醸楽庵(じょうらくあん)だより 

主に芭蕉の俳句、紀行文の鑑賞、お酒、蔵元の話、政治、社会問題、短編小説、文学批評など

醸楽庵だより  308号  白井一道

2017-01-30 11:08:40 | 随筆・小説

 山形の酒「秀鳳」を楽しむ

侘輔 今日のお酒はお馴染みの「秀鳳」ですよ。
呑助 山形のお酒でしたっけ。
侘助 そうそう、山形の名酒の一つであることは間違いないと思う。
呑助 今まで何回も「秀鳳」さんのお酒は飲んできましたよね。
侘助 やわらかで味に厚みがあって、口に含んだ時のふくらみが豊かなお酒なのかな。
呑助 これが山形のお酒なんですかね。
侘助 山形には美味しいお酒がたくさんあるからね。
呑助 「十四代」も山形でしたっけ。
侘助 山形県村山市にある高木酒造のお酒かな。
呑助 「十四代」は一番人気のお酒なんじゃないですか。
侘助 そうかもしれないな。マスコミに載ったからね。もともとは「朝日鷹」という銘柄で出荷していたお酒なんだ。売れ行きが低迷していた時に十四代目の跡継ぎが醸した酒が「十四代」だった。このメーミングがヒットしたんだ。
呑助 銘柄のマスコミ受けが良かったんですかね。
侘助 お酒はイメージ商品ですからね。
呑助 味もイメージに左右されるんですかね。
侘助 そうなんじゃないかな。山形というと茨城と同じでなんとなくダサイイメージがあったから、この山形というイメージを払拭したのが、「十四代」のお酒だったのかもしれない。
呑助 新潟の酒というと美味しそうなイメージが確かにありますね。
侘助 そうだよね。今や、山形の酒は美味しい酒というイメージがあるよ。
呑助 「秀鳳」さんのお酒には美味しいというイメージがありますね。
侘助 今日、楽しむ酒は酒販店限定出荷のお酒なんだ。今年の新酒、酒造米「出羽燦々(でわさんさん)100%で醸したお酒、一升瓶で7000本造ったお酒、精米歩合、33%。販売価格が三千三百三十三円。燦々(さんさん)にこだわった酒らしいよ。
呑助 へぇー、面白いことにこだわった酒なんですね。
侘助 「出羽燦々」という酒造米は山形県農業試験場が十一年間かけてついに作り出した酒造好適米のようだ。この米は山田錦などと比べるとやや小ぶりで柔らかいので精米が特に難しい。
呑助 ゆっくり時間をかけて精米するということですか。
侘助 美味しいお酒を造るには時間がかかる。手間がかかる。精米や洗米などの原料処理が一番大切な工程だと聞いているよ。
呑助 飯米は米を研ぐと言いますよね。酒造りの場合は洗うんですか。
侘助 洗うようだよ。木綿の布地にお米を入れて二人して洗うようだ。山形の冷たい水に手を入れて洗うようだよ。本当に冷たい。真冬の米洗いだからね。吟醸酒用の米を洗う場合、米を洗う時間、浸漬する時間をストップウォッチで計っているようだからね。
呑助 どうしてそんなにまでしてやるんですかね。
侘助 浸漬というのは米に水を吸わせる工程なんだ。米の吸水率が多いか、少ないかでお酒の出来具合が違うようだ。
呑助 酒造りは大変なんですね。
侘助 「出羽燦々」という米は難しいらしい。

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1 コメント

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醸楽庵便り308号 (ひでお)
2017-01-30 12:49:46
久し振りに便り読みました。 酒の話は心身共
暖かく成りますネ! 今年も楽しみ読みます。
続けて下さい。
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