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鬼雨と「あきたこまち」

2014年08月10日 | 農業
鬼雨はきうと読む。一般的にきうは喜雨、祈雨等がある。日本語大辞典、大辞泉に鬼雨の項目はなかった。鬼雨は今でいうゲリラ豪雨。ゲリラ豪雨は2008年の流行語大賞の一つになっている。それにしても今年の豪雨はゲリラを超えている。中国の中唐期(791~817)の詩人李賀は、鬼雨を「亡者のうめくように降りしきる雨」と表現した。積乱雲の波状攻撃を「バックビルディング現象」と呼ぶそうだが、すぐさま現象が想像されにくい。むしろ「鬼雨」の呼び名の方が言いえていると思う。台風12号、11号による雨は亡者、幽霊、怪物のごとく「鬼の雨」となって日本列島を襲っている。

そのような気象条件の中で、「あきたこまち」は出穂を迎えた。今年の梅雨の時期はほとんど雨がなかった。雨が少ないので転作大豆の生育はすばらしい。カラ梅雨の「あきたこまち」は出穂期に入りいつもの年より少し遅れ気味で7月の30日ごろから始まった。


走り穂のあきたこまち 2014.8.1

8月1日の状況は上の写真だが下の写真は6日の状況。左が坪当たり50株植えのもの、右側が坪当たり70株植えの他家のあきたこまち。出穂は苗の状態と植え株数、田植の時期で差がでる。出穂前の田んぼの田植は左の田んぼよりも3日も早かった。かつては苗代半作の言葉があった。苗質の違いは出穂期に現れる。数日違いの出穂でも収穫期はそれほどの違いはない。


あきたこまち ① 2014.8.6

秋田魁新報は8月7日以下の記事を掲載した。
本県コメ作況、103の「やや良」 調査会社7月末時点予想。コメ市況調査会社の米穀データバンクは6日、2014年産のコメ(水稲)の作況指数(平年=100)が全国で「やや良」の102になるとの7月末時点の予想を発表した。本県の作況指数は103の「やや良」。沖縄、佐賀の両県を除いて「やや良」か「平年並み」を見込み、同社は全国的な生育はおおむね順調とみている。

本県の作況について同社は「田植え後、日照がやや少ない時期もあったが、その後は気温、日照ともに平年を上回り、生育は順調」としている。国の作況指数が秋の収穫後に「やや良」で確定すれば3年連続となる。豊作によって生産が消費に比べて過剰気味となり、コメが値下がりする可能性が指摘されている。
秋田魁新報 2014.8.7 引用

秋田の冬まつりに大仙市刈和野の大綱引きがある。2014.2.10に開かれた。この綱引きは町を二分して上町と下町に分かれて長さ200m、重さ20トンの大綱を引く行事。上町と下町の分かれての綱引き。御利益は勝つた方の結果によって決められている。「豊作」と「米価が上がる」の判定になるが、今年の大綱引きでは下町が勝ち、「豊作」が予測されていた。

台風12号は4日に熱帯低気圧に変わったが、台風12号(NAKRI)による大雨、さらにそれに引き続く各地の大雨で被害が拡大した。消防庁の取りまとめによると、高知県や徳島県を中心に、全国で563棟の床上浸水、1127棟の床下浸水が生じています。青森や北海道での大雨は台風12号から変わった低気圧によるものです。高知県のアメダス繁藤の72時間雨量1184mmは、72時間雨量の歴代ランキングで11位に相当する雨量に達したと報道した。

8月に入って東北の青森や秋田でも激しい雨が降った。秋田県八峰町八森では172.5ミリと観測史上最大を記録。青森市では川が氾濫し、濁流が町に流れ込んだ。青森県五所川原市と鰺ヶ沢町では、一時1803世帯に避難指示が出された。

全国的に異常気象だ。台風11号は暴風域に入っている四国、近畿を中心に激しい雨、鬼雨が暴れている。時速20キロの比較的おそい台風は遅い分、各地に大雨の被害が心配される。東日本、北日本まで雨の拡大されている。


あきたこまち 穂揃い①と同じ場所 2012.8.10


日本気象協会 台風11号 2014年08月10日09:50発表 引用

先に発生した台風11号の速度はあまりにも遅く、各地で12号の大雨の後、11号による大雨、今年の「あきたこまち」には申し訳ない気分だ。せっかくの出穂時が台風がらみの曇天で日照不足気味。秋田は湯沢地方を除いて12号の影響の鬼雨に見舞われた。今度は台風11号による鬼雨の予測がある。今年は台風の当たり年か、すでに13号も発生。さいわい13号は日本列島から離れているので影響はなさそうだ。しかし、今年の日本列島は「収穫の秋」までまだいくつかの台風が心配される。

今年の暴れる「鬼の雨」は、「驕る政治」への警鐘の意味合いが大きいのかもしれない。