農業用繊維集合体審取
平成23年(行ケ)第10248号 審決取消請求事件
請求棄却
本件は無効審判不成立審決の取消しを求めるものです。
争点は,訂正の可否及び進歩性の有無です。
裁判所の判断は20ページ以下
農業用繊維集合体審取
平成23年(行ケ)第10248号 審決取消請求事件
請求棄却
本件は無効審判不成立審決の取消しを求めるものです。
争点は,訂正の可否及び進歩性の有無です。
裁判所の判断は20ページ以下
1 本判決は、まず、本件明細書等の記載から、「「1本の長繊維からなる糸及び/又は2本以上の長繊維からなる糸から構成される繊維集合体」と,「1本の長繊維及び/又は2本以上からなる長繊維から構成される繊維集合体」のいずれをも意味するものと解される。 また,「繊維集合体」について,本件明細書には「本発明の農業用繊維集合体とは規則的あるいは不規則的に繊維が集合した構成体を言い,例えば,繊維束や織物, 編物,組物,不織布,多軸積層体等の布帛等として得ることができるが特にこれらに限定されるものではない。」(【0009】)と記載されているから,「繊維集合体」は「不織布」を含むものと認められる」と認定した上、「訂正事項Aは,本件訂正前においては,「1本の長繊維からなる糸及び/又は2本以上の長繊維からなる糸から構成される繊維集合体」又は「1本の長繊維及び/又は2本以上からなる長繊維から構成される繊維集合体」であったところ,本件訂正により,「高分子溶融液又は高分子溶液が紡糸口群から押し出され,長繊維群が形成され,これらが移動するふるい上に堆積され,ウェブを形成する方法で得られたウェブが一つ又は二つ以上の手法で結合され,完全な布となったもの」と訂正するものということができる。すなわち,訂正事項Aは,本件訂正前の「1本の長繊維からなる糸及び/又は2本以上の長繊維からなる糸から構成される繊維集合体」又は「1本の長繊維及び/ 又は2本以上からなる長繊維から構成される繊維集合体」のうち,後者について, 本件訂正により,長繊維から構成される不織布の一種である「溶融紡糸によるスパンボンド不織布」という,より具体的な下位概念に限定して訂正するものということができる」と判断し、「訂正事項Aは,特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し, 実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものとはいえない」と結論付けました。
2 本判決は、次に、「ポリ乳酸は,製造原価が高価になったり,高強度の繊維を得ることができなかったりするという問題があるため,引用例3においては, 農業用の産業資材用繊維の使用後の処分に関する課題を解決するための手段としては,実際には用いられていないことが認められる。そうすると,そのようなポリ乳酸が,上記課題を解決するための手段として引用例3に記載されているということはできないし,また,当業者は,引用発明1において,そのようなポリ乳酸を上記課題を解決するための手段としては採用しない」と判断し、「引用例3の上記記載は,引用発明1において,不織布の素材を,ポリ乳酸を主成分とする生分解性のものに変更する動機付けが存在することを示すものとはいえない」 と結論付けました。
3 本判決は、さらに、「引用例6に,漁網において,不要時の処分に関する課題を解決するために,その素材をポリ乳酸とすることが記載されているとしても,農業用の溶融紡糸によるスパンボンド不織布については何ら記載も示唆もないから,引用例6 の上記記載は,農業用の溶融紡糸によるスパンボンド不織布に関する引用発明1において,不要時の処分に関する課題が存在することを示すものではなく,また,そのような課題を解決するために,不織布の素材を,ポリ乳酸を主成分とする生分解性のものに変更する動機付けが存在することを示すものともいえない」などと判断し、進歩性を否定しました。
4 本判決は、動機付けの認定方法の一つを示すものとして参考になると思われます。
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