知的財産研究室

弁護士高橋淳のブロクです。最高裁HPに掲載される最新判例等の知財に関する話題を取り上げます。

携帯情報端末事件判決

2015-01-21 16:22:35 | 最新知財裁判例

1 携帯情報端末事件判決(設計事項)

知的財産高等裁判所

平成25年(行ケ)第10312号

平成26年09月11日

 2 判旨

(1)【請求項6】及び段落【0012】には、携帯端末が、画面に表示されるべき情報を、接続される車載機の画面サイズに応じて変換することが記載され、段落【0026】には、車載機10の制御装置が、描画コマンドに含まれる座標データを車載機10の画面サイズに合致した座標データに変換する、というビットマップデータへの変換処理が行われることが記載されている。また、段落【0021】には、図1の説明として、車載機10側で操作コマンドを画面に表示して携帯電話12の操作部としても機能させ、携帯電話12の制御装置が、車載機10の操作コマンドを自己の操作コマンドと解釈し、操作コマンドに応じた処理を実行することが記載されており、引き続き段落【0022】には、同じく図1の説明として、携帯電話12の制御装置で生成された画面表示情報(表示データ)が、車載機10側の制御装置に供給され、それが車載機10の表示部に携帯電話12の画面より大きなサイズで表示されることが記載されている。

 (2)そうすると、この段落【0021】【0022】【0026】の記載から、携帯電話12の制御装置は、ビットマップデータへの変換処理をしているということができる。そして、ビットマップデータへの変換処理を携帯電話12で行うことの不都合については、意見書(甲4)、審判請求書(甲6)にも記載がなく、ビットマップデータへの変換処理、すなわちビットマップデータの生成を、車載機10で行うか携帯電話12で行うかは、当業者において適宜決定し得る設計的な事項であると解される。

 (3)引用例の上記各記載に接した当業者は、携帯電話12において、ビットマップデータを生成し、これを車載機10に送信する構成を容易に想到することができ、その場合、処理の重複を避けるために車載機10はビットマップデータを生成する機能を有しないとすることもまた、容易に想到できるものというべきである。

 3 コメント

本判決は、引用発明+設計事項というパターンにより容易想到性を肯定した例といえます。

 

以上

 

 


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