超空洞からの贈り物

様々なニュースや日常のレビューをメインに暗黒物質並に見つけ難い事を観測する、知識・興味・ムダ提供型共用ネタ帳です。

温暖化の先に見える北極の行く末とは

2010年01月17日 07時21分34秒 | 経済・経営・社会
北極の氷冠が次第に減少する中で、北極海の支配をめぐって国際競争が始まっている。ロシア、カナダ、デンマーク、さらには中国までもが、駐留軍を拡大し、国旗を立てて、氷冠の下に眠る900億バレルと推定される天然ガス等の調査をしようとしている。また、米海軍も、北極圏における米国の国益を最大限にするための戦略計画を立てて、北極圏での氷解に備えている。

最近創設された米海軍気候変動対策部隊(Navy Task Force Climate Change:TFCC)が作成した『Navy's Arctic Roadmap(米海軍の北極ロードマップ)』(PDF)は、その冒頭において、世界的に特に北方で気温が上昇していることを認めており、「北極は、他の地域の2倍の速度で温暖化が進んでいる。北極の氷域の推定には不確定要素がかなりあるが、現在のところ、北極は2030年代に氷のほとんどない夏を迎える可能性があるということで、科学界の意見は一致している」とロードマップには書かれている。

ロードマップは続いて、北極圏における米国の国益を確保するための3段階の計画について詳しく述べている。氷冠の融解には、埋蔵エネルギー、航路、領土問題の可能性など、多くの利害関係が絡んでいるからだ。

2007年には流氷の減少により、砕氷船なしで北西航路が全て通れる状態になった。例えば欧州と日本を結ぶ距離は従来よりも40%も短くなるとされ、世界の海運や物流が大きく変わるとみられている。また北極海航路も、航行可能な期間が長くなりつつある。一方、北極圏には、世界の天然ガスや石油の未確認埋蔵量の約4分の1が眠っているとされている。ロシアの半官半民企業ガスプロムがガス田の開発を行なっており、ロシアは2007年8月、北極点海底にチタン製の国旗を立てるというパフォーマンスも行なっている。

温暖化が進む北極圏での米海軍の主要な目標の1つは、国際外交と「協力関係」だ。だが、軍事競争が激化していることから、ロードマップは、領有権争いの可能性への備えについても述べている。カナダは北極圏の海域での軍事演習も拡大しており、北極圏に2つの軍事施設を新設する計画を発表している。2009年には、北極圏のカナダ領空に接近した複数のロシアの爆撃機にカナダ戦闘機が警告を与えるという事態も起こっている。

米海軍はこれまでにも、気候変動に対応するための一連の取り組みを行なってきている。先月は、「バイオ燃料だけを燃料として利用する戦闘機の航空団を伴い、核エネルギーかバイオ燃料を動力源とする軍艦で構成された、エネルギー効率の良い艦隊『Great Green Fleet』」を配備する意向を表明した、と『Military.com』のGreg Grant氏は報じている。

「意思決定」が可能なコンピューターシステム

2010年01月17日 06時18分05秒 | 軍事
米軍は、ヒトの精神のあらゆる側面の理解に向けて、長足の進歩を遂げている。昨年1年間だけでも、長期記憶を向上させたり、知性についての新たな理論を打ち立てたり、さらに、複雑な推論のできるコンピューターに、生身の兵士の仕事を肩代わりさせたりといった試みが見られた。

次に来るのは、われわれの意思決定を模倣できるコンピューターシステムだ。――そしていずれは、「人間が持つ認知バイアス」に切り込むことで、人間を凌駕しうるシステムだ。

この最新研究のバックに付いているのは、米国防総省において、国の情報活動の革新に取り組む「諜報先端研究プロジェクト活動」(IARPA)だ。IARPAは1月19日(米国時間)に、「意味形成の理解に向けた認知神経科学の統一アーキテクチャー」(ICArUS)という会議を実施して、このプログラムの詳細を発表する予定だ。

IARPAは、ヒトの「意味形成」(sensemaking)プロセスのコンピューターモデルを作成しようとしている。意味形成とは、ある状況を説明するために仮説を立てて、起こりうる結果を予測することだ。

国の情報活動において、分析官らはしばしば、乏しかったり紛らわしかったりするデータについて、説明を行なったり、その説明を評価したりしなくてはならない。しかし、分析官も人間であり、選択的記憶や偏見やストレスの影響を受けやすい、とIARPAは指摘する。

IARPAによれば、「汎用の意味形成システムの、今までに発見されている例」は、今のところヒトの脳だけだという。ただしIARPAは、「分析的推論」や「失敗からの学習」といったヒトの長所を模倣したコンピューターを実現させたい一方で、それに弱点が付随してくるのを避けたがっている。

IARPAの理想のシステムとはこういうものだ。まずヒトの意味形成を―つまり、分析官がいくつかの仮説の中からなぜその仮説を選んだのかを―処理し、説明する。コンピューターはその次に、意思決定者が、曖昧なデータや欺瞞や否定的見解などに影響を受けていないかどうかを確認し、その仮説に手を加える。最後に、このシステムは独自の、計算に入れるべきではない影響を一切受けていない意味形成仮説を、ヒトに代わって提案する。

阪神・淡路大震災がもたらした記憶

2010年01月17日 05時46分52秒 | 自然
1995年1月17日午前5時46分、淡路島北部、地下16キロの地点を震源とするマグニチュード7.3の地震が発生。淡路島、神戸市、西宮市、芦屋市などで震度7の非常に激しい揺れを観測した。この地震による被害は、兵庫県内を中心に死者6434人、負傷者約4万4千人にのぼり、戦後最大の自然災害となった。特に、震源に程近い神戸市市街地(特に東灘区・灘区・中央区(三宮・元町・ポートアイランドなど)・兵庫区・長田区・須磨区)の被害状況は、日本中はもちろん世界中に衝撃を与えた。

関西では震災前まで地震を意識する住民は少なく、官公庁の地震対策も震度5を想定していた。実際、関西地区には耐震基準に満たない多くの木造家屋が存在していたが、被害者のうち約5,000人以上はその家屋の下敷きになった。

地震が起こった1995年からはすでに15年以上の月日が流れ、関西地区以外の10代20代の人にとっては記憶の薄い出来事になってしまっているかもしれません。6,400余名の死者は関東大震災の10万人という規模に比べれば確かに少ないのかもしれませんが、実際にその現場に立った経験のある人間からすれば、史上最大規模の地震災害の経験であったことは間違いありません。

そして、このことは震災経験のない人たちに語り継いでいかなければならない義務があると思います。もちろん今年もメディアはこの日を機会にいくつもの特集などを組んでいますが、その規模は10年を境に次第に縮小しているかに思えるのが非常に残念です。実際、地震災害の危機は「終わったこと」ではなく、今すぐそこに存在する「危機」であって、現在、大型震災の発生リスクは年々上がっていることをもう少しメディアは注目し、警告を発する必要があることを考えて欲しいものです。

ただでさえ日本人は災害の記憶について忘れがちです。すくなくとも年に2回、9月の防災の日と1月のこの大きな災害のあった月には、気持ちをあらたに災害について家族で話し合う日があってもいいのではないでしょうか。

そして阪神淡路大震災においては、それまでの常識をくつがえす、様々な「想定外」の事象が発生したことが知られています。それはどのようなことだったのでしょうか。

まず阪神淡路大震災の最大の想定外は、その発生した事実そのものです。それまで関西地区は地震はたびたび起きたものの大規模なものは近年全く発生していませんでした。

もちろん断層の存在は確認されていたのですが、その発生確率は専門家においてもごくわずかにしか考えられていなかったのが実情です。そのため「関西には地震がこない」「地震が起きても大きいのはこない」という根拠のない誤った常識が存在していました。

また、関西地区には耐震基準に満たない多くの木造家屋が存在しましたが、被害者のうちの約5,000人以上はその家屋の下敷きになってしまったということです。そして大規模な火災の発生。情報が正確に伝わらずに、幹線道路は震災地区に向かう市民の車で大渋滞し、緊急車両は全く機能しないという状態になりました。

関西ではそれまで地震を意識する住民は少なく、官公庁の地震対策も震度5を想定していて、震度7の強震の発生は全く想定外の出来事だったわけです。つまり、現在の進んだ科学技術においても地震を予測することは難しく、特に地中に隠された断層の動きは、予測が不可能であり、その存在すら確定することに困難があることを知らないとならないのです。

さらにこの時は多くの大規模建造物が破壊されました。その最たるものが高速道路の橋脚の倒壊や駅舎の崩壊です。もしも発生時刻があと数時間遅かったらば、渋滞になった高速道路や満員電車の中では、多数の犠牲者が発生したことは想像に難くありません。

このような事実から私たちは何を学ばなければならないのでしょうか。

政府の防災会議では関西地区でM7クラスの強震が発生した場合には、最大で4万人もの死者が発生しうると発表しました。これは決して絵空事でも何でもありません。地震災害は今、この次の瞬間に起きるかもしれない災害です。ぜひ出来る事から準備し始めて、今日この日から家族で対策を講じていただくことをおすすめします。

日本全国どこにおいても地震の発生は避けられません。地震の発生予測は不可能。ならば常日頃から「その日」に備えていなければならないのです。地震の発生はその場所、その時間帯によって大きく被害が異なります。その場に応じた対応を想定していないと大きな被害の差が生まれてくるということを知っておきましょう。地震被害の最大の場所は家屋の安全。特に寝室での安全が計られていれば地震災害のほとんどは防ぐ事が出来ると言ってもいいでしょう。

引用-All About 「阪神淡路大震災に学ぶこと」-

息で操作できる「吹き矢型」インターフェース

2010年01月17日 05時32分57秒 | PC・パーツ・ソフトウェア
息だけで電子機器を操作できたらどうだろう? 口をすぼめ、一定の強さで息を吐き出したらスクロール、ろうそくの火を消すように、力強く一吹きしたらクリックという具合だ。

Pierre Bonnat最高経営責任者(CEO)が率いる米Zyxio社は、「息に対応した」インターフェースを開発している。同社は、10日(米国時間)までラスベガスで開催されていた『コンシューマー・エレクトロニクス・ショー』(CES)で、このアイディアを披露した。

タッチスクリーンの人気もあって、伝統的なマウスとキーボードを超えた「自然な」インターフェースの探求が行なわれている。たとえば音声入力はそのひとつだが、この「息を使う」インターフェースも、その流れのなかにある。

息を吹きかけ、ノートパソコンの画面上で思い通りにカーソルを動かすのは、予想以上に簡単で直感的だ。

Bonnat CEOによると、脳は口に命令し望んだ方向に息を吐き出させることができるという。その証拠に5歳の子供でもケーキに立てたろうそくを吹き消すことができる、と。

Zyxio社のシステムは、『MEMS』(Micro Electro-Mechanical System)チップを搭載し、空間にかかる圧力を感知する。口から20センチまでの距離に対応する。

「MEMSは小さくて邪魔にならない。数パスカル(の圧力)を認識できる」とBonnat CEOは説明する。「咳をしたり、装置を揺らした場合には反応しない」MEMSからの出力は、プロセッシング・モジュールへ送られ、ここでコマンドに変換される。息を感知するこのセンサーは、ヘッドセット、携帯電話、ノートパソコンなど、あらゆるハードウェアに組み込むことができる。

このインターフェースは精密な操作を想定したものではないと、Bonnat CEOは強調する。考えられているのは、情報端末の画面上で素早くページをスクロールしたり、一吹きで電話に出たり、車の運転中にラジオを消したりといった用途だ。同CEOによると、Zyxio MEMSシステムは今年の第2四半期に出荷開始される。最初の製品のひとつはゲームのヘッドセットだという。

色の濃い酒ほどつらい二日酔いをもたらす

2010年01月17日 04時53分11秒 | 健康・病気
   年末年始には飲酒の機会が増え二日酔いに苦しむ人も多くなるが、バーボンなどの色の濃い酒は、色の薄い酒よりもつらい二日酔いをもたらす毒性の強いことが示された。色の濃い酒にはアセトン、フーゼル油、タンニンなど「コンジナー(congener)」と呼ばれる副産物が多く含まれているためだと考えられるという。例えば、バーボンにはウオッカの37倍のコンジナーが含まれている。この知見は医学誌「Alcoholism:Clinical and Experimental Research(アルコール中毒症:臨床と実験研究)」2010年3月号に掲載される予定。

 米ブラウン大学(ロードアイランド州)アルコール・依存症研究センターのDamaris J.Rohsenow氏らによる今回の研究は、21~23歳の健康な男女95人を対象としたもの。被験者は1晩目にはウオッカ(低コンジナー)またはバーボン(高コンジナー)のいずれかを呼気中アルコール濃度が酩酊を示すまで飲み、2晩目にはアルコールを含まないプラセボ飲料を飲んだ。翌朝、二日酔いの程度を被験者に尋ねるとともに、神経心理学的検査を実施し処理速度、注意力、集中力を調べたほか、睡眠の質についても評価した。

 その結果、酩酊状態まで酒を飲むと翌朝の認知力が低下することが判明。また、コンジナー濃度の高いバーボンではウオッカよりも二日酔いによる苦痛が大きかったという。ただし、認知力および睡眠にはコンジナー濃度の影響は認められなかった。「二日酔いによる障害のほとんどはアルコールが直接の原因だが、さらに苦痛を増加させる因子があり、それが色の濃い酒類に含まれる毒素であると考えられる」とRohsenow氏は述べている。

 米国立衛生研究所(NIH)によると、二日酔いを避けるためには満腹の状態で少しずつ適度な量を水と一緒に飲むとよいという。女性は(ビール換算で)1日1杯(12オンス、約360ml)、男性は1日2杯までが適量。二日酔いになってしまったときは、十分に休養を取り、塩分、カリウム、果糖(フルクトース)の含まれる食物を摂るようNIHは勧めている。

孤独は伝染するのか

2010年01月17日 03時10分48秒 | 健康・病気
 孤独な人は孤独な仲間を引き寄せ、他人も孤独にすることが、医学誌「Journal of Personality and Social Psychology(性格と社会心理学)」12月号で報告された。研究著者の1人である米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)教授のJames H.Fowler氏によると、「孤独は人から人へと、3人先まで拡大する。つまり、ある人について何も知らなくても、その人の友達の友達が孤独であることを知っていれば、その人が孤独になるかどうかを、偶然を超える確率で予測できる」という。

 今回の研究では、孤独が伝染するだけでなく、孤独な人たちが小さな集団として孤立する傾向があり、その集団の中で孤独感が増大していくことも判明した。データからは、平均的な人は1年に約48日孤独を感じるが、孤独な人には常に孤独感がつきまとうことが示された。さらに、孤独を感じている人は数年後には友達がいなくなるか、絶えず友達を失い続けている可能性が高いこともわかった。

 Fowler氏らは、米国立加齢研究所(NIA)の支援により、フラミンガム心臓研究(Framingham Heart Study)の最初の参加者の子孫に当たる5,100人強を対象に、2~4年にわたり継続的な友人関係のパターンを追跡するグラフを作成。その結果、孤独である日数が1週間につき1日増えると、近くの友人の孤独も同様に増えるきっかけとなることが判明。さらに、近くの友人同士の会う機会が減るため、孤独がコミュニティ全体に拡大した。女性は男性よりも孤独に感染しやすいこともわかった。

 米デューク大学(ノースカロライナ州)教授のMark R.Leary氏によると、この孤独の伝染は、生活様式が周囲の人に似るためである可能性があるという。「孤独な人に接している孤独でない人は、やや否定的に行動することで、同じネットワーク内の他の人を少し孤独にする可能性がある。おそらくこれが3人先まで孤独の影響がみられる理由である」と同氏は述べている。

 Leary氏によると、孤独な人を救うには、孤独な人と接する人が、内向的な態度は孤独の表れであり、無関心、嫌悪、拒絶ではなく、つながりを求めていると認識し、手を差し伸べることが必要であるという。また、Fowler氏は「精神医療に従事する人であれば、患者だけでなく患者の友人にも働きかけること。雇用者なら従業員が互いに社会的なつながりを持てる活動を強化すること。家族の場合は、家族間の連帯を助けると同時に、自分自身のネットワークにも気を配るべきであることを意味する」と付け加えている。

ただし、社会的ネットワークの研究者の全てが、この研究に納得しているわけではない。イェール公衆衛生大学院のJason Fletcher助教授は、似たもの同士が友人になる傾向や、環境による影響からの解釈を排除するには、一連の研究の対照群は不十分だと話す。

Fletcher助教授は、社会的に伝染するとは思われない、ニキビや頭痛、身長が、同様にネットワークを通じて伝染するように見えることを研究で示している。

ケプラーが系外惑星5個を発見

2010年01月17日 02時06分58秒 | 宇宙
2009年5月に観測を開始したNASAの系外惑星探査衛星ケプラーが最初の約6週間で得たデータから、5つの系外惑星が発見された。

系外惑星探査衛星ケプラーが最初に発見した惑星は、それぞれKepler 4b、5b、6b、7b、8bと名づけられた。いずれも、高温のガス惑星 いわゆるホットジュピターで、大きさは海王星くらいから木星を上回る程度。公転周期は3.3日から4.9日で、表面温度は摂氏約1200度から1600度だ。

米・ワシントン州にあるNASA本部の天体物理学部門主任のJon Morse氏は、「ケプラーの最初の発見は、公転周期の短い、木星サイズの惑星だと予測していました。ケプラーが、より小さく、公転周期の長い惑星を発見するのは時間の問題でしょう。地球のような惑星の発見も間もなくです」と話している。

ケプラーは15万個以上の星を観測し続け、地球から見て惑星が恒星の前を横切るときに、わずかに恒星の光が暗くなるようすを検出する(トランジット法)。これまでの観測で、数百個の恒星のまわりに惑星が存在している可能性が示されており、現在観測データの詳しい分析が進められている。その中から、地上からの観測で5つの惑星の存在が確認された。発見の元となったデータは、2009年5月12日の観測開始から約6週間以内に取得されたデータである。

ハビタブルゾーン(生命が存在可能な領域)に存在する惑星が恒星の前を横切るのは、年に約1回である。トランジット法を利用して惑星の存在を確認するには、惑星の通過を3回観測することが必要とされる。そのため、ケプラーの観測は少なくとも2012年まで続けられる。

ケプラー・ミッションの科学主任研究員で、NASAエイムズ研究所のWilliam Boracki氏は、「ケプラーの観測は、果たして、生命を育めるような惑星を従えた恒星が数多く存在しているのか、それとも、この銀河系には、わたしたちしかいないのかを教えてくれることでしょう」と話している。

NASA JPL

恐竜の適応力の秘密は肺の構造に

2010年01月17日 01時52分48秒 | サイエンス
 恐竜が初期の哺乳類を生存競争で圧倒したのは、肺の機能が優れていたことが原因であるとする研究が発表された。恐竜と共通の祖先を持つ現生のアリゲーターを研究したところ、鳥類と同様の高い効率の呼吸法を用いていることがわかった。

 哺乳類の場合、息を吸うたびに酸素を豊富に含んだ空気が肺胞と呼ばれる肺の中の“袋”に運ばれる。肺胞を空気が循環することで酸素が血流に運ばれ、血液中の不要な二酸化炭素が取り出される。

 ところが鳥類には肺胞がなく、空気は気嚢に一方通行で流れ込むように進化している。そのため鳥の肺は常に“新鮮な”空気で満たされる。他の動物なら死んでしまうような高い場所でも鳥が呼吸できるのはこのためだ。

 今回の研究ではアリゲーターの呼吸法を解明するために、死んだアメリカアリゲーターの肺に液体を注入し、空気が流れる方向を調べた。その結果、鳥類と同様に、吸った空気が体内に流れ込むときには特定の気管支の層を迂回し、吐き出される時に初めてこれらの気管支を通ることがわかった。 (画像の着色されているのが気道にあたる部分)

 このような呼吸法は、2億5100万~1億9900万年前の三畳紀に生息した、鳥類と恐竜とアリゲーターの共通の祖先にも見られた可能性が高い。鳥類と恐竜とアリゲーターは同じ主竜類に分類され、また三畳紀初期には大気中の酸素が現在よりも希薄だった。

 今回の研究を率いたユタ大学の進化生物学者C.G.ファーマー氏は次のように話す。「鳥類が希薄な大気中でも動き回れる一因が、この肺構造にあることがわかっている。今回の研究データを見ると、酸素が希薄な当時の世界では主竜類が有利だったと思われる」。

 また恐竜の高度な適応性は、6500万年前に恐竜が大量絶滅するまで哺乳類が小型だったことの説明にもなるという。「哺乳類は主竜類に抑圧されて小型化を余儀なくされたようなものだ」。

 この研究は2010年1月15日発行の「Science」誌に掲載されている。