知的財産研究室

弁護士高橋淳のブロクです。最高裁HPに掲載される最新判例等の知財に関する話題を取り上げます。

スパークプラグ審取

2011-11-29 11:56:42 | 最新知財裁判例

スパークプラグ審取

平成23年(行ケ)10059

請求棄却

本件は拒絶査定不服審判不成立審決に対して取消を求めるものです。

争点は容易想到性です。

裁判所の判断は17ページ以下

本判決は、本件補正補正発明と引用発明との相違点に係る構成の技術的意義について検討した上で、以下のとおり、容易想到性の判断を行っています。

まず、相違点2について、引用発明において、「横飛火の発生を抑制するために第二軸部の円筒状の基端部と縮径部の長さを調整することも、その構造に照らし、当業者は容易に想到することができる」一方、「引用例2には、碍子の段付部からパツキン受け部までの長さを変えることにより、受熱量を調整することが記載されているところ、碍子の段付部からパツキン受け部までの長さが、ハウジング(主体金具)の胴部への熱放散量に影響を及ぼすことは技術的に明らかであるから、引用例2には、碍子からハウジングへの熱放散量に着目して、碍子の段付部からパツキン受け部までの長さを変える事項が示されている」から、「引用例2に示された上記事項を引用発明に適用して、引用発明の第二軸部の円筒状の基端部と縮径部の長さを変えることにより、その熱放散量を調節することも、当業者にとって容易に想到し得るものである」と判断しました。さらに、原告の主張に対して、「本件補正発明においては、スパークプラグの耐熱性の実験結果に基づき、交点Eと交点Fとの距離を具体的に「-0.5mm以上、3mm以下」と特定しているが((0063)~(0066))、最適、好適な寸法を実験的に求めることは、当業者が発明の具体化に際して通常行っているものであり、引用発明において、このような下限値及び上限値を設定することに、格別の阻害要因の存在も見当たらないから、上記特定に係る数値は、当業者において、適宜設計することができる事項であるということができる」と述べました。

次に、相違点3については、「引用発明において縮径部を設けることと、本件補正発明の第1挟角を所定の大きさとすることは、同様の効果を奏するものであるが、引用発明において、ガスボリューム部の空間を確保するために縮径部を採用する以上、その角度が重要であることは技術的に明らかであって、その具体的角度を10°以上とすることは、発明の具体化に際し、当業者が適宜設定することができるものであるということができる」と判断しました。

本判決は、数値限定を含む発明の進歩性判断の一事例として参考になります。


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