Dr. 讃井の集中治療のススメ

集中治療+αの話題をつれづれに

Intensivist Vol. 5 No. 4 急性呼吸不全 刊行されました

2013-10-17 02:30:05 | 呼吸

諸事情で一ヶ月あまりさぼっていました。すみません。

お陰様でIntensivist Vol. 5 No. 4が,10月15日に刊行となりました。

世界標準の集中治療の紹介を、そして、まとめて教科書として活用できるような集中治療のレヴュー雑誌を、という主旨で始まったIntensivistもおかげさまで創刊からまる5年。第1号から数えてちょうど20号が揃いました。

今回は,東京ベイ浦安・市川医療センター 呼吸器内科・集中治療科の則末 泰博 先生をゲストエディターにお迎えして、272ページと過去最大のページ数となりました。ICUで頻繁に見かけるARDS以外の急性呼吸不全をきたす疾患に関して、集中治療医が知っておくべき知識がちりばめられています。則末先生の熱い思いが詰まった特集です。

呼吸で始まり呼吸で終わる(いや終わりません、区切るが正しい。Intensivistはまだつづきます。2014年の特集テーマも決まりました)。集中治療の花形の呼吸の特集としてARDS、呼吸器離脱につづく第3号目です。感慨深いものがありますね。

しかし、しかし........。

実は、そんな悠長なことも言っていられず、来年1月号の特集「鎮痛・鎮静」の編集が佳境に入ってきました。こちらも乞うご期待です。

Intensivist Vol. 5 No. 4
特集 急性呼吸不全

本特集は肺炎,心不全,ARDS“以外”の急性呼吸不全を診断し,対応できる集中治療医になるために役立つ知識を提供することを目的としています。例えば,胸部画像にて両側肺浸潤影を呈する急性呼吸不全に遭遇したとき,多くの集中治療医は上記の三病態に関しては,診断および治療を進めていくことができると思います。しかし,それら以外の病態をもつ患者に遭遇したときに,他の鑑別疾患が頭になければ,正しい診断および治療計画を立てることはできません。場合によっては「ステロイド反応性の肺疾患」として盲目的にステロイド治療を始めてしまうこともあるかもしれません。また,びまん性肺疾患の増悪による急性呼吸不全など,集中治療医が診ることの少ない疾患を中心に,呼吸器科医のバックグラウンドをもたない若手集中治療医が苦手と思われる部分を補うことができるような内容を目指しています。

第1章 呼吸器疾患総論
1. ベッドサイドで使える低酸素血症の呼吸病態生理学:
 呼吸不全診療で着目すべきポイント
 則末 泰博 東京ベイ・浦安市川医療センター 呼吸器内科・集中治療科

2. 急性呼吸不全の疫学:ICUで遭遇しやすい原因疾患に焦点をあてて
 岡本 賢太郎 東京ベイ・浦安市川医療センター 総合内科
 藤谷 茂樹 東京ベイ・浦安市川医療センター/聖マリアンナ医科大学 救急医学

3. 急性呼吸不全の画像診断:どのように鑑別疾患を絞り込むか
 中本 啓太郎・皿谷 健 杏林大学医学部 呼吸器内科

4. ARDS以外の人工呼吸器管理:閉塞性肺障害および拘束性肺障害を中心に
 牧野 淳 Mount Sinai大学病院 集中治療室
 讃井 將満 自治医科大学附属さいたま医療センター 集中治療部

第2章 呼吸器疾患各論
5. 慢性閉塞性肺疾患
Part 1:COPD急性増悪
  大西 尚 明石医療センター 呼吸器内科

Part 2:気管支喘息重積発作:薬物療法と気道確保の有効性の検討
  天谷 文昌 京都第一赤十字病院 麻酔科
  橋本 悟 京都府立医科大学 麻酔科・集中治療部

【コラム】気管支喘息重積発作およびCOPD急性増悪に対するステロイド:
     エビデンスから考えるその適正量と減量法
     瀬尾 龍太郎 神戸市立医療センター中央市民病院 集中治療部

【コラム】COPD急性増悪には全例抗菌薬が必要か?:何を指標として投与を行うか
     北薗 英隆 東京ベイ・浦安市川医療センター 総合内科

6. びまん性肺疾患
Part 1:総論と診断の進め方:実臨床で注目するべきポイント
  喜舎場 朝雄 沖縄県立中部病院 呼吸器内科

Part 2:特発性肺線維症の急性増悪の診断と治療:実践可能な方法の検討
  一門 和哉 済生会熊本病院 呼吸器科

Part 3:ICUで遭遇する可能性のある特発性肺線維症以外のびまん性肺疾患による
  急性呼吸不全の診断と治療
  小倉 靍志 神奈川県立循環器呼吸器病センター 呼吸器内科

【コラム】特発性肺線維症の急性増悪に対するPMX-DHP療法:
    有用性,安全性,そして今後の展望
     橘 和延 国立病院機構近畿中央胸部疾患センター 呼吸器内科,
         呼吸不全・難治性肺疾患研究部
     井上 康 国立病院機構近畿中央胸部疾患センター 呼吸器内科
     井上 義一 国立病院機構近畿中央胸部疾患センター 呼吸器内科,
          呼吸不全・難治性肺疾患研究部

【コラム】特発性肺線維症急性増悪の治療:エビデンス不在の領域
     則末 泰博

【コラム】特発性肺線維症の急性増悪により急性呼吸不全をきたした患者は
     挿管されるべきか?
     金城 紀与史 沖縄県立中部病院 総合内科

7. 神経筋疾患─謎の低換気:急性呼吸不全と神経筋疾患
 蘇原 慧伶,皿谷 健 杏林大学医学部 呼吸器内科

8. 気管支肺胞洗浄,肺生検:これらは治療方針を変え得るか?
 西田 功史 University of Utah Division of Pulmonary/
       Critical Care Medicine

9. 肺高血圧症に伴う右心不全:
 その基礎的病態と利用可能なエビデンスに基づく治療の原則
 齊藤 茂樹 Section of Pulmonary Diseases, Critical Care and Environmental
       Medicine Department of Medicine, Tulane University School of
       Medicine

10. びまん性肺胞出血:困難な診断・治療に対するエビデンスからの検討
 永田 一真・富井 啓介 神戸市立医療センター中央市民病院 呼吸器内科

第3章
11. 急性呼吸不全の鑑別とマネジメント
Part 1:症例ベースで学ぶ急性呼吸不全の初期対応
  仁科 有加 東京ベイ・浦安市川医療センター 総合内科
  則末 泰博

  Part 2:症例ベースで学ぶ非代償性右心不全
  則末 泰博

Part 3:症例ベースで学ぶ治療抵抗性肺炎
  北村 浩一・平岡 栄治 東京ベイ・浦安市川医療センター 総合内科

12. 「特集 急性呼吸不全」解説:ARDSという言葉の魔力
  則末 泰博

【連載】
■Lefor’s Corner
 第9回:Ventilator Management:
 Part V. Patient Care after Liberation from the Ventilator
 Alan T. Lefor Department of Surgery, Jichi Medical University

■ICUフェローからのメッセージ
 第21回:0から始めるオーストラリア留学
 岡田 一宏 St. Vincent’s Hospital ICU

■集中治療室目安箱:ナース/ME,私の言い分
 第16回:臨床工学技士が集中治療室に常駐する意義について考える
 上岡 晃一 東京医科大学病院 臨床工学部

■え?知らないの? CRRTの膜素材の特徴
 林 久美子 岡山大学病院 高度救命救急センター 臨床工学部

■集中治療に関する最新厳選20論文
 柳井 真知 聖マリアンナ医科大学 救急医学
 藤谷 茂樹 

■JSEPTIC-CTG活動報告
 第4回:重症急性膵炎に対する局所膵動注療法についての後向き多施設観察研究への
お誘い
  堀部 昌靖 多摩総合医療センター 消化器内科
  佐々木 満仁 国立がん研究センター中央病院 肝胆膵内科
  讃井 將満 JSEPTIC-CTG/自治医科大学附属さいたま医療センター 集中治療部

■JSEPTIC簡単アンケート
 第10回:感染に起因するDIC,ICUにおけるチーム医療,脳外科ICU
  内野 滋彦 東京慈恵会医科大学 麻酔科 集中治療部