平成20年(ワ)19402
請求棄却
携帯用害虫駆除装置についての発明の進歩性が否定されたものです。清水裁判長です。
引用発明として、乙13第2発明と乙14発明があり、①ア)両者は、殺虫剤を含む液体を、気化して一定領域に拡散させて虫を駆除又は忌避するという共通の技術的課題を有するものであり、また、イ)殺虫剤を含む液体を気化して拡散させる装置に関する発明という点で技術分野が共通していること、②屋外において顔、首筋などの露出面から害虫を忌避する必要性は、周知の課題であり、この課題を解決するために、害虫防除装置を身に付けて携帯することは、当業者に周知の技術であったといえるから、乙13第2発明と乙14発明(使用者が身に付けるための保持手段)を組み合わせる動機付けがあり、容易想到であると述べています。
動機付けを基礎づける課題について、当職は、当該文献に記載がなくとも「周知の課題」であれば足りると考えていますが、この裁判例は、この見解の正当性を示すものといえます。もっとも、本件において、動機付けを基礎づける課題は、「屋外において顔、首筋などの露出面から害虫を忌避する必要性」ですから、①のア)は不要のように思います。
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