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超空洞からの贈り物

様々なニュースや日常のレビューをメインに暗黒物質並に見つけ難い事を観測する、知識・興味・ムダ提供型共用ネタ帳です。

スピリット走行不能、NASA公式発表

2010年01月29日 23時01分31秒 | 宇宙
 2004年から火星の調査に奔走してきた探査車スピリットの足が完全に止まろうとしている。昨年5月に南半球にある小さなクレーター「トロイ(Troy)」の砂地に車輪を取られて以来、継続的に脱出が試みられてきたが、スピリットは依然として移動できない状態だ。

 この状況を受けてミッション責任者は26日、脱出の断念を発表した。現在の走行可能距離は10センチ程度でほとんど身動き取れない状況だが、今後も現在の停車位置から可能な限りの観測が行われるという。

 NASAの火星探査プログラムを指揮するダグ・マッキション氏は26日、ワシントンD.C.で記者会見を開き次のようにコメントしている。「あのクレーターはゴルフで言うなら“恐怖のバンカー”だ。バンカーショットを何度繰り返しても抜け出すことができない」。

 脱出を断念したいま、スピリットの運転担当者は可能な範囲で車体を動かし、迫り来る冬を無事越せるような傾きにしようと模索しているところだ。

 カリフォルニア州パサデナにあるNASAのジェット推進研究所(JPL)で活動する火星探査車プロジェクトの責任者ジョン・カラス氏は次のように話す。「過去にも車体を駆動して太陽電池パネルを北に傾け、太陽光を最大限取り込むことに成功したことがある。現在は南に約9度傾いており、太陽発電に適切な状況とは言えない。傾きを改善できなければ、電力不足で日常的な活動が困難になるだろう」。

 その場合、スピリットは自発的に休止状態に入り、約6カ月間に渡って通信が途絶えるものと見込まれる。

 カラス氏によると、現在のスピリットにとって最大の課題は越冬だという。「通常は電源をオンに維持して車体を保温するんだ。冬場に車をアイドリングするようにね」と同氏は説明する。

 これまで日射量の減少する冬場はスピリットを停車させ、車体をできる限り北に傾けて太陽光を取り込んでいた。そうして春に再び動けるようになるまで最低限必要な電力を確保し、通信を継続していたのである。

 しかしスピリットが休止状態に入ると、太陽電池パネルで発電した電力はバッテリーの充電に回され、電子機器の保温は行われなくなる。今年の冬、火星の気温はマイナス45度ぐらいまで下がると予想されているが、スピリットは休止状態でマイナス55度まで耐えられるように設計されているという。

 この件についてカラス氏は次のようにコメントしている。「設計限度の範囲内ではあるが、新品の車体でしかテストされていない。90日という短期間のミッションを想定して設計されたスピリットも、火星の探査を始めて既に6年を経過した。したがって無事に冬を越せる保証はなく、春が来て再び通信を開始してくれるのか本当に心配だ」。

 スピリットの運転を担当しているJPLのアシュリー・ストラウプ氏は、「スピリットが春に活動を再開したら、可動システムを最大限活用して万全の調査活動を実施できるようにしたい」と話す。

 ニューヨーク州にあるコーネル大学の教授で、火星探査車プロジェクトの主任研究員でもあるスティーブ・スクワイヤーズ氏は、「スピリットの立ち往生にもプラスの面があるかもしれない。例えば火星の核や大気の状態、過去の水の動向に関して、新たな発見がもたらされる可能性もある。移動する必要がなくなった分、これからはまったく新しい分野の科学調査に没頭できる」。

 例えばスピリットが一定の場所から発信する電波信号を追跡調査すれば、火星の自転軸の揺らぎを正確に計算できるのではないだろうか。

 ロボット・アームを使ってクレーター周辺の複数の場所から土壌サンプルを採取し調査すれば、火星の大気と地表の間で長年に渡って行われてきた相互作用を解明することもできる。また、今度の立ち往生が功を奏し、クレーター「トロイ」が硫酸塩の層で不自然に覆われていることが判明している。周辺地域が比較的最近、水の作用を受けている可能性が示唆されたかたちだ。

 スピリットの活動継続を諦めていないスクワイヤーズ氏は、「まだまだ多くの科学的発見を期待できる。誰もが驚くような新事実も見つかるかもしれない.」と話している。

木星のまわりになぞのX線放射を発見

2010年01月29日 22時40分12秒 | 宇宙
首都大学東京の研究グループが、X線天文衛星「すざく」のデータから、高エネルギーのX線(硬X線)放射を発見した。硬X線は、木星の周囲約100万km×50万kmの範囲(衛星イオの軌道の2倍以上)に広がっている。

これまでに他のX線天文衛星の観測から、木星本体や衛星イオの軌道から比較的低いエネルギーのX線(軟X線)が放射されていることは知られていたが、高エネルギーのX線が発見されたのは初めてのことである。

硬X線の広がりは、木星の強力な磁場にとらえられた粒子が作る帯状の構造(放射線帯)とよく一致しているという。木星の磁場は、地球の磁場の1万倍である。

また、硬X線の放射メカニズムは、何らかのしくみで光速近くにまで加速された大量の高エネルギー電子から、太陽の光子がエネルギーを得ているためではないかと考えられており、このような現象が惑星から検出されたのも初めてである。

なお、木星の放射線帯を探査機が直接観測するのは難しいため、今後「すざく」をはじめとするX線観測衛星が木星の放射線帯における粒子加速のメカニズムを探る新たな手段になると期待されている。

ハタの家、他の生物も間借り

2010年01月29日 22時10分50秒 | サイエンス
 最新の研究によると、ハタが海底の岩場に作った“マイホーム”には、ほかの海洋生物も勝手に住んでいるようだ。

 フロリダ西岸沿いに多く生息するツマグロハタの幼魚は、海底の砂に隠れた穴から砂を取り除く。こうして現れた穴はハタの住処となるだけでなく、サンゴやロブスターなど他の海洋生物にとっても住み心地の良い場所になるという。

 この驚きの発見は、ツマグロハタがビーバーと同様、自分のニーズに合わせて環境を作り替えると同時に、ほかの生物の住処も作り出す“生態系エンジニア”であることを示している。この研究を率いたフロリダ州立大学沿岸海洋研究所長フェリシア・コールマン氏は、「巣の間借りとは驚きだ。普通なら住めない場所に住み着くチャンスになっている」と話す。

 今回の研究中、西フロリダ陸棚沖の比較的浅い海底でツマグロハタの幼魚が砂を掘っているのをダイバーが目撃した。ハタの幼魚は砂に埋まった溶食穴を何らかの方法で探り当てる。溶食穴とは、何千年も前、海水面が現在より低かった時期に岩の表面の開口部が淡水で削られて形成された穴で、ハタの幼魚が掘っていた溶食穴は、海水面が上昇するにつれて堆積物で満たされたものである。

 ツマグロハタは口とヒレを使って砂を取り除き、“ハタ穴”と呼ばれるくぼみを作る。この穴は、捕食者からの隠れ場所を求める掃除魚やカニやイセエビだけでなく、サンゴ、海綿動物、イソギンチャクといった生物にとっても“夢の家”となる。

 ツマグロハタは自分の穴に砂や岩屑が入ってくるとかき出して、穴を丁寧にメンテナンスする。そうしておけば、いつでも掃除魚に身なりを整えてもらえ、異性と安全に落ち合える場所も確保でき、また時には容易に餌にありつくこともできると今回の研究は指摘する。

ハタは幼魚期の数年を浅い海で過ごし、成長すると深い海へと出て行く。深い海底では幼魚期の巣よりも大きな溶食穴を掘り返す。この穴は直径が最大5メートル、深さ1メートルにも及ぶことがある。「海に潜ってこの穴に遭遇すると、穴の上に魚が群がっているのが見える。実に壮観だ」とコールマン氏は話す。

 同氏によると、ハタの成魚は巣を一度作ると生涯それを使い続けるのが普通だという。オスとメスは互いに近所の穴に住み、メスがオスの巣まで出かけて交尾する。「ハタは引越しをしない。考えてみるとその必要が無いのだ。餌は向こうからやって来るし、掃除魚もやって来る。そして少なくともオスにとっては、異性も向こうから来てくれる。ある意味で完璧な場所だ」。

 この研究はオンラインジャーナル「The Open Fish Science Journal」誌に2010年1月9日に発表された。

ニュートン衛星が銀河団のX線源を観測

2010年01月29日 21時59分37秒 | 宇宙
 欧州宇宙機関(ESA)のXMMニュートンX線観測衛星がとらえた無数の銀河。さまざまな色彩を放つ果実のようにカラフルな銀河が、所狭しと密集している(2010年1月20日公開)。紫色の線は各銀河団を取り巻く高温ガスから放射されるX線で、このスペクトル分析から、暗黒物質が遠方の天体の構造に与える影響を解明できるという。

 X線観測によって銀河団中心部の銀河を特定できる。また、銀河団から放たれる光が重力で屈曲する様子から、暗黒物質も含めたその質量がわかる。XMMニュートンの研究チームによると、はるか遠くにある銀河団の観測にこの手法を用いるのは初めてだという。

宇宙から観測した金環食

2010年01月29日 21時30分28秒 | 宇宙
 1月15日の金環食を宇宙からとらえた珍しい画像。2009年11月に打ち上げられた欧州宇宙機関(ESA)の人工衛星プローバ2(Proba-2)が初めて太陽を観測した際に撮影された。

 プローバ2は1立方メートルに満たない小型衛星で、恒星追跡装置や小惑星探査機など、最終的に大型の宇宙船に転用される可能性のある一連の最新技術の試験を目的として運用されている。

東芝、ブザーが鳴る電気ケトルの発売を2月末に延期

2010年01月29日 21時17分56秒 | 家電・生活用品
 東芝ホームアプライアンスは、当初2月1日に発売を予定していた「電子ケトル PHK-800R」について、発売時期が2月末に延期すると発表した。

 同社では遅延の理由について「生産日程の遅延」としている。

 電子ケトル PHK-800Rは、東芝から発売する初めての電気ケトル。従来の電気ケトルは、お湯の沸騰すると自動的に通電が切れる、通電ランプが消えるなどの機構はあったが、音で沸騰を知らせるものはなかった。PHK- 800Rでは、本体にマイコン制御を搭載し、お湯の沸騰をブザーで知らせる「マイコンお知らせブザー」を搭載したのが最大の特徴。

 また安全機構として、本体が転倒してもお湯がこぼれないロック機能や、転倒湯漏れ防止機能、空焚き防止機能などを搭載する。使い勝手の面では、電源コードを巻き取るコードリールを電源プレートに内蔵したほか、内容器の内部までしっかり洗えるように口を直径11.5cmの広口とした。

 価格はオープンプライス。店頭予想価格は8,000円前後。

 本体サイズは、150×215×190mm(幅×奥行き×高さ)。重量は約1.02kg。消費電力は1,300W。本体容量は0.8L。本体カラーはミルクホワイト、アクアブルー、ショコラブラウン。コードリールを内蔵しない下位機種「PHK-800」の発売も2月末に延期される。PHK-800の希望小売価格はオープンプライス。店頭予想価格は7,000円前後。本体カラーはミルクホワイト、アクアブルー、ラテベージュの3色。

中国経済の好調が日本企業の収益を支えている現状

2010年01月29日 21時13分09秒 | 経済・経営・社会
好調に推移する中国経済が日本企業の収益を下支えする要因となっている。3月期企業の第3四半期決算発表が本格化しているが、中国向けビジネスの伸長によって収益が上向く企業が目立ってきた。

 ただ、世界最大のマーケットは、最も厳しい競争が展開されている市場でもあり、今後の対応次第では中国ビジネスを展開する企業間で明暗を分けるケースが出てきそうだ。

 第2四半期以降、収益を回復させる企業が増加しているが、その多くが外需への依存度を高めている。中国をはじめとする新興国向けの売上高の伸びが貢献するケースが多い。とりわけ中国に関しては、市場関係者の間からも「内需の低迷から抜け出すのは容易ではない。中国を内需のカテゴリーとして捉えるのが、国内企業の成長に不可欠。決算では中国ビジネスの動向をチェックするのが重要だ」(中堅証券幹部)との声が出ている。

 実際、発表が本格化した第3四半期決算の内容をみると、直接的、間接的のいずれかで中国の需要増加が貢献している例が多い様子だ。29日にそろって決算を発表した大手海運3社もその1つだろう。

 商船三井は2010年3月期の連結営業利益予想について、前年比93.4%減の130億円に上方修正(従来予想は100億円の黒字)と発表したが「中国の鉄鉱石や石炭輸送が活発化しており、ドライバルク市況が堅調に推移している。また、コンテナ船の運賃修復が進み、コスト増を吸収できる」(青砥修吾執行役員)という。

 燃料油高などの影響から通期予想を下方修正した日本郵船も、中国向け輸送の好調から「予想以上にドライバルク市況が上向いた」(甲斐幹敏経営委員)ことを背景に、四半期ごとの連結営業利益は、4─6月期が255億円の赤字、7─9月期が115億円の赤字、10─12月期は50億円と4四半期ぶりに黒字に浮上している。

 29日の株式市場では、ファナックが立会い時間中に、2010年3月期連結営業利益を従来の226億円から472億円に上方修正すると発表、逆行高を演じたのが目を引いた。収益を大きく上振れさせた要因として中国などアジア向け拡大が貢献したことが見逃せない。

 同社の第2四半期(7─9月)と第3四半期(10─12月)のアジア向け売上高は、FA部門が92億4100万円から112億1900万円に、ロボット部門が9億7200万円から19億3600万円に、ロボマシン部門が39億0200万円から97億4000万円にそれぞれ増加した。

 建設機械のコマツは、日米欧の需要減退や円高など悪材料がある中、中国・アジアの需要にけん引され四半期ベースでの業績は緩やかな回復局面に入りつつあり「ハードルは高い」(木下憲治専務)としつつも、2010年3月期の連結営業利益予想は前年比52.6%減の720億円通期の業績予想を据え置いた。

 完成品だけではなく市況関連企業からも「パラキシレンなどの石油化学製品は、中国の需要増などを背景に市況が堅調で、マージンが改善している」(新日本石油(5001.T: 株価, ニュース, レポート)の平井茂雄常務)といった声が出ている。

 半面、中国のおう盛な需要に乗り切れない例もあった。日立建機は数量こそ伸ばしながらも、中国でのシェアを落とした。競争激化が影響したとみられている。同社の桑原信彦専務は「現在、中国向けはどれだけ上積みできるか見極めているが、競争が厳しくなっている。値上げしたら負ける状況で、計画していた値上げを取り止めたほど。中国は利益が出にくくなっている」と話していた。

 中国市場は疑いなく成長が見込まれるが、それと同時に世界から有力企業が参入。最も競争が厳しいマーケットとなっており、世界的に競争力がある企業でも楽観はできない。みずほ証券アジア・株式調査部長の小原篤次氏は「現地企業でも、低価格の製品、在庫処分や中古品など様々なキャッチアップが予想される。日本企業は高付加価値など市場のセグメントでどこまで対応できるのかがカギ」と話す。

 その上で「中国のインフラ需要が沿岸部から内陸部や農村部に広がった場合、技術的な優位性だけでは販売は拡大しない。価格、営業力、全国的なアフターケアなども不可欠。技術移転の決断までを含めた経営判断が重要になる」と指摘。こうした対応を誤れば現在は優位性に立っていても、やがてはそのポジションを保てなくなりそうな状況だ。

 他方、預金準備率の引き上げなど中国当局の金融引き締めの影響は、足元では出ていない。商船三井の青砥執行役員は「中国は鉄鉱石について国内産から輸入に切り替えていることがプラスに働く。引き締めが預金準備率の引き上げ程度にとどまり、強力な出口戦略でも取らない限り、影響はないとみている」と述べたほか、日立建機の桑原専務は「2月の春節明けの受注予約が好調で、表向きは影響が出ていない。ただ、来年度は慎重にみる必要がある」と語るなど、先行きを楽観できないとする声も広がりつつある。

すばる望遠鏡、アンドロメダ座大銀河に銀河形成の名残を発見

2010年01月29日 21時05分39秒 | 宇宙
東北大学、東京大学、国立天文台、カリフォルニア大学などの研究者からなる国際研究チーム(注)は、すばる望遠鏡を用いた観測で、アンドロメダ銀河のハロー(銀河円盤を囲む領域)に、かつての矮小銀河(わいしょうぎんが)合体の名残と思われる恒星の集団「恒星ストリーム」を発見しました。さらにケック望遠鏡による分光観測で、その恒星ストリームの詳しい空間構造と速度分布を明らかにすることに成功しました。

銀河系やアンドロメダ銀河といった渦巻銀河のハローには、100億歳を超えるような古い年齢の恒星が、銀河円盤を囲むように広く分布しています。これらの恒星は、銀河の形成と進化過程に対してたいへん重要な情報を提供するものと考えられています。特に、現在の標準的な銀河形成理論では、銀河系をはじめとする大きな銀河は、矮小銀河のような小さな銀河が合体したり、潮汐(ちょうせき)力で壊れたりする過程を通して現在の姿になったとされており、ハローにはこういった出来事の名残が多く残っていると考えられています。

このような過去の合体過程の形跡は、「恒星ストリーム」と呼ばれる恒星の集団として観測的にとらえることができます。恒星ストリームは、小さな銀河が大きな銀河へと落ち込みながら軌道運動する際、潮汐力によって長く引き延ばされたためにできた恒星の集団で、恒星ストリームを成す個々の恒星は、同じような速度で集団運動することが知られています。

ハローに恒星ストリームが存在すると、それは、恒星の非一様な空間分布として現れます。このような恒星の非一様空間分布を見付けるには、銀河系よりもアンドロメダ銀河が適しています。なぜなら、アンドロメダ銀河は、我々からは円盤をやや横から見るような向きとなるので、ハロー部分を観測しやすく、しかも銀河の外から見ることができるため、様々な恒星の分布を直接観測することができるからです。

このような観点から、東北大学の田中幹人(たなかみきと)研究員(観測当時は東京大学博士課程大学院生)を代表とするチームは、すばる望遠鏡の主焦点カメラを用いて、アンドロメダ銀河ハローの広い領域を、VとIの2バンドで測光観測しました。

アンドロメダ銀河は銀河系から最も近い渦巻銀河で、距離は約250万光年です。そのため見掛けの広がりがとても大きく、視野が広いすばる望遠鏡の主焦点カメラを用いても、ハロー全体を測光観測するには膨大な時間を要します。そこで、研究チームでは、恒星分布を解析しやすい場所のいくつかを観測し、これまで観測されていなかった領域に、明らかに恒星の空間密度が高い2つの構造(ストリームE、F)を発見しました。また、後に他の共同研究者の観測結果と組み合わせた結果、別の観測領域にもストリームSWという比較的薄い構造が存在することを明らかにしました。

さらに、本チームの共同研究者であるP. Guhathakurta教授(カリフォルニア大学サンタクルツ校)を代表とするチームは、ケック望遠鏡の多天体分光装置を用いて、すばる望遠鏡で発見したストリーム構造を構成する個々の恒星の分光観測を行いました。分光観測から得られたスペクトルからは、ドップラー効果による恒星の視線速度が分かります。これにより、アンドロメダ銀河のハロー内にある一般星の運動や、その手前に重なって見える銀河系内の恒星の運動を区別して解析することができます。

その結果、ストリーム構造が見えた領域では、確かに恒星が集団で同じような運動をしていることがわかりました。これは、まさに矮小銀河が潮汐力で破壊されて引き延ばされたときに期待される空間運動です。すなわち、標準的な銀河形成論で予測される、矮小銀河の合体過程による大質量銀河の形成のシナリオを裏付ける証拠を得たことになります。

田中幹人研究員は、「ハローのもっと広い領域の観測をさらに進めることによって、大きな銀河の形成にどのような質量の矮小銀河が、それぞれどのぐらいの割合でかかわっていたのかといった、銀河形成過程において重要な問題を解明することが目標になります」と話しています。

この研究成果のうち、すばる望遠鏡の主焦点カメラによる恒星ストリームの発見は、2010年1月7日発行の米国の天体物理学専門誌「アストロフィジカル・ジャーナル」708号に掲載されました。

一方、ケック望遠鏡による分光観測の結果は、2010年1月7日に米国の首都ワシントンで行われた第215回アメリカ天文学会で記者会見講演に選ばれ、報告されました。

火星、トロクレーターの巨大角礫岩

2010年01月29日 20時59分24秒 | 宇宙
 火星のトロクレーターで、カラフルなパッチワークのように見える巨大角礫岩が中央丘の一部を覆っている。最近公開された高解像度カメラHiRISEが撮影した画像(着色加工)より。

 角礫岩に含まれる岩の塊は、衝撃や地すべりなどの大規模な地質的事象によって砕けた岩の破片を、細かい粒子状の物質がセメントのように固めてできたもの。写真の角礫岩は幅9メートルを超えているが、このようにある程度の大きさの塊ならば、HiRISEで軌道上から表面の特徴を観察することができる。

太陽フレア、2年ぶりの規模

2010年01月29日 20時57分39秒 | 宇宙
 この2年あまりの間に観測された中で最大の太陽フレアが鋭い閃光を放っている。1月17日、双子の太陽観測衛星STEREO(Solar Terrestrial Relations Observatory)の1機がとらえた。爆発に伴って発生したコロナ質量放出のため、粒子でできた大きな雲がフレアの閃光を取り囲んでいる様子が見える。

 STEREOの観測チームによると、太陽活動は全体的に停滞しているが、このフレアが観測された領域では活発な活動が見られるという。