知的財産研究室

弁護士高橋淳のブロクです。最高裁HPに掲載される最新判例等の知財に関する話題を取り上げます。

TOB規制(1)

2011-04-07 08:06:16 | M&A

 

1 TOB規制とは何か 

上場会社[1](以下「対象会社」)の支配権を取得した上で、少数株主を排除して完全子会社化すること(以下「スクイーズアウト」)を目的として対象会社の株式を買付けようとする場合(以下、取得しようとする者を「買付者」)、金融商品取引法(以下「金商法」又は「法」)上のTOB規制(公開買付規制)に従う必要がある(法27条の2第1項柱書き)。後記のとおり、TOB規制は、複雑かつ技術的であり、何らかのミスが発生する可能性が高い反面、規制違反に対しては課徴金納付という強い制裁が課せられているため、経験に裏打ちされた十分な注意が必要となる。 

TOB規制は、買付者に対し、買付期間、買付数量、価格等をあらかじめ開示すること等を義務付けることにより、投資家に対する情報開示株主の平等な取扱い[2]を確保しようとするものである。より詳細に述べれば、TOB規制は、以下の複数のルールにより構成されるものである[3]

 

 

 

 

趣旨 

 

規制 

 

①  

一定の株券[4]を多数の者から取得しようとする者がいる場合に、当該株券の全ての所有者に対して売付けの機会を提供するとともに、当該取得勧誘に応じるか否かの判断のために必要な情報開示を確保すること 

5%基準

一部の者のみが支配権プレミアムを独占的に享受することを防止すること 

3分の1基準

③ 

特定の株主が支配権を握った後の会社において、少数株主が不安定な地位に置かれることを防止すること

3分の2基準

④ 

企業買収者間の公平を確保すること

他者の公開買付期間中の強制公開買付け[5]

 

 

また。TOB規制の解釈に当たっては、法令の文言を形式的に当てはめるのみならず、法令の趣旨に遡って解釈することが肝要である[6]。また、レックス最高裁決定の補足意見においては、透明性が確保されているか否かが関連証拠の評価に影響する旨が述べられており、情報開示に関しては、特段の注意が必要である。


 


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