今回の記事のタイトルは、一見すると政府の見解を容認しているようにも解釈できるが、そういうことでは全く無い。
既に、随分前から危険度を示すレベル評価は最高の危険度【7】であったが、これまでは何かと誤魔化して来たものが、ここに来て誤魔化しきれなくなっただけという話である。
レベル7の可能性、3月末には認識 枝野官房長官
(朝日新聞) - 2011年4月13日(水)13:31
原発事故で国際基準の評価を「レベル7」に引き上げ、
説明する原子力安全・保安院の西山英彦審議官(左)ら
(時事通信) 2011年4月12日(火)12:55
あるWeb記事では、史上最悪の原発爆発炎上事故だった「チェルノブイリ原発事故」でさえ、放射能の大量流出は事故から10日で制圧されたというが、福島第1原発では、既に1ヶ月を超えようとしているから、期間で言えば3倍の長きに亘っている上、終息までにこれから何ヶ月も掛かるような対応であり見通しである。
福島原発震災 チェルノブイリの教訓(3)
ソ連政府はどのように収束させたのか
ダイヤモンドオンライン - 2011年4月12日
【多大な犠牲者を出しながら、じつはソ連政府は10日間でほぼ事態を収束方向にもっていったのである。私たちが学べる点はあるだろうか。】
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私が【あんくるトム工房】のブログにコメントしたものを引用すると
危険度レベルを上げたからと言って実際の危険度が上がる訳ではありません。
ずっと前から極めて危険だったのです。
ただ、「チェルノブイリよりマシ」と言って国民に『安心感』を与えようとしてきた策略が破綻しただけの話です。
原発の状況を見て来た多くの国民や海外の人々は、とうに表現が不可能なほど「最悪のレベル」であることは知っていました。
問題は、これからです。
チェルノブイリでは、200km圏内に大都市圏があった訳ではありませんが、日本では200km圏内に国民の4分の1にも及ぶ3千万人が居住していたり働いたりしているのです。
従って、「チェルノブイリよりマシ」
どころか
「チェルノブイリよりは、もっともっと悪い」と言わなければなりません。
農産物や海洋生物に影響するだけではなく、人間を直接放射線が汚染することになるのです。
こういう危険性をもっと早く政府は国民に知らせるべきでした!
あまりにも対応が遅すぎます。
******** 引用終わり ********
流出した放射性物質の量は、「チェルノブイリ原発事故」の1割程度と言うが、史上最悪だった事故と比較して「まだ1割」と言っても汚染が少ない訳でもなく、「チェルノブイリよりマシ」という言い方には全く誠実さを欠くし危機感も無いものと見える。
その放出量について、NHKは「京ベクレル」という単位を使った。
それほど高いレベルであるわけであるのだが、単に「京(ケイ)」という単位をつけてしまうと、それが如何に高いレベルのものであるかの印象が薄れる。
朝日新聞の引用では、
【放出された放射性物質の総量を推定したところ、放射性ヨウ素換算で37万~63万テラベクレルになった。】 としている。
以前、当方のブログで書いたように、【万テラ】という単位は【京】と同じである。
すなわち【10の16乗】である。
従って、【63万テラベクレル】=【63京ベクレル】を数値表現すると
【630,000,000,000,000,000 ベクレル】 となる。
評価尺度は違うが、最初の頃放射能汚染の値は1時間当たり 1マイクロシーベルトとか表現していたものが、いつの間にか1ミリシーベルトに変わってしまっていた。
この間に放出量が1000倍になっていることを知る必要がある。
これも数値で置き換えると
1マイクロシーベルト=1μSv=0.000001 Sv (10の マイナス6乗)
1ミリシーベルト=1mSv=0.001 Sv (μSvの千倍)
1シーベルト=1Sv (μSvの百万倍)
放射能汚染を示すあらゆる指標が百万倍とか1億倍とか
1兆倍とか1京倍とか「倍倍ゲーム」ならぬ「万倍・万倍ゲーム」
になってきているのである。
人間の健康は言うに及ばず、地球上の生態系に致命的損傷を与え、
生物多様性元年と言われている日本が発信源で、多くの生物が死滅する
可能性さえあるのだ!
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「国は事故を過小評価」専門家から批判の声も
(読売新聞) - 2011年4月12日(火)20:20
レベル7の可能性、3月末には認識 枝野官房長官
(朝日新聞) - 2011年4月13日(水)13:31
レベル7引き上げは専門家の判断…首相
(読売新聞) - 2011年4月12日(火)21:15
福島「レベル7」 首相「被害拡大阻止に全力」
(産経新聞) - 2011年4月13日(水)08:00
チェルノブイリとは異なる…レベル7に海外機関
(読売新聞) - 2011年4月13日(水)10:42
福島原発事故、最悪「レベル7」 チェルノブイリ級に
(朝日新聞) - 2011年4月12日(火)12:39
福島第一原発の事故について、経済産業省原子力安全・保安院と原子力安全委員会は、これまでに放出された放射性物質が大量かつ広範にわたるとして、国際的な事故評価尺度(INES)で「深刻な事故」とされるレベル7に引き上げた。原子力史上最悪の1986年の旧ソ連チェルノブイリ原発事故に匹敵する。放射性物質の外部への放出量は1けた小さいという。12日午前に発表した。
保安院は3月11日の事故直後、暫定評価でレベル4としていた。放射性物質が原子力施設外に放出されるような事故はレベル4になり、それ以上は、外部に放出された放射性物質の量でレベルが決まってくる。
18日に79年の米スリーマイル島原発事故に匹敵するレベル5に引き上げた。レベル5は放射性ヨウ素に換算して数百~数千テラベクレル(テラは1兆倍)の放出が基準だ。その後、放出された放射性物質の総量を推定したところ、放射性ヨウ素換算で37万~63万テラベクレルになった。INESの評価のレベル7にあたる数万テラベクレル以上に相当した。東京電力によると、全放射能量の1%程度にあたるという。福島第一原発では今でも外部への放出は続いている。
チェルノブイリ事故では爆発と火災が長引き、放射性物質が広範囲に広がり世界的な汚染につながった。実際の放出量は520万テラベクレルとされている。福島第一原発の事故での放出量はその1割程度だが重大な外部放出と評価した。評価結果は国際原子力機関(IAEA)に報告した。
福島第一原発では、原子炉格納容器の圧力を逃がすため放射性物質を含む水蒸気を大気中に放出した。さらに地震後に冷却水が失われ核燃料が露出して生じたとみられる水素によって、1、3号機では原子炉建屋が爆発して壊れた。
2号機の格納容器につながる圧力抑制室付近でも爆発が起こったほか、4号機の使用済み燃料貯蔵プールでの火災などが原因で放射性物質が大量に放出されたと見られている。内閣府の広瀬研吉参与(原子力安全委担当)は「3月15~16日に2号機の爆発で相当量の放出があった。現段階は少なくなっていると思う」と話した。
東京電力原子力・立地本部の松本純一本部長代理は会見で「放出は現在も完全に止まっておらず、放出量がチェルノブイリに迫ったり超えたりする懸念もあると考えている」と話した。
ただ、原発周辺や敷地の放射線量の測定結果は3月15~21日に非常に高い値を示していたものの、その後低下している。4月10日に非公開で開かれた安全委の臨時会で保安院の黒木慎一審議官は「最悪の事態は今は脱した」と報告している。
朝日新聞 - 2011年4月12日(香取啓介、竹石涼子、小堀龍之)