奏~かなでうた~詩

自作詩を書いています。自分の心と向き合いながら。

2016-03-24 | 心詩~こころうた・己
傷ついた人は
人に優しくなれる

それは

傷つけられた悲しみを
自分が人に負わせない

そういう意味だと
思っていた

でも 本当は

傷つけられた人間が
どんな思いを引きずり
生きていかねばならないか
それがよく分かるから
人の心には
壊れ物のように大切に接する

そういう意味なのかもしれないと
ふと 思う瞬間があった



「あなたの配慮はズレている」

勝ち誇った顔で
そう言い放った人がいる

自分は裏表のない人間だから
いつも本音で人と接するんだと

言われた人間の
心に入るヒビにも思い至れずに

たとえ的外れであったとしても
精一杯 相手を思って表した
言葉には 行動には
決して こんな言葉を
浴びせかけてはならない

それで
自分の価値が上がるわけでも
それが
優れた人間の証になるわけでもないのに


だけれど

世の中には
そのことにさえ
気づかない人もいる

傷ついたことがないからか
自分の努力や苦労が
この世で一番尊いと思っているからか

だけれど

そんな人たちを見て
心無いと悲しむ側の人間も

価値観の違う他者を受け入れられない
疎むべき自分勝手な存在に
見えているのかもしれない