知的財産研究室

弁護士高橋淳のブロクです。最高裁HPに掲載される最新判例等の知財に関する話題を取り上げます。

Chromax審取(商標)

2012-03-12 05:32:11 | 最新知財裁判例

Chromax審取(商標)
平成23年(行ケ)第10194号 審決取消請求事件
請求棄却
裁判所の判断は4頁以下
本件は、取消審判成立審決に対する取消しを求めるものです。
争点は商標法53条の2の適用の可否です。
本判決は、まず、「原告ないし原告代表者が,本件商標の登録出願の日前1年以内に,被告ないし被告との間で日本における輸入代理店契約を締結している者から,日本における独占販売権を付与されていたわけでいないものの,原告及び原告代表者と被告との間に
は,継続的な取引により慣行が形成され,原告及び原告代表者は,日本国内におけ
る被告の商品の販売体系に組み込まれるような関係にあった者とみることができる
から,商標法53条の2所定の「当該商標登録出願の日前1年以内に代理人若しく
は代表者であった者」に該当する。本件商標の登録出願は,被告の承諾を得ないで本件商標の登録出願の日前1年以内に代理人若しくは代表者であった者と同等の地位にあった商標権者によってされた」と認定した上、正当理由の有無について、「原告が,被告の製造するゴルフボール(「クロマックスボール」)の日本国内における販売を促進するため,雑誌等に広告を掲載するなどの宣伝広告活動を行ったことが認められるものの,原告がその費用として負担した金額,規模及び上記宣伝広告活動によって,本件商標が,上記ゴルフボールを表示するものとして,商標の価値を高めた事実は認定できない。そうすると,原告は,日本における輸入代理店契約を締結している者から,日本における独占販売権を付与されていたわけではなく,原告及び原告代表者が,被告との間で,継続的な取引を続けていたとの事実があるにすぎないこと等の諸事実を総合すると,本件商標登録は,「正当な理由がないのに,その商標に関する権利を有する者の承諾を得ないで」されたものであると認定するのが相当である」と判断しました。
本判決は、「正当理由」の存在を否定した例として参考になるものと思われます。


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