日本穀物検定協会(穀検、東京)は14日、2012年産米の「食味ランキング」を発表した。県産延べ4銘柄のうち、県南のあきたこまちが最高評価の「特A」になった。県産米は2年連続で特Aを逃しており、特A獲得は3年ぶり。穀検は県南のこまちを「粒が大きく外観が優れていた。粘りが十分で軟らかく、全体のバランスが良かった」と評価した。県産の他の3銘柄は、県北、県央のこまちが特Aに次ぐ「A」。県央のひとめぼれはその下の「Aダッシュ」だった。11年産の県南のこまちはAダッシュで、全国で唯一、2段階アップした。東北6県では25銘柄が審査され、青森県を除く5県の7銘柄が特A。山形県は4銘柄のうち3銘柄が特Aだった。(2013/02/15 秋田魁新報)
早朝の穂揃い「あきたこまち」朝露がまぶしい。
拡大は次の写真 鍋釣山からの優しい朝日で朝露はまるで数えきれない宝石のように輝く。(2012.8.4)
秋田魁新報は2月15日に報道した。
県南の「あきたこまち」が「特A」から「A」に落ちて早くも10年以上となる。「あきたこまち」誕生から30年近くになる。秋田の農民にとっての「あきたこまち」は大きな期待と歓迎で迎えられた。
「あきたこまち」の前は冷害に強く多収の「アキヒカリ」だった。この品種で反収12俵とか750キロとかの収穫で話はもちきりだった。それが米作りの方向が多収の品種から食味重視のコシヒカリが主流となり、コシヒカリの血統を引き継ぐ「あきたこまち」が誕生、斬新なネーミイングとその食味は瞬く間に食卓を占領してきた。
しかし、私には脚光浴びるネーミングに多少の違和感があった。
米は増収の時代から1970年になってトーンダウン。減反の時代に突入した。
増収から減反の衝撃は大きかった。出稼ぎの増加は都会同様に鍵っ子を増加し、後継者不足は三ちゃん農業の増加となり、離農や離村は地方の商業、経済を確実に衰退へ向かわせた。
米生産に暗雲の漂っていた時代、美人を育てる秋田米「あきたこまち」の誕生は久しぶりに農家に前進への足掛かりとなった感が生まれたが、秋田県のイメージの強い「あきたこまち」は他県の農家には抵抗があったことだろうと思う。一つの地域をイメージする「あきたこまち」の名称は果たして適当かとの発言に耳を貸すものは少なかった。
心配を超えて、その後「あきたこまち」は瞬く間に全国に広まった。30数県は越えて栽培されたと云う。
秋田の農家は減反の強化で一部の農家に良食味と多収の栽培に向わせていた。しかし、「あきたこまち」多肥栽培では倒伏にとても弱い品種であった。一時期秋田県南、横手盆地の稲刈り前の国道沿いの田んぼの倒伏は、目の背けたくなる風景で情けなかった。「布団を敷いたような姿」に稲がつぶれたと地域では云う。とても収穫の秋、美味しそうな「あきたこまち」は連想されない。
そのような状況で業者は倒伏防止剤を販売しだした。倒伏防止剤は稲の成長期に散布することで生育をセーブし稲を短くする作用があった。植物成長抑制剤で稲の成育期に散布することで確実に米の食味を落とした。植物成長抑制剤で生育を抑制することによって稲の倒伏を防止することにあった。F1(遺伝子組み換え)の種はいち早く昭和50年代に飼料作物としてデントコーンが入って来ていた。F1の種子は自家採取ができない。この種子を導入してしまうと穀物メジャーの軍門に下り、しまいには栽培も管理状態になってしまう危険がはらんでいる。
食べ物の生産に植物成長抑制剤の使用は、世界の食物メジャーの種子独占や遺伝子組み換え操作を連想させた。植物成長抑制剤の成分は、植物の細胞を縦方向に伸長させる植物ホルモン(ジベレリン)の植物体内での合成を邪魔することにより、イネの背丈を5~10%程度低くして収穫期まで倒れにくくする。ホルモン操作することにある。「食べ物は植物や動物の命をいただいている」という原則からみれば植物成長抑制剤の使用は「植物に対する人間の驕り」とさえ感じていた。
地域には「あきたこまち」の倒伏防止に倒伏防止剤の使用が明らかにわかる稲が見られた。すべてとは断言はできないだろうが、県南の「あきたこまち」はその結果、日本穀物検定協会の「食味ランキング」が特Aから陥落。AになりAダッシュまで評価を落とすことになった。
私たちのグループは「あきたこまち」誕生直後に郡、市に「あきたこまち栽培研究会」、JAに有機米研究会を昭和63年に立ち上げて活動。「あきたこまち」の良質味の性質を生かした栽培を提唱してきた。
「栽培管理」という考えに違和感があった。管理するなどという考えに一種の人間の傲慢さえ感じていた。稲は栽培管理するのではなくて「生長を手助けすることのよって本来の味をもった米が生まれるのだ」。との考えは圧倒的な増収派にはかき消されるような活動だった。
反面、当時名古屋や東京の卸、米屋さんからは強い支持を得ていたが多くの消費者の要望に応えるための数量はほど遠い生産量しかなかった。増収派の考える栽培方法を「手助け」派に変えることはできなかった。当たり前のことだった。価格が同じなら収量の多いければ単位当たりの収入が多い。有機、減農薬栽培には冷ややかな状態が続いていた。
今振り返ってみて、秋田県南の食味ランキングの特Aから陥落は何年続いただろうか。
「あきたこまち」の特徴を生かす栽培、いい変えれば「お米」の旨さを引き出す栽培は生産者の義務かもしれない。そのように考えて田んぼに出勤してきた。自然を相手の作物は、必ずしもそんな思いを反映する姿に生育するとは限らない。だからは試行錯誤は当分続く。
近年低農薬米や有機栽培は一般語となってきた。さすが多肥栽培で稲の倒伏などは激減してきた。かつての多収からより良食味の栽培に代わってきたし、各地で誕生してきたうまい品種の米は九州から北海道まで浸透、産地間競争は以前よりも活発になってきていた。かつての低食味と言われた地域の米が極光浴びるようになったきた。
2012産県南「あきたこまち」が10年ぶりに特Aに復活。2011年産の「県南の「あきたこまち」はAダッシュで、全国で唯一、2段階アップした」と云う。こまち誕生後しばらく特AだったのがAに陥落、その後Aダッシュ。特A復活までずいぶん長い時間がかかったことになる。なにはともあれ喜ばしいことだ。これは秋田県南の農家が本来の稲の栽培に回帰してきた結果ではなかろうかとも思われる。
冒頭の記事は特Aを報じる地方紙「秋田魁新報」、下は「日本農業新聞」だ。報道の仕方に少し落差を思うは気のせいだろうか。
日本穀物検定協会(穀検)は14日、2012年産米の食味ランキングを発表した。対象の128産地銘柄のうち、過去最多の29産地銘柄が最高評価の「特A」だった。ただ高温耐性品種の導入が進む九州勢が評価を高める一方、米どころの東北産で特Aからの格下げが相次いだ。特AとAの東西の割合は、ランキング開始以来初めて西が上回った。
地域別では、前年産に続き九州産地が躍進。長崎「にこまる」、熊本・城北「ヒノヒカリ」が5年連続、佐賀「さがびより」が3年連続、福岡「元気つくし」が2年連続で特A。新品種の熊本「くまさんの力」は初登場で特Aだった。北海道産も「ななつぼし」が3年連続、「ゆめぴりか」が2年連続で特Aと安定感を発揮。北陸では、新潟産の7銘柄中4銘柄が特Aで、福井「コシヒカリ」「ハナエチゼン」が初めて特Aになり、石川「コシヒカリ」も21年ぶりに特Aに返りざいた。
一方で東北は、秋田・県南「あきたこまち」が10年ぶりに特Aになったが、宮城・県中「ひとめぼれ」、山形「ひとめぼれ」、福島・会津「コシヒカリ」、同・中通「ひとめぼれ」は特AからAにランクを落とした。穀検は「温暖化がマイナスに作用した」との見方を示した。
三重以東の「東日本」と、滋賀以西の「西日本」で特AとAの合計の割合を比較すると、東日本が71%で、西日本が72%だった。(日農2013.2.15)
早朝の穂揃い「あきたこまち」朝露がまぶしい。
拡大は次の写真 鍋釣山からの優しい朝日で朝露はまるで数えきれない宝石のように輝く。(2012.8.4)
秋田魁新報は2月15日に報道した。
県南の「あきたこまち」が「特A」から「A」に落ちて早くも10年以上となる。「あきたこまち」誕生から30年近くになる。秋田の農民にとっての「あきたこまち」は大きな期待と歓迎で迎えられた。
「あきたこまち」の前は冷害に強く多収の「アキヒカリ」だった。この品種で反収12俵とか750キロとかの収穫で話はもちきりだった。それが米作りの方向が多収の品種から食味重視のコシヒカリが主流となり、コシヒカリの血統を引き継ぐ「あきたこまち」が誕生、斬新なネーミイングとその食味は瞬く間に食卓を占領してきた。
しかし、私には脚光浴びるネーミングに多少の違和感があった。
米は増収の時代から1970年になってトーンダウン。減反の時代に突入した。
増収から減反の衝撃は大きかった。出稼ぎの増加は都会同様に鍵っ子を増加し、後継者不足は三ちゃん農業の増加となり、離農や離村は地方の商業、経済を確実に衰退へ向かわせた。
米生産に暗雲の漂っていた時代、美人を育てる秋田米「あきたこまち」の誕生は久しぶりに農家に前進への足掛かりとなった感が生まれたが、秋田県のイメージの強い「あきたこまち」は他県の農家には抵抗があったことだろうと思う。一つの地域をイメージする「あきたこまち」の名称は果たして適当かとの発言に耳を貸すものは少なかった。
心配を超えて、その後「あきたこまち」は瞬く間に全国に広まった。30数県は越えて栽培されたと云う。
秋田の農家は減反の強化で一部の農家に良食味と多収の栽培に向わせていた。しかし、「あきたこまち」多肥栽培では倒伏にとても弱い品種であった。一時期秋田県南、横手盆地の稲刈り前の国道沿いの田んぼの倒伏は、目の背けたくなる風景で情けなかった。「布団を敷いたような姿」に稲がつぶれたと地域では云う。とても収穫の秋、美味しそうな「あきたこまち」は連想されない。
そのような状況で業者は倒伏防止剤を販売しだした。倒伏防止剤は稲の成長期に散布することで生育をセーブし稲を短くする作用があった。植物成長抑制剤で稲の成育期に散布することで確実に米の食味を落とした。植物成長抑制剤で生育を抑制することによって稲の倒伏を防止することにあった。F1(遺伝子組み換え)の種はいち早く昭和50年代に飼料作物としてデントコーンが入って来ていた。F1の種子は自家採取ができない。この種子を導入してしまうと穀物メジャーの軍門に下り、しまいには栽培も管理状態になってしまう危険がはらんでいる。
食べ物の生産に植物成長抑制剤の使用は、世界の食物メジャーの種子独占や遺伝子組み換え操作を連想させた。植物成長抑制剤の成分は、植物の細胞を縦方向に伸長させる植物ホルモン(ジベレリン)の植物体内での合成を邪魔することにより、イネの背丈を5~10%程度低くして収穫期まで倒れにくくする。ホルモン操作することにある。「食べ物は植物や動物の命をいただいている」という原則からみれば植物成長抑制剤の使用は「植物に対する人間の驕り」とさえ感じていた。
地域には「あきたこまち」の倒伏防止に倒伏防止剤の使用が明らかにわかる稲が見られた。すべてとは断言はできないだろうが、県南の「あきたこまち」はその結果、日本穀物検定協会の「食味ランキング」が特Aから陥落。AになりAダッシュまで評価を落とすことになった。
私たちのグループは「あきたこまち」誕生直後に郡、市に「あきたこまち栽培研究会」、JAに有機米研究会を昭和63年に立ち上げて活動。「あきたこまち」の良質味の性質を生かした栽培を提唱してきた。
「栽培管理」という考えに違和感があった。管理するなどという考えに一種の人間の傲慢さえ感じていた。稲は栽培管理するのではなくて「生長を手助けすることのよって本来の味をもった米が生まれるのだ」。との考えは圧倒的な増収派にはかき消されるような活動だった。
反面、当時名古屋や東京の卸、米屋さんからは強い支持を得ていたが多くの消費者の要望に応えるための数量はほど遠い生産量しかなかった。増収派の考える栽培方法を「手助け」派に変えることはできなかった。当たり前のことだった。価格が同じなら収量の多いければ単位当たりの収入が多い。有機、減農薬栽培には冷ややかな状態が続いていた。
今振り返ってみて、秋田県南の食味ランキングの特Aから陥落は何年続いただろうか。
「あきたこまち」の特徴を生かす栽培、いい変えれば「お米」の旨さを引き出す栽培は生産者の義務かもしれない。そのように考えて田んぼに出勤してきた。自然を相手の作物は、必ずしもそんな思いを反映する姿に生育するとは限らない。だからは試行錯誤は当分続く。
近年低農薬米や有機栽培は一般語となってきた。さすが多肥栽培で稲の倒伏などは激減してきた。かつての多収からより良食味の栽培に代わってきたし、各地で誕生してきたうまい品種の米は九州から北海道まで浸透、産地間競争は以前よりも活発になってきていた。かつての低食味と言われた地域の米が極光浴びるようになったきた。
2012産県南「あきたこまち」が10年ぶりに特Aに復活。2011年産の「県南の「あきたこまち」はAダッシュで、全国で唯一、2段階アップした」と云う。こまち誕生後しばらく特AだったのがAに陥落、その後Aダッシュ。特A復活までずいぶん長い時間がかかったことになる。なにはともあれ喜ばしいことだ。これは秋田県南の農家が本来の稲の栽培に回帰してきた結果ではなかろうかとも思われる。
冒頭の記事は特Aを報じる地方紙「秋田魁新報」、下は「日本農業新聞」だ。報道の仕方に少し落差を思うは気のせいだろうか。
日本穀物検定協会(穀検)は14日、2012年産米の食味ランキングを発表した。対象の128産地銘柄のうち、過去最多の29産地銘柄が最高評価の「特A」だった。ただ高温耐性品種の導入が進む九州勢が評価を高める一方、米どころの東北産で特Aからの格下げが相次いだ。特AとAの東西の割合は、ランキング開始以来初めて西が上回った。
地域別では、前年産に続き九州産地が躍進。長崎「にこまる」、熊本・城北「ヒノヒカリ」が5年連続、佐賀「さがびより」が3年連続、福岡「元気つくし」が2年連続で特A。新品種の熊本「くまさんの力」は初登場で特Aだった。北海道産も「ななつぼし」が3年連続、「ゆめぴりか」が2年連続で特Aと安定感を発揮。北陸では、新潟産の7銘柄中4銘柄が特Aで、福井「コシヒカリ」「ハナエチゼン」が初めて特Aになり、石川「コシヒカリ」も21年ぶりに特Aに返りざいた。
一方で東北は、秋田・県南「あきたこまち」が10年ぶりに特Aになったが、宮城・県中「ひとめぼれ」、山形「ひとめぼれ」、福島・会津「コシヒカリ」、同・中通「ひとめぼれ」は特AからAにランクを落とした。穀検は「温暖化がマイナスに作用した」との見方を示した。
三重以東の「東日本」と、滋賀以西の「西日本」で特AとAの合計の割合を比較すると、東日本が71%で、西日本が72%だった。(日農2013.2.15)
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