ラムラム王は箱根丸という船がいやに機械ずくめで妙に文明の匂いがするのがいやになって、金曜日の晩にこっそりとデッキから月夜の波の上に飛び降りてしまいました。
ラムラム王の頬に薔薇色が見えてくると、洞穴のおもてで雉が鳴き、曙の光がさし込んできました。
「くらげの面ホテルの宿料を知ってるかい」とお星様は妙な心配を始めました。
御殿の煙突掃除人のヘボンという男はパンは食べないでも釣りがしていたいという先生なのですから、今日御殿の宝物の黒曜石の釣針が拝借できたというので、まず米つき虫のように三度ばかり飛び上がって喜びました。
ラムラム王 終
大正15年に刊行された叢文閣版「ラムラム王」
刊本作品の55番目として昭和39年に刊行された「ラムラム王」(87×119ミリ)
昭和51年に発行された講談社文庫「お噺の卵」(現在絶版)。短編童話集「お噺の卵」「ペスト博士の夢」とともに「ラムラム王」も収録されている。
武井武雄画噺シリーズ全3巻も魅力的、とりあえず2の「おもちゃ箱」がほしいなぁ。
アマゾンで見ていたら、1の「あるき太郎」のレビューで「星を5000くらい与えたい傑作」とあり、「おもちゃ箱」といっしょに注文しました、明日、届きます。
昨日もお知らせしましたが、大正15年叢文閣発行の「ラムラム王」を近代デジタルライブラリーで読めるようになっています、無料です。
近代デジタルライブラリー「ラムラム王」
近代デジタルライブラリーの4コマ目にある挿絵です。
銀貨社の本ではカバーの折り込んだところに小さく印刷されていますが、叢文閣版ではページに大きく印刷されています。
本文中の挿絵はすべてモノクロですが、この絵だけはカラーで、物語の全体を暗示しているようなすてきな絵ですので、スクリーンショットで紹介します。
8:30追記