河北新報オンラインニュースは9月21日以下の記事を配信した。
14年産米概算金、暴落 東北まとめ 東北の全農各県本部が、農家から販売委託を受けた際に支払う2014年産米の概算金が出そろった。各県の主要銘柄は前年比1200~4200円の大幅下落となり、おしなべて過去最低を記録した。コメの需要減と過剰在庫、東日本の豊作予想が重なり、一気に価格破壊を招いた形だ。
河北新報 引用
稲を収穫する機械にコンバインがある。コンバイン作業とは稲を刈り取ると同時に脱穀できる農機具、新品で600万から最新式の高性能コンバインだと1300万円は超える、30aの面積を1時間弱で作業を終える。収穫を終えた田んぼに人はいない。収穫を委託した農家は作業代金の支払いを迎えた。
コンバイン稲刈り作業 川連町田屋面 2014.10.5
湯沢市標準農作業料金が、平成26年4月15日発行の市の広報で紹介されている。ほとんど農家はこの標準農作業料金で作業代金等を計算している。
今年のあきたこまち米概算価格60K当たり、8500円は昨年比26%、平成24年産比では37%安い価格になっている。(25年11500円、24年13500円)この短期間の暴落に農家は対応できない。国が進める規模拡大農家ほど直撃、破産は現実のものになった。各地の悲惨な状況は週刊誌でも取り上げるようになった。
一般農家は今年の概算価格8500円の内、3000円は7月に前渡し金として受け取っている。JAへ出荷で残りの5500円が口座に振り込まれる。平均収量540kとして計算すると10a当たり76500円の内27000円は入金済みで、春作業代金10a当たり耕起・代掻き、田植、苗代等計34500円、コンバインによる収穫作業代金、生乾燥、もみすり調整代金31800円、合わせて66300円の支払額となる。委託農家はこの代金の支払いが優先される。
さらに11月に入るとJA等へ肥料、農薬、資材代金に、土地改良区費、固定資産税等約25000円~30000円がプラスされ、春秋の作業代金等合計額は91300円~96300円となる。今年の米概算金額76500円では支払いができない。10a当たり20000円は足りない。さらに管理した労働費はどこからも産出されない。兼業農家の多くは田んぼにを植えてしまえば、田んぼ作付に農業以外からの収入をプラスしなければならなくなった。当然自分が食べる米もない。これでは高い年貢に翻弄された江戸時代並か、それ以下かも知れない。以上が作業委託農家の実態。
一方農機具を所有している農家はコンバイン平均800万、田植え機250万、トラクター500万、乾燥調製施設1000万の償却費算出は困難。機械更新期になれば廃業せざるを得ないと話している。
JA組織は平成13年産等の過剰在庫を理由に、14年産米の概算金を大幅に切り下げた。コメ余りの発端は2011年3月に発生した大震災だ。収穫量の多い東北地方が被災し、品薄への危機感から価格が上昇。翌12年産も「念のためにコメを確保する動きが続いた」(市場関係者)ため、高値が続いたといわれているが、今回の在庫過剰説は高値の在庫処理の口実になってはいないか。卸業者にとっては価格が安いことは大歓迎になる。
平成26年産相対取引価格低下から小売価格が大幅に下がったとしても、米の消費量が増えるとことにはならない。生産者が危惧するのは安過ぎる米の値段がそのまま定着しまうことにある。今回のJA組織の対応は取り返しの難しい局面を作り出し、組合員農家に計り知れない衝撃を与えた。早晩破産が現実になるドアホノミクスの中で、平成26年産暴落概算価格は地方経済の崩壊を加速させた。
公益社団法人「米穀安定供給確保支援機構」では、米の消費状況を把握するため、全国の消費世帯を対象とした「米の消費動向調査」を毎月行っている。最近の調査によれば一ケ月、一人当たりの米の消費量平成18年4877g、大震災の平成23年4841g、平成24年4909g、平成25年4466g、平成26年8月までは平均4670gとなっている。これによれば平成25年度は前年より0.9ポイント下がったが今年になって逆に前年対比1.05まで伸びている。この数字に12ケ月を乗ずると今年の場合、一人あたりの米の消費量は計算上一年で約56Kとなる。平成25年調査、日本の人口1.272億人で計算上712万トンの消費量が出てくる。ちなみに平成25年産の生産量は860万トンといわれている。
しかし、統計調査の生産量の計算は網目1.7ミリでくず米も含まれている。現在農家は網目は1.85~1.90で調整している。一説には収量差が30~40万トンともいわれている。特に平成26年産はもみ数が多く登熟が悪い傾向にあることから、ふるい下米が多くなり、主食用米の供給が減少する可能性もあると農水省は見ている。
農業情報研究所 10月9日 引用
この調査結果からみても、在庫が増えたのは消費が減ったからと宣伝されているが、必ずしも消費は大幅には減少していない。少し減少したのは外食だ。庶民のふところがさえない状況下では当然の帰結と思える。だから消費が減ったとの論は、外食産業と攻めの農業を推進する現政権の恣意的現象とも見える。家庭内消費は多少の変移があるが、近年の消費量の変動はそれほど大きくない。むしろ消費税増税の中では大きく減少するとは思えない。
米穀機構 平成26年8月分 引用
この消費動向調査からみて、全国組織の全農と販売組織が作り出した過剰在庫説、ここまで概算金暴落が必要だったのか疑いさえ出てくる。増税ですべての価格が上昇傾向の中で下がっているのは唯一米だけ、その結果耕作放棄は拡大されることは確実になった。農家から遠くなるJA組織はいずれ、存続の危機を迎える。TPPを推進し「戦後レジームからの脱却」等という現政権にとって都合のよい結果にしか過ぎない。
今年は国連が定めた「国際家族農業年」(略称IYFF2014)だ。TPPに象徴される自由化の行きつく先には、規模拡大農業推進策で既存農家を駆逐し、すべての農産物が価格のみを評価、これでは環境や地域社会を支えてきた家族農業が消えてしまう。家族農業の崩壊で地域社会は成り立たない。今回の価格暴落に現政権は今のところ対応策はなにも示していない。具体的なものの無い「地方創生」、「農業・農村所得倍増計画」は取ってつけたようなスローガンだけだ。
「国際家族農業年」が日本では「農業廃業」、「地方崩壊」の序曲の年になってしまうのか。
14年産米概算金、暴落 東北まとめ 東北の全農各県本部が、農家から販売委託を受けた際に支払う2014年産米の概算金が出そろった。各県の主要銘柄は前年比1200~4200円の大幅下落となり、おしなべて過去最低を記録した。コメの需要減と過剰在庫、東日本の豊作予想が重なり、一気に価格破壊を招いた形だ。
河北新報 引用
稲を収穫する機械にコンバインがある。コンバイン作業とは稲を刈り取ると同時に脱穀できる農機具、新品で600万から最新式の高性能コンバインだと1300万円は超える、30aの面積を1時間弱で作業を終える。収穫を終えた田んぼに人はいない。収穫を委託した農家は作業代金の支払いを迎えた。
コンバイン稲刈り作業 川連町田屋面 2014.10.5
湯沢市標準農作業料金が、平成26年4月15日発行の市の広報で紹介されている。ほとんど農家はこの標準農作業料金で作業代金等を計算している。
今年のあきたこまち米概算価格60K当たり、8500円は昨年比26%、平成24年産比では37%安い価格になっている。(25年11500円、24年13500円)この短期間の暴落に農家は対応できない。国が進める規模拡大農家ほど直撃、破産は現実のものになった。各地の悲惨な状況は週刊誌でも取り上げるようになった。
一般農家は今年の概算価格8500円の内、3000円は7月に前渡し金として受け取っている。JAへ出荷で残りの5500円が口座に振り込まれる。平均収量540kとして計算すると10a当たり76500円の内27000円は入金済みで、春作業代金10a当たり耕起・代掻き、田植、苗代等計34500円、コンバインによる収穫作業代金、生乾燥、もみすり調整代金31800円、合わせて66300円の支払額となる。委託農家はこの代金の支払いが優先される。
さらに11月に入るとJA等へ肥料、農薬、資材代金に、土地改良区費、固定資産税等約25000円~30000円がプラスされ、春秋の作業代金等合計額は91300円~96300円となる。今年の米概算金額76500円では支払いができない。10a当たり20000円は足りない。さらに管理した労働費はどこからも産出されない。兼業農家の多くは田んぼにを植えてしまえば、田んぼ作付に農業以外からの収入をプラスしなければならなくなった。当然自分が食べる米もない。これでは高い年貢に翻弄された江戸時代並か、それ以下かも知れない。以上が作業委託農家の実態。
一方農機具を所有している農家はコンバイン平均800万、田植え機250万、トラクター500万、乾燥調製施設1000万の償却費算出は困難。機械更新期になれば廃業せざるを得ないと話している。
JA組織は平成13年産等の過剰在庫を理由に、14年産米の概算金を大幅に切り下げた。コメ余りの発端は2011年3月に発生した大震災だ。収穫量の多い東北地方が被災し、品薄への危機感から価格が上昇。翌12年産も「念のためにコメを確保する動きが続いた」(市場関係者)ため、高値が続いたといわれているが、今回の在庫過剰説は高値の在庫処理の口実になってはいないか。卸業者にとっては価格が安いことは大歓迎になる。
平成26年産相対取引価格低下から小売価格が大幅に下がったとしても、米の消費量が増えるとことにはならない。生産者が危惧するのは安過ぎる米の値段がそのまま定着しまうことにある。今回のJA組織の対応は取り返しの難しい局面を作り出し、組合員農家に計り知れない衝撃を与えた。早晩破産が現実になるドアホノミクスの中で、平成26年産暴落概算価格は地方経済の崩壊を加速させた。
公益社団法人「米穀安定供給確保支援機構」では、米の消費状況を把握するため、全国の消費世帯を対象とした「米の消費動向調査」を毎月行っている。最近の調査によれば一ケ月、一人当たりの米の消費量平成18年4877g、大震災の平成23年4841g、平成24年4909g、平成25年4466g、平成26年8月までは平均4670gとなっている。これによれば平成25年度は前年より0.9ポイント下がったが今年になって逆に前年対比1.05まで伸びている。この数字に12ケ月を乗ずると今年の場合、一人あたりの米の消費量は計算上一年で約56Kとなる。平成25年調査、日本の人口1.272億人で計算上712万トンの消費量が出てくる。ちなみに平成25年産の生産量は860万トンといわれている。
しかし、統計調査の生産量の計算は網目1.7ミリでくず米も含まれている。現在農家は網目は1.85~1.90で調整している。一説には収量差が30~40万トンともいわれている。特に平成26年産はもみ数が多く登熟が悪い傾向にあることから、ふるい下米が多くなり、主食用米の供給が減少する可能性もあると農水省は見ている。
農業情報研究所 10月9日 引用
この調査結果からみても、在庫が増えたのは消費が減ったからと宣伝されているが、必ずしも消費は大幅には減少していない。少し減少したのは外食だ。庶民のふところがさえない状況下では当然の帰結と思える。だから消費が減ったとの論は、外食産業と攻めの農業を推進する現政権の恣意的現象とも見える。家庭内消費は多少の変移があるが、近年の消費量の変動はそれほど大きくない。むしろ消費税増税の中では大きく減少するとは思えない。
米穀機構 平成26年8月分 引用
この消費動向調査からみて、全国組織の全農と販売組織が作り出した過剰在庫説、ここまで概算金暴落が必要だったのか疑いさえ出てくる。増税ですべての価格が上昇傾向の中で下がっているのは唯一米だけ、その結果耕作放棄は拡大されることは確実になった。農家から遠くなるJA組織はいずれ、存続の危機を迎える。TPPを推進し「戦後レジームからの脱却」等という現政権にとって都合のよい結果にしか過ぎない。
今年は国連が定めた「国際家族農業年」(略称IYFF2014)だ。TPPに象徴される自由化の行きつく先には、規模拡大農業推進策で既存農家を駆逐し、すべての農産物が価格のみを評価、これでは環境や地域社会を支えてきた家族農業が消えてしまう。家族農業の崩壊で地域社会は成り立たない。今回の価格暴落に現政権は今のところ対応策はなにも示していない。具体的なものの無い「地方創生」、「農業・農村所得倍増計画」は取ってつけたようなスローガンだけだ。
「国際家族農業年」が日本では「農業廃業」、「地方崩壊」の序曲の年になってしまうのか。
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