今日のロイター通信配信記事によると、トヨタが『最終赤字』になる見込みと発表したという。
記事を箇条書きにして見ると、
① 2009年3月期の営業赤字が従来予想の1,500億円から4,500億円に拡大
② 2009年3月期の販売計画は754万台から732万台に引き下げ
③ 北米、欧州、日本の主要市場で一段と厳しさを増した
④ 今年度の設備投資計画は 1兆4,000億円のまま据え置いた
⑤ 新工場建設や能力増強を中止、または延期
⑥ ワークシェアリングの導入も検討し、固定費を10%削減する
⑦ 固定費削減額は、5,000億円程度
⑧ 2008年4-12月の営業利益は前年同期比88.2%減の2,215億円
この最後の
「営業利益は、2,215億円」と言う所が重要だ。
あれだけ無法で道義もない「首切り」をやりながら、『減益』とはいえ、利益を、2,215億円も出しているのだ。
前年度1兆円を超える法外な『ボロ儲け』をしていたことから見れば確かに『減益』と言うことはできるが、だからと言って無慈悲な「首切り」をするほどの悲惨な状況ではない。
その1兆円を超える利益を上げられた源泉は、「コスト競争」に打ち勝って欧米での販売を伸ばしたことにあるのだろうが、その「コスト競争」を支えて来たのが超低賃金で働かされていた非正規労働者の「血と涙と汗の結晶(志位委員長)」ではなかったのか?!
1兆円を超える利益は、まさに労災では文字通り血を流し、正規労働者との格差に涙をのみ、工場で残業や深夜労働・休日出勤までして流した汗の賜物ではないのか?!
ここに来て「ワークシェアリングの導入」などと言いだした。上記の⑥
しかし、騙されてはいけない。この言葉に続いて、「固定費を10%削減する」とハッキリ言っている。
財務会計の用語ではあるが「固定費」とは、生産量に関わりなく必要となる費用のことで、ここでは「労務費」の意味である。
全体の労務費を10%減らすと言う訳だ。
その減額が5,000億円だという。
「ワークシェアリング」の本来の意味は、「減った仕事(Work)を労働者は減らさないで同じ人数で分ける(Share)」という意味であり、労務費全体は減ることがない。
しかし、トヨタが言っている「ワークシェアリング」は、一人頭の仕事量が減った分、給料も減らすというものである。
もう一つの問題は、「ワークシェアリング」で経費を削減するだけで、内部留保や株主配当を減らすということは、一言も言っていないことである。
結局、「減益」(でも黒字)の影響を全て労働者に押しつけて、経営陣や株主は痛みを分かつ意志が全くないというのが、上記の箇条書きの本質である。
世界に名だたる大企業に、こういうアメリカ的経営者ばかりしか居ないというのは世界の恥であり、こんな日本経済の経営を続けていれば、ますます破綻を早く大きくすることになる。
まさに「我が亡きあとに洪水よ来たれ」の発想である。
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2月7日(土)追記
今日(2/7)の「赤旗」によると、上の記事でトヨタが発表した業績数値を詳しく見ると、2008年12月末の「利益剰余金」は12兆3千億円、「資本剰余金」は5千億円であることを明らかにしていました。
剰余金増加額は、5年間で約4兆3千億円増え、1.5倍化しています。
5年前の2003年に製造業への派遣労働が解禁されたことと符合しています。
雇用を失おうとしている3千人を守るためには(現状の年収3百万円程度として)年間90億円必要ですが、これは剰余金総額の0.07%、5年間の増加額の0.2%取り崩せば可能だとのことです。
この先剰余金が増えないとしてさえ、10年続けても0.7%100年続けても7%で済む訳です。 当然剰余金も積み増すでしょうから、雇用を完全に守ってもトヨタの経営に打撃となる訳がありません。
株式配当は、株主への『約束』(ホントに?配当額や率まで約束するはずが無い)であるから減らすわけには行かないから労働者の首を切る!
雇用しているということ自体が、労働者との「約束」ではないでしょうか?
労働者との「約束」は平気で破棄し、株主への『約束』は守る!
これがアメリカ的経営であり、その上、株主の7割は外国株主という話で、庶民には殆ど恩恵がない話です。
トヨタ剰余金12.8兆円 08年4―12月期連結業績 0.07%で雇用守れる
2009年2月7日(土)「しんぶん赤旗」
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