知的財産研究室

弁護士高橋淳のブロクです。最高裁HPに掲載される最新判例等の知財に関する話題を取り上げます。

二重瞼審取

2013-01-15 08:54:02 | 最新知財裁判例

1 平成24年(行ケ)第10133号審決取消請求事件
2 本件は、無効審判請求不成立審決の取消しを求めた訴訟であり,争点は,同法29条2項違反の有無です。
3 本判決は、「甲2発明の従来技術として,剥離性台紙等に貼り合わせられた粘着シート上に上瞼の曲線に応当する三日月形状のような所望の形状の切抜線を刻設したものが瞼整形用貼着片として市販されていたところ,剥離性台紙上の瞼整形用貼着片の輪郭が識別し難く剥ぎ取りが極めて困難であったことから,甲2発明は,台紙付粘着シートと台紙との光の透過率の差を利用し,目印等を印刷することなく所望形状の切抜シート片の識別及び剥ぎ取りを容易にしたものであることが認められる」と認定し、「甲2発明の「瞼整形用貼着片」は,「三日月形状」のような上瞼の曲線に沿った形状であり,この形状を利用して瞼の整形を行うものであって,瞼整形用貼着片を構成するプラスチツクシートは,変形しないものであることが予定しされているといえる」と判断した上、「甲2発明の「瞼整形用貼着片」を構成するプラスチツクシートは,「三日月形状」のような上瞼の曲線に沿った形状を利用して瞼の整形を行うものであるから,「延伸可能でその延伸後にも弾性的な伸縮性を有する」ものであるとはいえない。また,甲2発明の「瞼整形用貼着片」を構成するプラスチツクシートは,貼着の前後でその形状が維持されている必要があるから,貼着片であるプラスチツクシートは,「延伸」等によって変形することのないものであることが予定されているのであって,これを延伸可能なものに置換することはできない」とし、「相違点1に係る本件発明1の構成は,当業者が容易に想到し得たものとはいえない」と結論づけました。
4 本件は、要素技術の置換可能性を否定し、容易想到性を否定した一事例として参考になります。


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