴニアのリサイクル方法
【ウェブサイト】
パタゴニア8. スノーピーク(Snow Peak)
「服から服へ」「テントから服へ」を掲げるスノーピークでは、回収したテントや衣類の生地からポリエステル以外の繊維を取り除き、原料となる再生ポリエステル樹脂を製造。それらをさまざまな糸へと変身し、服の原料となる、ポリエステル繊維に変換します。そして、そうした原料を無駄なく使う、一着丸ごと立体的に編み上げるニットウェア「ホールガーメント」として再び店頭に並びます。