新河鹿沢通信   

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化けくらべ (3)平城のヒラコの自慢コ

2009年12月24日 | 民話
三梨のあるえ(家)でぁ、正がぢ(正月)を 近けえぐなて、ししはぎ(大掃除)を でげだし(終わって)、もぢ(モチ) を ち(つき)だし、きんにぁ(昨日)迄荒れでえだ、ふぎ(吹雪)を晴れで、天気をえぐなたし どて、ドドぁ(お父)増田さ、魚コ買いにへ、えたげでを(行った)、みぢをえぐ(道もよく) ちでで、あれぐ(歩く)え はが(能率)えた.増田の町の日、今日ぁ二七日で、仲町の番で、出店を・たっさえ(沢山)出はてえで、欲しいのぁ なえでを買えで、カシべ・ボダコ.エガ.ハタハダなの、あれこれ買て戻り、野村しぎだ(過ぎた)ぢぎぁ ひらん(午後)からの、一時半んころだけでを、

「ああ、はがえた、こご迄けぱ、あどぁしとえ(ちょっと)こだ、まぢ 一服してえぐが」

て、雪道歩てきて、ほこほこど、ぬぐぐ(暖かく)んなた ごでえ、ゆぎの上さぁちげで、ワラシ(子供)ぁだどさ ける(あげる)どて、買て来た、メノ玉(飴玉)ひとっつ、口さしぇ(入れ)で、やし(休)だでを、かじぇ(風)をねぇ ええ天気だをで
其のうぢ ねふて(眠く)えぐなてしまたけどー。

「んーん?春えなたべが、さぐらを せえ(咲く)だは」

て、春え うがれで、どごがの さぐら えっぺえある(いっぱいある所)どご あれ(歩)てだけでを、しだば こだ(今度)。

「んーん?こごぁ なぢだ、ほほーっ、こごのぇでぁ田植え だでぁ」

そごでぁ、アネコだぢ すぢにん(七人)ばりで、揃いのカシリのキロノど、デダチコで、さぐらのもよコのテノゲで、アネコかぶりして、ええ声で唄コなの うだ(唄)で、まぢにぎぁがな 田植えだけでを、

♬「唄 あーああーえ-えええ おらだぢぁ
植えだ しと(一)株はそだぢそだって
しぇん万株へ ふえ増して
たんぼぁ いなほで山でげる
「ハヤシ そうーりゃ 豊年 万作だー」

なてかて にぎゃが(賑やか)で じょだ(上手)おで、三梨のドドぁ立て、見でらけど、したば アネコだぢぁ めけ(見つける)で、

「あらぁ 三梨のドドぉ ええどさ きてけだごどぉ、あどえぢめぇはん(一枚半)ばりでおわる(終わる)なだの、三人な よでコ(田植え祝い)の ざめえ(仕度)で上がらねばでげねふて、何とが たしけ(助け)るど思て しけ(手伝)でけろ」

どて、頼まれでしまたけでを、みんなえ あだま(頭)さげられで ねが(願)われだをで、

「んだば しけ(手伝う)でえごが」

て、わあ(自分)も 田植えなば 自慢の腕コ なをで、田さへぇ(入って)て 唄コえちらっで しとえこのうぢ(またたくまに)ぇ でげでしまたでを、して、

「さあ出げだ、おれぁ 上がるは」

て、あだり見だぱ、だーれを えねぇ(いない)ぐなて、わあ腰迄ぬがて はて(雪野)漕ぎ、やてらけど、して・サガナコなのぁ どごさ やたおだがわがらねえけど、、、、、。


「ヒラしゅあ 昼聞やたてがや、さし(さす)が えぇ 年の甲だ、さで、ちぎ(次)ぁ たしけ(太助)しゅだ」

て、言だば たで(舘)のたしけ(太助)ぁ、

「おら えぢばん(一番) あど(後)えなた、おれの やたな(やった)ごど みな(皆)やてらをで、かたる(語)な ねぇぐなてしまた。
んだ、去年のさぢぎぢぶん(田植え時季)だを そのぢぎ、こえたご(こんなこと)どぁ あてぁたけや」

始めたなぁ。ながまだぢ(仲間達)より、うんと、変た話コ であたど。

                            つづく