写真の左上の、手のひらに乗る布のお財布は、亡き祖母の和ダンスの引き出しから出てきたもの。おそらく大正時代のものと思われる。
写真ではわかりにくいのですが、ふたの中央に、精巧な蝉の留め金が付いていて、布も織りのとても手の込んだもの。
私の家は旧家でも何でもないので、骨董のお宝の類は何もない。茶箱に塗りのお重とか、ボロボロの巻物が数本入っていたぐらいで、それらは手にすると、はらはらと散り、只のゴミになってしまった程。
このお財布、いや、お財布なのかどうかすら実はわからないのだが、これを見つけたとき「私に頂戴ね」と母に行ったその日のことを鮮明に覚えている。
10代の子が興味を持つにはいかにも地味な、祖母が持っていたことを、母ですら知らなったその財布に私は心惹かれ、長い間手元に置いてあった。
それを私は、半世紀を経て「道中財布」としてよみがえらせた。微調整を繰り返しながら、今の形で落ち着いた。おそらく手作業で2000個ぐらい作った。
創業以来ずっと、同じ女性の職人さんがコツコツ作ってくれています。
この道中財布にはフアンの方が多く、ボロボロになるまで使って下さり、2代目3代目という方もおいでになる。有り難うございます。
昨年「鎌倉道中財布」として、鎌倉市のふるさと納税の返礼品に認可していただき、最近では、タレントさんのオリジナルグッツの依頼もいただいた。
お札、カード、小銭がコンパクトに収まり、旅行やちょっとしたお集りの気分転換のお財布にぴったりです。勿論、日常使いにも!
鎌倉今村のロングセラーです。現在は、有隣堂横浜西口店でご覧いただけます。6種、柄が並んでいます。(本日17時にメンテナンスに行きました。)
鎌倉道中財布、これからもどうぞよろしくお願いいたします。
新柄も只今、製作中です。