奏~かなでうた~詩

自作詩を書いています。自分の心と向き合いながら。

歌うたうもの

2012-02-04 | 詩詠~うたうたい
風の歌を紡ぐ
独りぼっち立ち尽くす お前の心に
めざす道を一本 示してやろう
その先は お前の足で歩いてゆくのだ

涙の歌を紡ぐ
その小さな胸を満たした悲しみの
栓を抜いてやろう
心が壊れてしまわぬように

希望の歌を紡ぐ
闇に閉ざされたお前の心に
希望の灯をともすことは
もう できないのかもしれないが

慰めの歌を紡ぐ
疲れ果てた体を横たえ
流れ落ちる涙にも気付かず
眠りに落ちるお前のために


お前は もっと許されていい……
だから 私は歌を紡ぐ


愛の歌を紡ぐ
愛など知らぬと叫ぶ お前のために
私の魂のコトノハで
深く 深く 抱きしめてやろう

永遠(とわ)の歌を紡ぐ
お前の戦いが終わりを迎えた日
固く閉じた目蓋に寄り添い
永遠に醒めない夢のコトノハを


私は紡ぎ続けていこう……
お前だけのために 歌うたうものだから

差し出された手を……

2012-02-03 | 心詩~こころうた・己
おそるおそる指先を伸ばした 私の手を
その人は 見透かしたように
ぐいと掴んで引っ張った

張り巡らせたバリアなど
気付きもしないかのように
その手は易々と突き破り
心の内側に入り込んだ

これが 強さというものか
これが 大きさというものか

きょとんと 目を瞬(しばたた)く私に
「あなたの闇を 恐れなくていい」 と
眩しく微笑み さらりと告げた


光の世界は
手を伸ばせば
すぐ 届く場所にある

闇の世界も
光の世界も
人が心に作り出す
幻に過ぎないのかもしれない

どちらに生きるかは
自分が選ぶものなのだと
その手の主は
教えているような気がした


淡い光の中で
私は ほんの少し
心のバリアを解いて
微笑み返してみた




----------------------


この詩は、「差し出された手に……」への返答の詩です。

差し出された手に……

2012-02-03 | 心詩~こころうた・己
「一人で頑張らなくていいんだ」 と
ふいに 差し出された手

あの日から
外の世界を遮断してきた私の心は
どうしていいのかと
返答を探しあぐねる


差しのべられた その手を
私はまだ
うまく掴むことができない

信じた途端
また 私の元を
去ってしまうのではないかと

相手を傷付け
自分もまた
傷を増やすだけではないのかと

この心の奥に巣食う
疑心暗鬼という名の鬼が
私の心を試している


どこまで 心を見せればいいのか
どこまで 深く関わればいいのか

なぜ 私には
こんなことさえ
分からないんだろう

雑念に耳を貸さず
ただ その手を
掴めばいいだけなのに