新河鹿沢通信   

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大雪その後

2009年12月26日 | 地域
COP15(国連気候変動枠組み条約国会議)最中、この冬は暖冬傾向の報道を真に受けたわけでもなっかったが、14日からの大雪はすざましかった。この大雪は日本だけではなく、ヨーロッパ、アメリカ大陸まで及んでいる。

12.19朝約65㎝ 自宅東側

一過性とは思うことだが、難航したCOP15とクロスしての大雪に複雑な思いがした。それにしても降り出した雪が、休みなく降るのは珍しいことだ。この間富士山で遭難があり、庄内鶴岡市の中心部で83㌢積雪の報道には驚いた。秋田でも雪は多い方の当地区は65㌢前後で他の地区と比較してもそれほど驚くほどの雪ではなかった。      モミジの実をついばむすずめ                                            
この間、初雪から40日後の大雪で「スズメ」など小鳥のえさ場が雪におおわれ、庭木のモミジに数羽飛んできて残っていたモミジの実を、雪を落としながらついばむ姿が見られた。面白いことに普段は里山の沢などで見られる「ミソサザイ」が雪なると必ず庭の「オンコ」の茂みにくる。昆虫やくも等や沢ガニを食べると言う「ミソサザイ」。             

ミソサザイという名前の由来はミソはミゾ、溝の事であるらしい。サザイはササイ、些細。
つまり溝些細。谷筋の溝に現れる小さい者と言う、ミソサザイとなるのだそうだ。体長11㌢程の鳥。体が小さいから動きもすばやい。雪が積もると「オンコ」の茂みに何か昆虫がいるのだろうか。今年も二羽間違いなく飛んできたがまもなくどこかに帰って行った。      

12.23 朝

一週間ほど続いた雪降りも、この週の初め頃から落ち着いてきた。            23日やや暖気がきて庭木の雪が落ちると、他のエサ場も雪が少なくなってか、「スズメ」も「ミソサザイ」も来ることはない。この冬も何回かこれも繰り返すこととなる。

大雪で近くのスキー場ではスキー場開きと同時に滑走できたそうだ。例年だと雪のないスキー場開きで関係者は毎日のよう空を仰いでいた。今年はこの雪で大いに満足しているようだ。                                                                                                                                           

           
                                          しかし、大きなブームの過ぎてしまったスキー人口。今年も混雑するほどの集客は期待できそうもない。それでもこの年末、年始市の中心部から数分の稲川スキー場は束の間(つかぬま)の賑わいになることだろう。

化けくらべ (4)舘の太助の自慢コ

2009年12月26日 | 民話
隣村のしぇんど(仙道)へ しから(力)のちぇ(強い) わかじぇ(若勢)ぁ えだけでぉの かわぢら(川連)の みまぎ〔親戚〕の田植えさ しけええて(手伝い)、早ぐおわて、遅昼のヨデコ(田植え祝い)ごっそう(ご馳走)えなて、山田のさが(坂)まで来たぢぎぁ(時)、晩方へなたけでお 魚コなのしぁげこ(酒)なの たっさえ(たくさん)貰て来たおで しこし えしょ〔急ぐ〕えだけでお。

「この分だば、明りうぢ えさえげる(家さ着く)」

て、さが(沢川)の上まで来たけでを、そのじぎ、林の木の陰え、なえが 動くおのぁ えるけでを、

「なえだべ?このあだりぁ えぐギヂネぁ出はるて言てらきゃ 
それだべがな、よしっ、んだば(そういう事)とて(捕る)えて キヂネ汁こしゃで(作って)く(食べる)べ」。

て、腹さ決め手、こそっと(こっそり)見でだば やっぱりキヂネだけでを、して、みらっでるな(見られている)気ぁちがねどめで(気がつかないと見えて)、ホンノ木の葉コ さんみゃ(三枚) たげぇ(持って)で、頭の上さかぶて ぐるぐるどまわたり でんぐりげぇ(回転)たり きてぁ(奇態)なごと しるおだけを

「このチキショぁ、俺え見らっでるな しらねで、なえがえ 化ける ちもり(つもり)だぁ」
て、見でだば、そのぢぎ じょえっ(直立)と たたど(立つた)思たば、えぇアネコ(良い娘)え ばげ(化)だけでを

「あっ チキショあ、おなごえばけやがた、どさがえて(どこかえ行って) わりごと(悪いこと) しななべゃ(すること)?、、よしっ あどぼて(後ろ追って)だましドごみで(騙すところを見て)としかめぇる(捕まえる)べ」

て、キチネアネコのあど ち(着いて)でえたでを、したば、ながねみぢ(長根道)西さ おれでえて、八幡様(八幡神社)さえたけでを

そこそごであ、なえが祈祷ごどぁ あた(あった)どめで、村のしとだぢァ(人たち)ろくしぢにん(六、七人)えで、たげぇ(持って)で来た、ジュッコ(重箱) あげで、酒コ飲み はぢめだどこだでを して、キヂネアネコあ、おかねがり(怖がらない)を しねぇで じょえじょえ(遠慮なく)ど 上さてえて、

「晩えなたんし、そご迄来たば、こっちぁ あまりげぇえ(あまりにも)
面白せぇそだおで、上がて見たば、皆ええしとだぢ(良い人達)の あぢばり(集まり)でたをな おらどこを かでで(加えて) けねぇべが(くれないか)」

て、ばなれ(場馴れ)だ てちき(手付き)で、酒コなの ち(注ぐ)でまわるおで「こおりゃ ええどさ来てけだ、やあっぱり酒コぁおなごの しゃぐでねばでげねぇ なあっしょ」

て、ちでもらて、だんだんにぎゃがえ なてきたけでを、、そのぢぎキヂネアネコぁ、周りのしとだぢえわがらねよえ(周りの人たちがわからないように)、わぁ(自分) 持て来た、からヂュッコ(空の重箱)さ アブラゲなの、ニシンの煮メなの かぐしはねぁだ(隠し始めた)でを、しぇぢ(それ)見でわがじぇあ(若勢)、

「えま(今)だっ」でをで、
「みんなぁ そのおなごあキヂネだぞ きしけろっ(気をつけろ) だまされんなっ」

て、キヂネめがげで とびぢだ(飛びついた)けでを、したば此の声でどでん(動転)して、たたしとど(そこそこと) ぶしかて(ぶつかって)、てぁはぢれ(体外れ)で しまて、えまべぁこ(もう少し) のどごで、ねがしてしまたけ(逃がしてしまった
でを、したば(そうすると)村のしとだぢぁ(人たち)、

「まんぢ(まず)こりゃ、おめぇえ(お前様) 来てもらわねぱ、キヂネえ
こばがえ(小馬鹿)されっどこでぇた、ほんとえ たしかた(助かった)なや」

て、てえね-え(ていねい) れえ(礼)言われで、神様さあげでだ、三宝さ山盛りの饅頭、皆けだ(くれた)おだけど、

「こりゃありがでおだ、人だしけ(人助け)したの、ひまだれ(道草)して、おそぐなた」

て、えしょ(急い)えでえさもどた(家に戻る)けど、して、えのしとだぢえ(家の人たち)、もうべえこで キヂネ汁 くえるどごでぁたごど 聞かぇで(出来事を聞かせて) もらて来たぁ饅頭 あげ(空け)て見だば、マクソ(馬糞)だけど、かわぢら(川連)がらの もれぇおの(もらいもの)、しぇだ(入れた)、テコダシのながみぁ、空えなてらけど、、、、。


舘の太助の話しコぁ 終わて、

「やあや、さしが(さすが)え 太しけしゅだ、裏の裏けぇだべたよ、あっはっはっはっはあ、、、」

て、大われえ(大笑い)して、それぞれのえ(家)さもどたでを したの、むらのしとだぢさ、おごどしたごど わし(わすれて)で、じまんかだり(自慢語り)え、むじゅう(夢中)え なてらどご、川連のおっさん(和尚)えかて、でらり(全部)きがれだでを(聞かれた)、
で、この後、なぢえなた(どうなったか)が、きぎ(聞く)でべのあした(明日)だ。
   
    つづく