奏~かなでうた~詩

自作詩を書いています。自分の心と向き合いながら。

自分にとっての真価

2011-09-28 | 心詩~こころうた・己
人は 失敗から
多くを学ぶという

「自分にとっての真価」というものは
今 その瞬間の基準で
判断しようとしてはならない

それが 自分の心に
どれほど入り込み
どれほど刻み込まれたか

それが 自分の心を
どれほど支え
どれほど寄り添う存在であったか

その濃淡を思い返せなければ
手放した後で
必ず 後悔することになる

もし それが
お金で買えないものならば……


何十年という時間の中で得た
多くの「物」や「者」たちを
その時の感情にまかせ
どれほど手放してきただろう

今 ようやく
そのことに気付いても
一体 どれだけの「もの」を
取り戻せるというのだ

本当に大切なものほど
気付かれにくい姿をしていて
心を開いて向き合わなければ
きっと 見えてはこないのだろう


100のものを無くして
ようやく ひとつの“宝”を得る

失敗から学んだものは
きっと 己の細胞にまで刻み込まれ
生涯の財産となっていくだろう

ガラスの心臓(ハート)

2011-09-25 | 心詩~こころうた・己
ガラスのように繊細なハート
些細な衝撃にも
容易く傷付き ひびが入る

それでも
休むことなく鼓動を刻み
私を生かし続ける

本当は
とても とても
打たれ強く
諦めの悪いヤツかもしれない

私がへこたれるたび
この心臓は
癇癪を起こし
拍動を乱す

私が絶望の淵に落ち込むたび
この心臓は
胸壁を震わせ
命のリズムを響かせる

剥き出しのまま
無防備なまま
このガラスのハートは
あと どれだけ
私を生かし続けるのだろう

私は 時々
じっと胸に手を当て
無垢なる鼓動に
己が不甲斐なさを
詫びるのである

混沌の海で

2011-09-15 | 心詩~こころうた・己
混沌とした心の海を
ただ ただ 彷徨う

かすかに見えた光も
手を伸ばせば
儚く消えてゆく

絶望を受け入れられず
苦痛を長引かせるだけの
そんな人生は

ありもしない希望にすがって
傷を増やすだけの
そんな人生は

それでも
この手で終止符を打つ
勇気のカケラさえもなく

この檻を破って
新しい世界へ踏み出す
勇気のカケラさえもなく

なぜ
いつまでも いつまでも
同じ澱みの中で
もがき続けるだけなのか

確かにこの手に触れられる
希望の光を 見せて欲しい