夜明け前、先に出ていた大磯先輩の船が、帰ってきた。
「おはよう御座います。何でですか」
「時化ちょる。ウネリが高いど」
「沖には、出られそうにないですか」
「無理やろうね。北風も強く吹いてちょるしな」
週末の天気も崩れる予報だし、崩れが早まったかな…。
港を出ると、やはり、ウネリが高い。
それでも、行けるところまで出てみたが…。
北東からのウネリが、三角波状になっている。
船の揺れが、バタバタしている。
一流し終えたところで「内場に移動しようか」と、宮田さんに声掛けする。
内場の南側のポイントに、入ってみた。
「ベイト反応はあります。鰺かも知れないですね」
現時点では、北東から吹いてくる風が、東から南よりに変わる前にアタリを捕らえたい。
魚探の反応が、海底から広範囲に出ている。
なかなか、アタリが来ない。
流し直しの為に、船を戻そうとした時、宮田さんにアタリが来た。
「何か来ました」
「良い感じで引いているね」
「走りますね。鯖かな」
やがて姿を見せたのは、真鰺だった。
40センチクラスの、良型の真鰺。
「ベイト反応の正体は、鰺やね」
「何かが付いているかも、知れませんね」
瀬周りに出ている反応を、攻めていく。
鰺の他にヒットしてくるのは、オキアジ。
これも、引きは強くて、面白いが…。
風が、徐々に南東に回り始めた。
ウネリが、目線を越え始めた。
「移動しましょうか」
内場の奥に移動する。
東からの風が、南方向から回り込んでくる。
その風に、押されるように流していく。
「来ました。引きが良いですよ」
「エソじゃないと良いですね」
ここでも、姿を見せたのは、良型の真鰺。
計測すると、40センチを少し超している。
「40センチ有りますよ」
「これくらい有れば、嬉しいですね」
鰺の連発を期待するが、内場はエソも活発。
元気の良いエソの連発に、笑いが出てくる。
ウネリと風が南よりに変わったところで、引き上げた。