集合住宅審取
平成23(行ケ)10141
請求棄却
裁判所の判断は10ページ以下
本判決は、刊行物1記載発明について、収納スペースを拡げることと収納スペースの平面的な広がりを抑制して居住空間を狭くしないようにすることとの両立が一般的な課題として認識されていると認定した上で、この解決手段として屋根裏に収納スペースを設けることが周知技術であり、両者は、収納スペースを拡げることと収納スペースの平面的な広がりを抑制して居住空間を狭くしないようにすることとの両立という限度において課題を共通にしており、さらに、刊行物1記載の屋根裏には何ら設備が設けられていないから、このデットスペースに屋根裏収納を設けることは、当業者にとって容易になし得ることであり、かかる構成に想到することには、動機付けに欠けるところはないと判断しました。
本判決は、刊行物に記載の一般的な技術課題を足がかりとして、周知技術を適用する動機付けを肯定した裁判例です。単に周知技術であるというだけでは動機付けは肯定されませんが、本判決は、主引例の抱える課題と周知技術が解決した課題とが同一であることを示すことにより動機付けが肯定され得ることを示しています。ポイントは、主引例に接した当業者が周知技術の適用により解決される課題を認識できるか否かの立証であり、この点に代理人の腕が効いてくるものと思われます。
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