気持ちだけの支援をしている仙台つどいの家から送られてきた「とんがらし通信」2月25日発行のNo.203です。
そこに綴られている施設長下郡山和子さんのコラムからの抜粋です。
長い文章ですが、被災地での、とくに弱い立場に置かれた人たちの復興の大変さを忘れないでいたいので、書き記すことにしました。
仙台つどいの家が、南光台の地を去らねばならなくなった。経緯はこうだ。
2011年3月の東日本大震災で、仙台つどいの家は大規模半壊だった。現地再建のつもりで、自力であちこち修繕を始めた。しかし、周辺の地盤の崩れが酷く危険な状態であったため、市はボーリング調査を行ったが、その時はなんとか大丈夫との結論。国との協議を行い、2012年1月改修工事に取り掛かった。ところが、2012年3月基礎が破断し、杭が60%以上折れていることが判明、工事を中止せざるを得なかった。地盤工事は周辺の沢や道路にも影響し、広範囲にわたることから、時間も資金も膨大に掛かる。
利用者は、敷地内のテントや南光台3丁目に建てた仮設のプレハブと若林障害者センターに分かれて活動している。センターは南光台の仙台つどいの家の敷地より車で40分も移動しなければならない。そんなに長い間利用者や職員を待たせておくわけにはいかず、交渉の結果、仙台市は新しい土地を探してくれると約束してくれた。しかし市、県、国(東北厚生局)とのやり取りが進まず、復興の目途が立たない日が続いていた。利用者、職員は目に見えて疲れを見せるようになった。
2012年8月末、東北厚生局が地盤破壊状況を再度確認。現地に建てる事は危険であると判断し、変更協議に応じてくれることになった。仙台市は幸町の土地を提供することを正式に決定。9月には東北厚生局と復興変更協議の結果、新施設建設が決まった。
仙台市は解体工事のため10月中に施設敷地内にあったパン工房、物置などすべての建造物を撤去せよとのこと。それまで、敷地内の小さなプレハブで職員の打ち合わせやケースの打ち込み作業、殆どの事務仕事をやっていたのだが、全面引越しするには3丁目の仮設第一棟、第二棟では足りない。職員の事務スペースとして第三棟を建てることになった。その費用の5/6を国が補助するとのこと。
それからが大変だった。1か月のうちに引っ越し作業、駐車場確保、近隣挨拶、仮設の建設。敷地内にあったレスパイトを行う仙台市障害者家族支援等推進事業(すてっぷ・はうす)も事業を続けるためにはどうすればいいのか、3丁目仮設では狭い。利用者に迷惑を掛ける訳にはいかない。仙台市が宮城県と協議、宮城県障害者福祉センターの一室を貸してくれることになったが、電話工事などは許されず、事務スペースもない。職員は3丁目仮設の事務室を使いながら、センター間を行ったり来たりして事業を行っている。
移転が決まったら、それまでお世話になってきた南光台の人々にお礼と挨拶をしなければ、前に進めない。
まず、細々と南光台四条通り商店街に設けていた喫茶とパンの販売店「めいぷる」を閉じた。めいぷるは付近のお年寄りの居場所として喜んでいただいていたが、パンを製造できない。別れを告げると、
(中略)
挨拶回りをしながら、足かけ20年、仙台つどいの家と街の人々との交流の場面が走馬灯のように浮かんでは消える。ああ。あの人にもお世話になったなぁ、御挨拶したいなぁ、初めてしょうがいのある人を見て、びっくりして泣き出した子はどんな大人になっただろう。ホールに置いたボールプールを目当てに放課後毎日のように遊びに来ていた小学生はどうしているかなぁ。バザーのときに、
(中略)
仙台つどいの家が設置されたばかりの頃に、次々と訪れて、食事介助や排泄介助もしてくれた主婦ボランティアだった方々は転居されていたり、高齢となり引き込まれていて姿が見えない。御挨拶できないのが残念である。
町内の皆様には大変お世話になった。名残惜しいが、これで縁が切れるのではない。南光台には二つのケアホームがある。これからも良き関係を続けたいと思っている。
今は前に進むしかない、仙台つどいの家は、幸町で優しい街づくりに参加して行く。これまで支えてくれた人々の御恩に報いるのは、無事復興させることだと思っている。
南光台の皆様、これまでありがとうございました。
昨年12月20日に新施設起工式が行われ、竣工予定は6月末とのうれしいニュースも載っています。
「ふくしまっ子リフレッシュin世田谷2012年冬」のパンフレットが届きました。
世田谷の会では、2012年の春休みから夏休み、冬休みと、原発事故以降、外遊びのできない子どもと保護者、述べ200人以上を招待して、緑豊かな公園が多い世田谷を楽しんでもらう合宿を計画、この春休みも3月26日から31日まで約60名が招待されるそうです。
すのさんのご縁でテディベアの絵はがきを送らせていただいていますが、こうしてパンフレットを作っての報告をいただいたり、行政もいっしょになっての支援がすばらしいなと思います。