秋田の地方紙、秋田魁新報は12月18日以下の記事を掲載した。
13年農業産出額、本県8.6%減 東北最下位、米価下落が影響
「農林水産省がまとめた秋田県の2013年農業産出額は1716億円で、前年に比べて8.6%(161億円)減少した。米価の下落が主な要因。産出額は東北6県で最下位だった。本県の産出額のうちコメは1012億円で、前年に比べて15.8%(192億円)下がった。全国的な供給過剰と消費低迷を受け、JA全農あきたの13年産米の概算金(あきたこまち1等、60キロ)が前年比2000円ダウンの1万1500円になるなど、価格が大幅に低下したことが響いた。14年産米の概算金(同)は8500円まで下がっており、14年の産出額にも大きく影響するとみられる」
「13年の本県の産出額に占めるコメの比率は59.0%。東北で最も高かった。コメに次いで多いのが野菜で2億円増の241億円(構成比14.0%)。3位の豚は14億円増の171億円(10.7%)。果実69億円(4.0%)、鶏卵60億円(3.5%)、肉用牛46億円(2.7%)と続いた」 2014/12/18 08:41 引用
2014年産米の概算価格は、60Kで前年比で3000円安となった。平成13年度が12年度より8.6%減(161億円)となれば平成14年度はさらに対前年比10%以上の激減が予想される。さらに前政権が創設した農家者戸別所得保障制度、全国一律の定額補償10アール当たり15,000円だったが現政権は半額の7,500円に減額した。2年間の概算価格暴落で60キロ当たり5,000円の減、農家者戸別所得保障の減と合わせれば、10アール当たりで約50,000円も少ない。1ha規模で30~40万円減、短期間にこの暴落価格に対応できなかったのは当然の帰結。円安、消費税増、便乗値上げはそのまま地方の衰退に向かっている。
秋田魁新報紙によれば2003年の農業産出額2,208億円から2013年は1,716億円、492億円の減。2014年度は前年比200億円以上の減が予想される。この額は2003年比で約700億円の減となる。農業産出額が10年前から1/3も減ってしまった。
地方の経済は農業所得と密接な関係にあり、農業の衰退は地方の経済を左右するのは当然なことだ。年に200億円前後の産出額低下は即消費支出の反映される。市街のシャッター通りはますます大きくなる。
傲慢な政権はさらに加速している。先の沖縄知事選挙で当選した知事に対するシカト作戦は露骨と見える。官房長官はTV番組で面会と挨拶を打診していた沖縄県知事に、「会う必要がない」等と突っぱねたという。1月11日の佐賀県知事選挙でも現政権はオゴリを前面にした選挙戦を展開し敗れた。実質的に農協解体を狙う政権はJAグループ佐賀に敗退とも見える。
この選挙は玄海原発の再稼働をネラう政権が、先の総選挙に現職知事を回したために知事選挙になった。農協解体へ向かう政権が地方の実情を正しく把握せずに強引な選挙、戦術に佐賀県民が拒否したことにある。この選挙結果は佐賀一地方にとどまらないだろう。テレビは連日官邸から閣僚や党幹部を相次いで投入し勝利を目指した。オゴリが強化されてきた官房長官は、地方創生を前面に展開し「農業の六次化と規模拡大政策」のスローガンを、さも地方再生の特効薬かのような発言をテレビは報道していた。
農業の六次化は今から約30年前、今村奈良臣現東大名誉教授が提唱した造語だ。昭和63年6月(1988)稲川町(現湯沢市)を「自然にやさしい、豊かな暮らし」にするために「いなかわ地域・農業振興推進会議」が発足した。3年間にわたる調査、セミナー、交流会等開催され、多くの農業者も参画して貴重な提言等が行われた。今村教授は「農業振興推進会議」にも関係し「農業の六次化」を提唱した。「六次化産業」とは「一次産業」の農業、「二次産業」の鉱業、建設、製造業、三次産業」の卸小売、金融、運輸通信、サービス業を足して「六次産業」とした。これまで農業は生産過程だけだったが、二次産業的加工や三次産業部分の情報、流通部分を農業分野に可能な限り取り戻そうという提案は、当時は新鮮な響きがあった。
あれから30年近く経過してどのように「六次産業化」が進展してきたのかは一目瞭然とも云える。現政権は先の佐賀県知事選挙でも農業の振興策の一つとして、街頭から「六次化」を訴えていたがどれほどの人が共鳴しただろうか。アメとムチの政権は「六次化」を提唱しながら農協解体、株式会社の農業参入を可能とし、土地ごと一括りに支配しようとする姿が予見される。
「安倍首相が推し進める「所得倍増計画」とは、農業の競争力を強化しながら10年間で農業所得を倍増させるものだ。主な計画としては、これまで農作物の生産のみに携わってきた農家を1次産業から脱却させ、生産・加工・販売まですべてを担う6次産業化を目指す。これによって農産品のブランド化や付加価値が高まり、現在1兆円の市場規模を10年後には10兆円にまで押し上げることができるとしている」。 引用
「下落の農業秋田」の最大の要因は、究極の市場原理政策で他の物価と比較して安すぎる米価格にある。現在消費される米の価格は茶碗一杯25~28円ほどにしか当たらない。120円の缶コーヒー一本の価格で茶わん4,5杯分が食べられることになる。この茶碗一杯の25円前後から生産者に渡る米の値段は15円以下にしかならない。生産者はこの価格から肥料、農薬、資材、労賃等が差し引くことになるが、現在の米価格では作るほど赤字になる。
この国の政府はこの値段でも高いから下げろというのが農業政策になっている。多くの農民は「六次化」や、隣を追い出さなければ達成できない規模拡大政策からの距離を置いたのは健全な姿ともいえる。特に平成25,26年産の米概算価格では他人の田んぼを引き受け規模拡大した農家はコスト低減に追いつかない。かつて規模拡大策を実践してきた畜産農家の多くはすでにリタイヤしている。各地に無残な廃畜舎が痛々しい姿で残っている。米だけの水田単作では成り立たないのは当然なことだ。他の作物と複合的に結びつけてこそ農業の真価が発揮されるのだが、いつのまにか複合経営が駆逐されてしまった。市場原理の市場ではコスト低減だけが叫ばれ、規模拡大が重視された結果、農業・農村の姿が激変してしまった。高い資材と労賃で安い農産物は生産できない。
30年前に提唱された「六次化」の行きつく先は、他の企業の参入を可能にする政策で、農業・農村の活性とは違う方向をめざしている。驕る政権は地方、農業の実情を把握もせずスローガン政策で地方が創生されるかの幻想をふりまいている。
13年農業産出額、本県8.6%減 東北最下位、米価下落が影響
「農林水産省がまとめた秋田県の2013年農業産出額は1716億円で、前年に比べて8.6%(161億円)減少した。米価の下落が主な要因。産出額は東北6県で最下位だった。本県の産出額のうちコメは1012億円で、前年に比べて15.8%(192億円)下がった。全国的な供給過剰と消費低迷を受け、JA全農あきたの13年産米の概算金(あきたこまち1等、60キロ)が前年比2000円ダウンの1万1500円になるなど、価格が大幅に低下したことが響いた。14年産米の概算金(同)は8500円まで下がっており、14年の産出額にも大きく影響するとみられる」
「13年の本県の産出額に占めるコメの比率は59.0%。東北で最も高かった。コメに次いで多いのが野菜で2億円増の241億円(構成比14.0%)。3位の豚は14億円増の171億円(10.7%)。果実69億円(4.0%)、鶏卵60億円(3.5%)、肉用牛46億円(2.7%)と続いた」 2014/12/18 08:41 引用
2014年産米の概算価格は、60Kで前年比で3000円安となった。平成13年度が12年度より8.6%減(161億円)となれば平成14年度はさらに対前年比10%以上の激減が予想される。さらに前政権が創設した農家者戸別所得保障制度、全国一律の定額補償10アール当たり15,000円だったが現政権は半額の7,500円に減額した。2年間の概算価格暴落で60キロ当たり5,000円の減、農家者戸別所得保障の減と合わせれば、10アール当たりで約50,000円も少ない。1ha規模で30~40万円減、短期間にこの暴落価格に対応できなかったのは当然の帰結。円安、消費税増、便乗値上げはそのまま地方の衰退に向かっている。
秋田魁新報紙によれば2003年の農業産出額2,208億円から2013年は1,716億円、492億円の減。2014年度は前年比200億円以上の減が予想される。この額は2003年比で約700億円の減となる。農業産出額が10年前から1/3も減ってしまった。
地方の経済は農業所得と密接な関係にあり、農業の衰退は地方の経済を左右するのは当然なことだ。年に200億円前後の産出額低下は即消費支出の反映される。市街のシャッター通りはますます大きくなる。
傲慢な政権はさらに加速している。先の沖縄知事選挙で当選した知事に対するシカト作戦は露骨と見える。官房長官はTV番組で面会と挨拶を打診していた沖縄県知事に、「会う必要がない」等と突っぱねたという。1月11日の佐賀県知事選挙でも現政権はオゴリを前面にした選挙戦を展開し敗れた。実質的に農協解体を狙う政権はJAグループ佐賀に敗退とも見える。
この選挙は玄海原発の再稼働をネラう政権が、先の総選挙に現職知事を回したために知事選挙になった。農協解体へ向かう政権が地方の実情を正しく把握せずに強引な選挙、戦術に佐賀県民が拒否したことにある。この選挙結果は佐賀一地方にとどまらないだろう。テレビは連日官邸から閣僚や党幹部を相次いで投入し勝利を目指した。オゴリが強化されてきた官房長官は、地方創生を前面に展開し「農業の六次化と規模拡大政策」のスローガンを、さも地方再生の特効薬かのような発言をテレビは報道していた。
農業の六次化は今から約30年前、今村奈良臣現東大名誉教授が提唱した造語だ。昭和63年6月(1988)稲川町(現湯沢市)を「自然にやさしい、豊かな暮らし」にするために「いなかわ地域・農業振興推進会議」が発足した。3年間にわたる調査、セミナー、交流会等開催され、多くの農業者も参画して貴重な提言等が行われた。今村教授は「農業振興推進会議」にも関係し「農業の六次化」を提唱した。「六次化産業」とは「一次産業」の農業、「二次産業」の鉱業、建設、製造業、三次産業」の卸小売、金融、運輸通信、サービス業を足して「六次産業」とした。これまで農業は生産過程だけだったが、二次産業的加工や三次産業部分の情報、流通部分を農業分野に可能な限り取り戻そうという提案は、当時は新鮮な響きがあった。
あれから30年近く経過してどのように「六次産業化」が進展してきたのかは一目瞭然とも云える。現政権は先の佐賀県知事選挙でも農業の振興策の一つとして、街頭から「六次化」を訴えていたがどれほどの人が共鳴しただろうか。アメとムチの政権は「六次化」を提唱しながら農協解体、株式会社の農業参入を可能とし、土地ごと一括りに支配しようとする姿が予見される。
「安倍首相が推し進める「所得倍増計画」とは、農業の競争力を強化しながら10年間で農業所得を倍増させるものだ。主な計画としては、これまで農作物の生産のみに携わってきた農家を1次産業から脱却させ、生産・加工・販売まですべてを担う6次産業化を目指す。これによって農産品のブランド化や付加価値が高まり、現在1兆円の市場規模を10年後には10兆円にまで押し上げることができるとしている」。 引用
「下落の農業秋田」の最大の要因は、究極の市場原理政策で他の物価と比較して安すぎる米価格にある。現在消費される米の価格は茶碗一杯25~28円ほどにしか当たらない。120円の缶コーヒー一本の価格で茶わん4,5杯分が食べられることになる。この茶碗一杯の25円前後から生産者に渡る米の値段は15円以下にしかならない。生産者はこの価格から肥料、農薬、資材、労賃等が差し引くことになるが、現在の米価格では作るほど赤字になる。
この国の政府はこの値段でも高いから下げろというのが農業政策になっている。多くの農民は「六次化」や、隣を追い出さなければ達成できない規模拡大政策からの距離を置いたのは健全な姿ともいえる。特に平成25,26年産の米概算価格では他人の田んぼを引き受け規模拡大した農家はコスト低減に追いつかない。かつて規模拡大策を実践してきた畜産農家の多くはすでにリタイヤしている。各地に無残な廃畜舎が痛々しい姿で残っている。米だけの水田単作では成り立たないのは当然なことだ。他の作物と複合的に結びつけてこそ農業の真価が発揮されるのだが、いつのまにか複合経営が駆逐されてしまった。市場原理の市場ではコスト低減だけが叫ばれ、規模拡大が重視された結果、農業・農村の姿が激変してしまった。高い資材と労賃で安い農産物は生産できない。
30年前に提唱された「六次化」の行きつく先は、他の企業の参入を可能にする政策で、農業・農村の活性とは違う方向をめざしている。驕る政権は地方、農業の実情を把握もせずスローガン政策で地方が創生されるかの幻想をふりまいている。
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