お亡くなりになっていたこと、今日知りました。
ある編集長さんが、メールでおしえてくださいました。
さびしいです。
不肖な若手ガンバレと、お声が聞こえてきそうな気がします。
お会いしたこともないのに不思議です。
それが渡辺さんの作品のおちからなのでしょうか。
この文を打つパソコンラックの棚を見上げたら、
娘たちの枕もとで、読み語りしていた
『きかんぼのちいちゃいいもうと』(堀内誠一さんの絵のほう)
がありました。
手紙の返事を書きました。
ある編集さんから先日手紙をいただいたのです。
お預けしていた2本の絵本原稿について、異動のため、これ以上進めることができなくなったというものでした。
まったく色のちがう原稿を2本も同時にお預けしたのは、編集さんが私のためを想って練ってくださった戦略ゆえのことでした。
企画会議で推すために、時間をさいて私と会い、メールをやりとりし、作品の底にある作者の思想についてもお尋ねくださった方のご提案でした。
会議で出された意見についても別紙に集約し、届けてくださいました。
どちらも反応よく、もったいないお言葉がならんだものでした。
結果についても誠実に記されてありました。
1本目は、近年の社の刊行方針、状況にあわないため、出版は現状では難しいとのこと。
2本目は、モニターをして対象年齢児に複数読んでもらい、その結果をふまえて再度会議にかけるのがよい、というところまですすんだこと。
それでも、これ以上すすめるのが難しいとお知らせくださったのは、編集さんの優しさなのでしょう。
名が通らぬ若輩作家の原稿を本にしたいと思ってくださった編集さんのご尽力はたいへんなものだったとお察しします。
それにお応えできなかったのは、
一度の会議で刊行決定に至らなかったそのわけは、
すべて今の私の力不足にほかなりません。
とはいえ、力というのは、これからつけていけるもの。
自ら諦めてしまうことがないならば。
優しい編集さんのために、
いいえ、自分自身のために、
私は2本の原稿を引きあげさせていただこうと思います。
そして、あらたなアクションを起こします。
その編集さんに、以前質問したことがありました。
「もし、あなたの手で本にならなかった原稿が、そののち他社から出版されたりしたら、どんなお気持ちなんですか?」
編集さんは、とびっきりの笑顔でおっしゃいました。
「そりゃあ、ものすごーく悔しいですよ!」
私は、すてきな編集さんに悔しがってもらうつもりです。
さて、実現に、このさき何年かかるかな。