奏~かなでうた~詩

自作詩を書いています。自分の心と向き合いながら。

ゆっくり

2011-08-27 | 心詩~こころうた・己
いつもの半分の速度で歩いてごらん
きっと 景色のひとつひとつに目を奪われるから

いつもの倍の長さで呼吸してごらん
きっと 自分の心の声が聞こえてくるから

ゆっくり生きても いいじゃない

きっと 急いで手に入れたものよりも
何十倍も価値のある何かに 気付けるはずだから

虫ケラ

2011-08-21 | 心詩~こころうた・己
ひとつの幸運を
ふたつの不運がかき消す

人生とは
きっと割に合わないものなんだろう
真っ当に生きる人ほど
唇を噛み締める回数は多いに違いない

どんなに希望に満ちた言葉も
今は 私の心に響きはしない

「努力は必ず報われる」のも
「信じれば夢は叶う」のも
選ばれた人間だけなのだから

それでも まだ私は
人生を諦めきれずに
惨めな足掻きを繰り返している

奇跡など 望むべくもないと
思い知っているはずなのに

暗闇

2011-08-21 | 心詩~こころうた・己
這い上がろうと
もがけばもがくほど
深みに落ちていくのは
何故なんだろう

ただ
生きる希望が欲しいだけなのに
それさえも私には
許されないことなのか

ならば 何を糧に
この命を繋げばいい

生殺しのような人生は
やがて この肉体を
腐敗させてゆく

命と平和について

2011-08-07 | 心詩~こころうた・世
蝉の声を聞きながら
遠い日の この国の惨事に
思いを馳せる

人と人が 命を奪い合っていた
そして 罪もない民たちが
たくさんの血を流し 死んでいった

ぐうの音も出ないほどに痛めつけられ
この国は 戦争を放棄した
同じ過ちは繰り返さぬと誓った

でも 今も自衛という名のもとに
この国は 武器を手放すことができない

それは この地球(ほし)から
戦争がなくならないから

人間は 他人の惨状からは
何も学べない生き物なのか

どれだけの町が瓦礫に変わり
どれだけの人々が血の涙を流せば
人間は自分の愚かさに気付くのだろう

命の尊さを第一に考えるなら
国境や思想の隔たりなど
心を遮る障壁にはならないものを