広い蕎麦畑のなかに牛がいて、その周りに人間が、よく見ると、畑の中に道が作ってあり、降りていって、牛のお腹の中を通り抜けられるようになっていました。
胴体のアクリル板には牛のまだら模様が施され、角には古い農機具が使われています。
福島俊をさんの〔風と牛と麦畑と〕です。
作家所感
宇山に初めて訪れて集落を案内されて一番印象に残ったのが「牛神社」という神社があったこと。残念ながらその神社は廃墟のように朽ち果てて草ぼうぼうであったこと。昔、牛がいかに大切に思われてたか、そしてその牛は今では1頭もいなくなったこと。神社が朽ち果てるのも仕方ないことかもしれない。
立ち止まって風を感ずれば遠い記憶が蘇ってくる。平地の少ないこの土地での暮らしや農作業は大変だったに違いない。がしかし山から山、谷から谷へ吹き渡る風は人や牛に心地よさを運んでくれる、蕎麦の花の香りを運んでくれる。
この宇山の土地のDNAは遠い記憶の中に刻まれている。
作品のイメージは風そよぐ蕎麦畑の中で牛と人々とが感謝の祭りに興じている、そんな遠い記憶。
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急な石段を登らないと行けない安広神社の2作品など、見られなかったものもありますが、宇山の自然の中ですばらしい作品に出会えた一日でした。
廃校になった小学校で地域の方たちがひらいている「そば処さわやか茶屋」のお蕎麦もびっくりするほどのおいしさでした。
「宇山DNA」は今週の日曜日9月23日まで開かれていますので、ぜひ、お出かけください。