移動通信端末審取
平成23年(行ケ)第10294号 審決取消請求事件
請求棄却
本件は拒絶査定不服審判不成立審決の取消しを求めるものです。
主たる争点は,進歩性です。
裁判所の判断は16ページ以下
1 本判決は、まず、相違点1について、「引用発明では,状態インジケータの表示イメージであるデジタル2(小),1行時計等の選択は,背景要素の表示イメージである壁紙を選択した後に行われる。しかし,待受画面の作成に際して,背景要素の表示イメージを選択してから背景要素上の状態インジケータの表示イメージを選択しても,その反対に,背景要素上の状態インジケータの表示イメージを選択してから背景要素の表示イメージを選択しても,背景要素と状態インジケータとを同時に表示する以上,背景要素の表示イメージの上に状態インジケータが表示されるという画面の構成それ自体に相違はないはずである。また,引用発明について,背景要素上の状態インジケータの表示イメージを選択してから背景要素の表示イメージを選択する構成とすることにより, その実施自体が困難となるような事情も見出せず,背景要素の表示イメージと背景要素上の状態インジケータの表示イメージを選択する順序は,当業者において適宜選択すべき設計的事項であるといわなければならない」と判断しました。
2 本判決は、次に、相違点3及び4について、「周知例1には,携帯電話の待受画面において,状態インジケータの表示イメージである時計とカレンダーの画像とともに,犬の画像が壁紙上の選択された位置で表示されることが記載されている。この犬の画像は,待受画面を構成する表示イメージとして選択され,かつ,状態インジケータの表示イメージとは区別されるものであるから,待受画面の背景要素の表示イメージに相当する構成であって,この犬の画像と壁紙とが,同画面における複数の背景要素となっている。このように,周知例1には,待受画面(基本画面)の背景を複数の背景要素から構成し,かつ,背景要素の表示位置を設定することが記載されているところ,この技術は,本件特許出願に係る優先権主張日当時の当業者の技術常識に照らして,周知のものであった」と認定して上で、「相違点3及び4に係る本件補正発明の構成は,引用発明に周知例1に記載された上記周知技術を適用することにより,当業者が容易に想到することができたものであるということができる」と判断しました。
3 本判決は、引用発明に適用される技術が周知技術であること自体を理由として進歩性を否定した例として参考なると思われます。
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