奏~かなでうた~詩

自作詩を書いています。自分の心と向き合いながら。

人間と生まれたからには

2013-07-18 | 心詩~こころうた・己
なぜだか 人に粗末にされる人間がいる
誰かの踏み台とされ 攻撃の矛先とされる
そういう役割を与えられたかのような人間が

子供の頃 同級生らのいじめの対象であった
見える傷など残さない 陰湿なる精神攻撃
クラスの全員 教師までもが 徒党を組んだ

社会に出れば 職場での幼稚極まる嫌がらせ
なぜ 同じ目的のために働く者同士が
その目的のためだけに協力しあえないのか
そして挙句の果ての パワーハラスメント

自己主張のできない性格は
それ以前のものか それ以後に形成されたか
それが人生の重荷となったことは紛れもない
今は鬱病を患い 社会復帰もままならぬ


「苦労はいつか必ず報われる」
その言葉を信じて生きてはきたが
それは万人に当てはまる事実ではないと
これまでの人生で 確信できた唯一のこと

それはおそらく 前世から繰り返されてきた
この魂に割り振られている 宿命なのか
どんなに光を求めても それは許されぬさだめ

ならば 人は 何に縋って生きればよいのか
希望の持ち方を 誰に教わればよいのか

自信に満ちた友は 私の救いとなっているか
画面に映る成功者は 私の糧となるだろうか


人間と生まれた私 私がやるべき課題

生涯かけても 赦すことなどできないだろう
ならば 恨みの炎は胸の奥底に封印し
正々堂々と己が人生を完結することで
私を蹂躙したこの世界に 復讐してやるのだ







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詩の賞に応募して落選した作品に、若干の修正を加えたものです。
こういう内容は、やはり賞向きではないのだろうか……。

ニセモノ人生

2013-07-12 | 詩詠~うたうたい
誰かがしつらえた舞台の上で
才能もないピエロが
無様なダンスを踊っている

機械仕掛けの拍手喝采
捏造された人気と評価

ピエロはなんにも気づかずに
言われるままに踊り続ける

やがて拍手が止み
誰もいない小屋の中
客席を埋め尽くすのは
ぜんまいの切れた からくり人形

自分は今までどこにいたの
自分はいったい なにをしていたの

中身からっぽの芸なんて
誰の心も打たないと
ピエロはようやく気がついた

自分の人生
生きてなかったと
ピエロはようやく気がついた

この世界を隔てるもの

2013-07-01 | 心詩~こころうた・己
当たり前が
当たり前ではない
そんな世界を

当たり前が
当たり前だと思い
生きる者には分かるまい


ゆく場所がある
帰る場所がある
働ける場所がある
笑いあえる仲間がある
必要なものは手の中にある

それが
当たり前だと思う
その幸運に気づかない者

それは
当たり前ではない
その惨めさを骨に刻む者


そのどちらもが
同じ世界に生きる
同じ空間に存在する

互いに無関心に
ただ居合わせただけの
赤の他人として

波風は立てず
腫れ物には触れず
それが世界を
円滑に回すための思考


視界に入らぬよう
耳に入らぬよう
関わらぬよう
恥をかかぬよう

「当たり前なんてない」と
喧伝しながら
正当化しながら

そうして築き上げられた
格差社会という名の 檻の中で