第1章 日本人とは何か
この章は、「東アジアの最後進民族」というショッキングなサブタイトルで始まる。
しかし、この最後進民族は、「何かの刺激で恐ろしいばかりの速度で駆け出す」という特徴があり、「人類史を駆け抜けて来た民族」である。
日本人の先祖は縄文人である。縄文人はATLウイルスのキャリアを持つという特徴を有するらしい。日本の起源を日本列島が亜細亜大陸から切り離された1万年前とすると、日本史の中で縄文時代は最も長い。
また、現在の日本料理の食材の多くは縄文人の食材と共通しており、これは、中国・韓国とは異なる。
紀元前300年頃、水稲栽培の技術、鉄器、家畜を持つ新来者が渡来し始めた。稲作の特徴は高い生産性にあり、土地への定着を可能にした。同時に、共有財産としての灌漑設備等が必要となり、部族が形成されるようになる。つまり、稲作文化の受容が共同体の形成を促したのである。
それでは、大和朝廷による日本国統一の過程はどうか。
津田博士によれば、これは、基本的に平和的な方法によりなされたとされる。平和的方法とは、文化的優位性に基づく支配・服属である。この日本統一の過程がそのまま統治体制になったのが「骨の代」である。
この「骨の代」は、隋・唐による侵略の脅威に対する危機意識(白村江の戦いにより明白となる)により終わりをつげる。
日本人は、外圧なくしては改革を成し遂げることができない、という批判がなされることがある。しかし、それは、因果関係が逆なのかもしれない。日本人は、外圧がなければ変わる必要がない(必要性を感じない)のであり、いったん危機意識が共有されれば、すさまじいエネルギーで改革を成し遂げることができるのでないか。今こそ、日本人の真価が問われる。
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