トラウマといえばPTSDがすぐ引き合いに出されますが、トラウマに直接関わる疾患は、決してPTSDだけではありません。
PTSDが生じるようなトラウマ受傷の際に、
PTSDと併発しやすく、PTSDと似た症状も起こしながら、しかしPTSDとは異なる重要な疾患として、
TBI(Traumatic Brain Injury:外傷性脳損傷)とくにmTBI(mild Traumatic Brain Injury:軽度外傷性脳損傷)と、
MI(Moral Injury:道徳的負傷(モラルインジャリー))の2つの損傷(Injury)を、忘れるわけにはいきません。
(m)TBIは物理的かつ心的なトラウマ性損傷であり、MIは心的かつ道徳的なトラウマ性損傷です。
どちらもPTSDとはちがう疾患ですが、PTSDとよく似た症状を生じ、またそれ自体がPTSDを生じる一因にもなるとみられています。
苟もトラウマが、からだ・こころ・社会の総体において把握される必要があるものだとすれば、単にPTSDを診るだけでなく、
(心的外傷が物理的な損傷も伴なう場合には)(m)TBI((軽度)外傷性脳損傷)を、
(心的外傷が道徳的な損傷も伴なう場合には)MI(道徳的負傷(モラルインジャリー))を、合わせて診る必要が出てきます。
この2種類のトラウマ的な「損傷」(Injury)について、これから少し詳しくみていきたいと思います。