2013年1月15日に亡くなられた映画監督、大島渚さんの言葉です。
今年、そのご子息である武さんと新たさんとで、本を出されました。
大島渚の発した言葉の中から、50の言葉を選び、それぞれのお立
場からその言葉にまつわる思いを書かれています。その中の一つが
タイトルにもなったこの言葉です。
この本は、たんに「ウチでは、こんなパパでした」というだけの本には
したくありませんでした、と武氏が前書きで述べているとおり、お二人
ともご自身の立場から、素直な感性と分析力で、記述しています。
ますます大島渚監督に興味を持ち、作品をじっくり見なおしたいし、見
ていない作品も見てみたいと思いました。
それにしても、大島監督の映画って良くわからないと思う方もいると思
います。それについては、本書の中でこんな引用があります。
「とかく映画作家の魅力を○○ して語りたがるジャーナリストや観客に
とって、常に毅然と○○ を拒んできた大島の映画群とつきあうことは、
いささか過酷であったかもしれない」
(樋口尚文著「大島渚のすべて」キネマ旬報社2002年)
さて、○○ に入る言葉は何でしょうか? 二字熟語です。
私はこれを読み、そうだったのか、腑に落ちた、という気がしました。
もしよろしかったらご一読を。
「君たちは、なぜ、怒らないのか」日本経済新聞出版社(1500円+税)
そういえば、思い出したことがあります。
日本舞踊家の花柳幻舟さんのことです。彼女は家元制度はおかしいと、
家元傷害事件を起こしたり、いろいろお騒がせの人で、TVのワイドショー
や週刊誌ネタにされていました。その後、今から10年以上前でしょうか、
お会いする機会があり、当時のことを、正確な言葉は忘れましたが、概ね
次のように述べていました。
「家元制度はおかしいと思った、それに対する抗議から、あのような行動
に出た。今思えば、自分に教育がなかったから、あのような事件を起こし
てしまった。当時マスコミなど社会のどこからも批判され叩かれた。味方
になってくれたのは、大島渚監督ただ一人だった」
大島渚監督にタブーはないのだ。