奏~かなでうた~詩

自作詩を書いています。自分の心と向き合いながら。

てのひらひとつぶんのしあわせ

2011-12-25 | 心詩~こころうた・己
てのひらひとつぶんのしあわせ
きっと 今
自分はそれを
手にしていると感じる

本当に些細な
でも こんなにも愛おしい

心が温かくなる感触
随分と忘れていた気がする

これだけあれば
私はこんなにも
幸せを感じることができたんだ

今まで負ってきた傷も
すべて もういいと思えてしまう
こんなにも
心が清らかに感じられる


優しさだけで
思いやりだけで
生きていけるなら

優しさだけの
思いやりだけの
世の中であったなら

きっと 誰もが
てのひらひとつぶんのしあわせを
大事に 大事に
育てていこうとするのだろう

傷付ける者も
きっと 傷付いてきた人
傷付くことを恐れて
先に 誰かを傷付ける

傷付いて悲しんでいる人を
もっと傷付けて気を紛らせる者より
その傷に手を当てて
「治れ 治れ」と祈れる人に
私はなりたいと思う


てのひらひとつぶんのしあわせ
そのくらいの分量で 私には充分
ずっと なくしたくない
この温かい感触も
人を愛おしいと思える気持ちも





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「てのひらひとつぶんのしあわせ」 この言葉がとても気に入っている。
パワハラを受けた日から数年、自分は不幸のどん底で生きてきたと思っていた。
でも今、ふと気付けば心の中はとても穏やかで、また人との関わりを持ちたいと思っている自分がいる。
そして、クリスマス・イヴに本当にちっちゃな幸せな出来事があった。
なによりも大切な「思い出」という名前の宝物が戻ってきた。
涙が溢れた。あの頃の温かい気持ちも一緒に戻ってきたようだった。
もう過去にこだわるのはおよしなさい、そう言われているような気がして、この詩が一気に出来上がった。

外の世界へ

2011-12-20 | 心詩~こころうた・己
ほんの少し
外の世界に目を向けてみると
そこには
優しさも 煌めきも
ちゃんと存在している

恐る恐る話しかける私を
誰も 傷付けたりはしない

ああ そこは
私が信じてもいい世界なのか

それとも
何も信じてはいないから
傷付きもしないだけなのか


この場所に
居続けることはできない

平穏と背中合わせの後ろめたさに
心は微塵も落ち着くことがない

すべてを捨てて手に入れた世界は
危機を回避するための
ただのシェルターにすぎなかった

ここから外に出て
新しい希望の地を 自分自身の足で
探し当てなければならないのだ


しっかりと 目を開いて
しっかりと 心を研ぎ澄まして

なりたいもの

2011-12-13 | 心詩~こころうた・己
生まれ変わるなら
風になりたい

姿形に囚われず
自由に 気ままに
空を旅して生きる

ただ 誰のためでもなく
ただ 天空の命に従って


生まれ変わるなら
石ころになりたい

道端にころがり
踏まれても 蹴られても
痛みなど感じない

ただ 無機質に
ただ そこに存在するだけ


過敏な心を持たず
喜びも悲しみも 無縁の世界で

感情という錘(おもり)から解放された
-永遠-を生きるものに

自問自答

2011-12-10 | 心詩~こころうた・己
人と人が出会うこと
人がそこに存在すること

そこには必ず 意味がある

どんなに些細な意味であれ
誰かが誰かに影響を与え
人は生き 世界は動いているのだから


あと少し 支えを必要とする人がいれば
それを与える誰かが
その場所へと向かうだろう

あと少し 勇気を必要とする人がいれば
誰かがそこへ向かい
そっと背中を押してくれるだろう

そんな奇跡に出会うとき
人は たまらなくこの世界を
愛おしいと思うのだろう


もしも
誰かに差しのべた手を
空しく跳ね返されてしまったら

もしも
人生を懸けた挑戦を
冷徹な踵で踏みにじる
誰かと遭遇してしまったら

人はその「意味」を 幾度も幾通りも考え
いっそ無機質な世界であったならと
すべてを呪い 心を閉ざしていくだろう


訪れる幸運よりも
降りかかる不運は
大抵 大きい

一瞬の油断に 幸運はするりと逃げ去り
一瞬の油断に 不運はするりと入り込む

負のパワーは正のパワーを食い尽くし
はじまりの煌めきを 瞬くうちに消し去っていく

そこに どんな意味を見い出せばいいのか


もしも 渾身の力を振り絞り
「神が与えた試練だった」と
すべてを受け入れることができるなら

その次の出会いは
幸運な意味をもたらすものとなるのだろうか


終わりのない自問自答を続け
己が人生を費やし 試行錯誤を繰り返す

この人生そのものが
自分にとっての「意味」だと言い聞かせて

私はここにいる

2011-12-09 | 心詩~こころうた・己
もっと 人を愛したいのに
もっと 人に心を許したいのに
染み着いた警戒心が
繰り返された失望が
私の心を臆病にする

 私はここにいる
 私はここで生きている

何度 傷付けられようと
何度 裏切られようと
この手は この心は
惨めなほどに 愛を求めている
肉体という檻に閉じ込められたまま

 私はここにいる
 私はここで生きている

誰の記憶からも消え去り
誰からも愛されず
誰からも必要とされず
野良犬のように惨めに果てる
己の未来が 容易く見える

 私はここにいるのに
 私はここで生きているのに

平凡が望めない人生ならば
たったひとつの希望でいい
自分を愛せる分だけあれば……

悲しみに触れるもの

2011-12-06 | 心詩~こころうた・己
悲しみの大きさを測る
ものさしはない
悲しみの重さを量る
秤(はかり)はない

誰かと比べて
「お前はまだ恵まれている」
なんて
決して口にしてはいけない

悲しみは
誰も侵してはならない
神聖な感情

そこに触れられるのは
愛を与える手を 持っているものだけ