国権酒造
侘輔 今日の酒は、南会津、田島にある酒蔵の酒なんだ。
呑助 山深い豪雪地帯の酒だな。
侘助 一月、二月には一メートルぐらい雪が積もる所らしい。
呑助 東武野岩線田島駅に近い酒蔵なのかな。
侘助 歩いて五分くらいの所にある山の街の小さな酒蔵のようだよ。
呑助 雪深い山の中の小さな酒蔵というとそれだけで、なにか、ロマンを感じるな。
侘助 福島県内でも美味しい酒を造る酒蔵として注目されている蔵のようだよ。
呑助 何という杜氏さんが醸した酒なんですか。
侘助 南部杜氏、佐藤吉宏さんが醸した酒なんだ。毎年、南部杜氏会ではその年に醸した酒を持ち寄り、清酒鑑評会をしている。今年、この鑑評会で金賞受賞した酒が今日、飲む「国権・純米大吟醸」という酒なんだ。
呑助 金賞受賞酒というと値が張るお酒なんでしょうね。
侘助 ネットで調べてみると税込で5.450円になっていたよ。それを今
日は、3.780円で売って貰ったよ。
呑助 そりゃ、良かったですね。
侘助本当に助かったよ。普段、飲めない酒だからね。
呑助 本当ですよ。そんな酒を自宅で飲んでいたら、女房に怒鳴られちゃいますよ。たいした働きもないくせに、そんな高い酒が呑めるの、なんてね。
侘助 薹(とう)が立った女房は口うるさく、思い切ったことを言うからね。
呑助 今日の会は日本の飲酒研究だから、胸を張って飲めるけれどね。
侘助 国権酒造の酒は、あまり馴染のない酒なんだ。今までも数回しか飲んだことのない酒なんだ。
呑助 初めての酒ではないんでしょ。
侘助 そうなんだ。福島の酒だからね。会津田島には阿賀川が流れている。この川の鮎は現在も禁漁になっているらしいからね。
呑助 福島原発の放射能の影響ですかね。
侘助 最近も宇都宮の小学校給食に出された筍にセシウムが入っていたというニュースがあったばかりだからね。
呑助 国権酒造さんの水は大丈夫なんですかね。
侘助 軟水らしい。軟水は数百年の年月を経て湧き出してくる水だから、大丈夫なんじゃないかな。酒蔵でも仕込み水は検査しているからね。
呑助 米はどうなんですかね。
侘助 米は美山錦で醸している。美山錦というと代表的な酒造好適米の一つだ。昭和53年長野県農事試験場にて「北陸12号」を母、「東北25号」を父とした「たかね錦」に放射線処理を行い、突然異変によって誕生した比較的新しい酒造好適米のようだ。。醸した酒は、スッキリと軽快な味わいになると云われている。北アルプス山頂の雪のような心白があることから美山錦と命名され、主産地は長野だが、東北各県でも栽培されているようなんだが、福島県では美山錦を栽培していないそうだ。国権酒造は兵庫県産の美山錦を使っているそうだ。この酒は兵庫県産の美山錦を使って醸している。きっと切れの良い、軽快な酒になっていると思っているだけどね。飲むのが楽しみだよ。