知的財産研究室

弁護士高橋淳のブロクです。最高裁HPに掲載される最新判例等の知財に関する話題を取り上げます。

スロットマシン・フラグ審取

2011-12-29 17:32:27 | 最新知財裁判例

スロットマシン・フラグ審取

平成23年(行ケ)第10030号 審決取消請求事件

請求認容

争点は新規事項の追加の可否

裁判所の判断は24ページ以下。

本判決は、新規事項の追加に関して、一般論として、「訂正が,願書に添付された本件明細書に記載した事項の範囲内においてされたというためには,当該訂正が,当業者によって,本件明細書の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入しないものであることを要する」と述べた上、「本件訂正における「区別データ」が,本件訂正前の本件明細書の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入しないものであるかを検討する」として、本件について、「当業者は,本件明細書の全ての記載を総合することにより,「共通フラグ」について,設定値についての1ビット(賭け数についての1ビットのフラグを設定する場合は併せて2ビット)のデータであるとの技術的事項を導くことが認められる」とし、他方、「本件訂正に基づく「区別データ」は,「複数種類の許容段階に共通して判定値データが記憶されているか該許容段階の種類に応じて個別に判定値データが記憶されているかを区別する」ためのデータであって,「フラグ」であるとの限定や1ビットであるとの限定もないから,1ビットを超えるデータを含むと理解される」上、「1ビットを超えてビット数を増大させることができるならば,判定値データの分類を限りなく細かく設定することができるので,上記解決課題に沿わないような記憶態様を作出することが可能となる。すなわち,本件訂正に基づき請求項1に「区別データ」を加入することは,単に,1ビットを超えるデータを含むことになるのみならず,願書に添付された本件明細書に開示された発明の技術思想,解決課題とは異質の技術的事項を導入するものというべきである】と判断し。「本件訂正に基づき請求項1に「区別データ」を加入することは,本件明細書の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入することになる」と結論づけました。さらに、被告の「「フラグ」は「設定状態を示す標識」(乙1)であり, 「データが記憶されているかを区別するための区別データ」を概念的に含む技術的事項である主張は採用できな主張に対して、「「フラグ」は「設定状態を示す標識」(乙1)であり,「データが記憶されているかを区別するための区別データ」を概念的に含む技術的事項である旨の主張に対して、「「フラグ」は,一般的には1ビットのデータを表し,例外的に複数ビットのデータを意味することがあり得るとしても,本件明細書の記載に照らすならば,本件で「共通フラグ」の「フラグ」が複数ビットのデータであることを示唆する記載はな」いと述べて,被告の主張を退けました。、

本件は、被告の新たな技術的事項の導入か否かという問題点に関して審決に誤りがあると判断した一事例として参考になります。 

 


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