今回は、原子力災害対策特別措置法に基づいて原子力緊急事態が宣言されています。
1 同法の柱は以下の4つです。
①原子力災害の予防に関する原子力事業者(たとえば、東電)の義務等
②原子力緊急事態宣言の発出及び原子力災害対策本部の設置
③緊急事態応急対策の実施等
④原子力災害事後対策
2 法律としては、良くできていると思います。執行のシュミレーションが不足していたのでしょうか?
3 各論
原子力緊急事態宣言は、同法15条2項に基づき、避難、屋内退避は、同条3項に基づきます。
同法18条をみると、原子力災害対策本部の事務として、「緊急事態応急対策の総合調整に関すること」が規定されています。法律上も、「総合調整」の重要性が認識されていることが明らかです。
出荷制限は、同法20条3項の「必要な指示」に基づくものと思われます。この指示の名宛人は、行政機関の長、公共機関の長、等です。
自衛隊の支援は、同条4項に基づく「防衛大臣に対する派遣要請」を受けて実施されたものです。防衛大臣が承諾しないと、自衛隊の派遣はできません。
原子力安全委員会は、本部長が、意見を聞いたり、助言を求めたりする相手として位置づけられています(同条6項)。
緊急事態応急対策は、同法26条に詳細に規定されています。 被災者の救援、救助、社会秩序の維持、交通の規制等が規定されています。
原子力災害事後対策は、同法27条に規定されています。居住者等に対する健康診断、心身の健康に対する相談の実施その他医療に関する措置、放射性物質による汚染の有無またはその状況が明らかになっていないことに起因する商品の販売等の不振を防止するための、緊急事態応急対策実施等における放射性物質の発散の状況に関する広報も規定されています。被災者の心のケアの問題、農産物の風評被害の問題も想定されています。
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