「ふみの時」神野文子(じんのふみこ)のブログです。

朗読家・声優・ナレーター・朗読教室主宰・大学非常勤講師・パフォーマンスインストラクターの神野文子の最新情報など。

君たちはなぜ、怒らないのか

2014-09-03 | アート

2013年1月15日に亡くなられた映画監督、大島渚さんの言葉です。

今年、そのご子息である武さんと新たさんとで、本を出されました。

大島渚の発した言葉の中から、50の言葉を選び、それぞれのお立

場からその言葉にまつわる思いを書かれています。その中の一つが

タイトルにもなったこの言葉です。

この本は、たんに「ウチでは、こんなパパでした」というだけの本には

したくありませんでした、と武氏が前書きで述べているとおり、お二人

ともご自身の立場から、素直な感性と分析力で、記述しています。

ますます大島渚監督に興味を持ち、作品をじっくり見なおしたいし、見

ていない作品も見てみたいと思いました。

それにしても、大島監督の映画って良くわからないと思う方もいると思

います。それについては、本書の中でこんな引用があります。

「とかく映画作家の魅力を○○ して語りたがるジャーナリストや観客に

とって、常に毅然と○○ を拒んできた大島の映画群とつきあうことは、

いささか過酷であったかもしれない」

(樋口尚文著「大島渚のすべて」キネマ旬報社2002年)

さて、○○ に入る言葉は何でしょうか? 二字熟語です。

私はこれを読み、そうだったのか、腑に落ちた、という気がしました。

もしよろしかったらご一読を。

「君たちは、なぜ、怒らないのか」日本経済新聞出版社(1500円+税)

 

そういえば、思い出したことがあります。

日本舞踊家の花柳幻舟さんのことです。彼女は家元制度はおかしいと、

家元傷害事件を起こしたり、いろいろお騒がせの人で、TVのワイドショー

や週刊誌ネタにされていました。その後、今から10年以上前でしょうか、

お会いする機会があり、当時のことを、正確な言葉は忘れましたが、概ね

次のように述べていました。

「家元制度はおかしいと思った、それに対する抗議から、あのような行動

に出た。今思えば、自分に教育がなかったから、あのような事件を起こし

てしまった。当時マスコミなど社会のどこからも批判され叩かれた。味方

になってくれたのは、大島渚監督ただ一人だった」

大島渚監督にタブーはないのだ。


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