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東広島市河内町宇山でひらかれている「宇山DNA」に出品のkatsuraさんのご主人寺田勝彦さんの作品「音霊(おとだま)」です。
教念寺の鐘撞き堂を兼ねた山門に展示されています。
宇山は小学校も廃校になってしまった地域ですが、山間の田を渡る風を受けて、美しくなびく藍染の造形作品が自然の中で息づいていました。
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同じ教念寺の本堂の前に展示された高木茂登さんの「月の舟」です。
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9月12日の中国新聞に載った記事、「月の舟」を見ているのは、初日にお出かけのアゲハさんご一家です。
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昨日、katsuraさんの車で、ガリさん、Mさんと4人で行ってきました。
自然と共存する作品を何回かに分けてご紹介します。
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このたびはリーフレットのほかに、作者の所感をプリントしたものもいただきましたので、原文のまま、転載します。
〔音霊(おとだま)〕
教念寺鐘つき棟はユニークな建物である。立派な山門の上階に小さな鐘がつるされている。やさしく包み込むような音色である。この鐘音が、いくどとなくこの町に彩りを与えて来た事だろう。
宇山は山間の小さな町である。小学校等はすでに廃校になり、案内していただいた日にも若者の姿はほとんど無かった。ひっそりとゆったりと時を刻む、そんな町である。
雄大な自然の中、これまでこの地で暮らして来た人々の思いが、教念寺の鐘音と共に形になればと思い、この作品を制作した。
〔月の舟〕
蕎麦の花に導かれて、偶然、この山里を訪れたのはもう10年位前の初秋のことだ。山間の傾斜地に点在する古民家、小さな社、よく耕された畑地。時が止まったかのように昔の面影を遺す田園風景が広がるこの集落の佇まいに、なぜか懐かしさを感じた。何より蕎麦が美味しかったし、素朴な暮らしぶりにも惹かれ、以来、毎年のように蕎麦を目当てに通ってきた。他人に教えるといっても場所を説明するのが難しく、知る人ぞ知る、私にとっては秘境、秘密の隠れ里であった。3年ごとに開催されてきた東広島現代美術プログラムの会場地になり、そこに自分の作品を並べることになろうとは、何とも奇縁である。
作品コメント
宇山の集落の人々の心のよりどころでもあり続けてきたであろう教念寺。とこしえの世界に旅立つ拠点でもあっただろうその本堂の正面に、白い船を浮かべてみた。