奏~かなでうた~詩

自作詩を書いています。自分の心と向き合いながら。

【7行詩】恋文之一「さよなら」

2012-08-29 | 詩詠~うたうたい
 「さよなら」

あの日 渡せなかった恋文を

今 こうして読み返しています

知らなかったでしょう

手を繋ぐことさえなかった私が

いつも隣で見ていたことなど

目蓋に残る眩しい記憶ごと

捨て去る決心が ようやくつきました





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某コンテストの企画に合わせて書いた詩。
勿論、ボツ作品(涙)。
惜しいので、ここに載せようと思います。
5編作ったので、順次掲載していきます。

我を愁う

2012-08-29 | 心詩~こころうた・己
魂の容物(いれもの)は
もう ぼろぼろ
経年劣化と酷使の賜物
体も心も使い潰し
あと何年
持ち堪えられるだろう

心と魂は 別のもの?

鬱となって
心を侵された人間の魂は
どれほどのダメージを
受けているのだろう

次に生まれ変わるとき
その魂は 今よりも
弱くなっているのだろうか
逞しくなっているのだろうか

大事に生きてやれなかったことを
悔やみながら……

未来の色

2012-08-28 | 心詩~こころうた・己
未来は
過去よりも
モノクロで

未来は
後悔よりも
胸を締めつけ

過ぎた時を
振り返るよりも
絶望的な姿で
行く手に立ち塞がる


別の人生を
選択できるとしたなら
どこまで戻って
やり直そう

変われるチャンスは
何度もあった
今さら嘆いても
どうしようもないが

勇気と後悔は
一対となって
突き付ける

「人生の選択」という課題を


未来は
今よりも
まぶしくて

人生は
自分のもので
なければならない

もう
立ち止まっている
時間はない

これまでの人生と
同じだけの時間を
後悔には費やせない


躊躇して
失敗して
挫折して
遠回りしても

人生の証は
自分で残すしかないのだ

心を持ちあぐね

2012-08-26 | 心詩~こころうた・己
戦闘のない
平和なこの国にいて
なぜ 私の心は
平穏とは程遠い場所にあるのか

半径数十センチのテリトリーに
次々と送り込まれる刺客たちが
蟻の通り穴ほどの間隙から
舌なめずりをして狙っている

清らかな心で生きたい
ただそれだけの願いさえ
嘲笑うかのように


空がどんなに青くとも
私の胸を打つには至らない

風がどんなに肌に心地良くとも
そこに なんの希望も見い出せない

望むものだけが
根こそぎ奪い去られてゆく


結局は こんな世の中

なにが不満だと
人は 人を傷付けるのか

なにが不服だと
人は 人の幸福を妬むのか

外見ばかりを飾る価値観は
純粋なものを見失い
誠実な心を切り捨ててゆく


平和ボケした
平和な人間たち
心まで
さもしくなってしまったか

いまある人生に満足できない私も
平和ボケした 人間なのだろう


生きることに価値があると
未来には希望が残されていると
人間は まだ捨てたものじゃないと
自分は 幸せな人間なのだと

どうか 信じさせてくれ

今もなお……~平和への願い

2012-08-22 | 心詩~こころうた・世
今も そこにある 戦争
日本からは見えない場所で
でも それは 同じ地球の上
同じ人類が行う 蛮行

狩るもの 逃げ惑うもの
そこに 人間は いない
血に飢えた狂気と
塵ほどに儚い命があるだけ

否……
そもそも 狩人たちに
“命”の存在は見えているのだろうか


武力では なにも解決しない
争いは 憎しみの連鎖を生み続けるだけ

いつまで 繰り返すつもりなのか

引金を引く一瞬が
ボタンを押す一瞬が
永遠の悲しみを生み出すことを
それを躊躇なく行える人間の浅はかさを
どうか 想像できる人であれ


兵器など いらない
抑止力など 必要ない
戦争など なんの意味もない

頭に思い描く 平和な世界は
きっと そんなものの先にはないはず
それは 奪い取るものではなく
一心なる願いの中に灯る 一条の光

長い 長い 争いの歴史の中で
失われた貴い命に報いるために
今も そこにある戦争から目を逸らさず
平和を願い続けながら 生きていこう

針の先ほどの 光でも──

8.15~未来への課題

2012-08-15 | 心詩~こころうた・世
なぜ 同じ人間同士が
争い
傷つけ
奪いあうのか

授かった命を
いたわりあう生き方では
だめなのか

与えられた恵みを
分けあう生き方では
だめなのか


人種を理由に
国を理由に
なぜ人は
争い続けるのか

他者を攻撃し
他者から奪い
勝利を錯覚する

それこそが
人間の浅ましき本能か



過去は 反省することしかできないが
未来は 阻止することもできる

過去を悔やみ
本気で怒れる者たちの力で


核のない世界
兵器のない世界
戦争のない世界

本当の平和は
人の意識が作り出すもの

心の中に隠し持つ
武器をすべて捨て去って

rebirth

2012-08-12 | 心詩~こころうた・己
不規則な覚醒と眠りのなかで
緩やかに形を失ってゆく
私という 思考と存在

これは 現実か 幻なのか
私を置き去りに
時は刻まれてゆく


私はまだ
ここにいることを
許されているのか

手に触れるものすべてを取り上げられ
頭に描くすべてを先回りして奪い去られる

窓に張り付く蛾を見下ろし
私を監視しているのかと
真夜中にひとり 苦笑する


ああ このまま
壊れてゆくのか
人としての在りようを保てなくなってゆく恐怖
堕ちてゆく快楽に目醒めゆく狂気

あの日までの私は
もう どこにもいない
今 ここにいるのは
もっとも嫌悪する類の
生を貪る 肉の塊

やがて 魂を放棄し
制御の効かぬ肉体の奴隷と化し
生きる屍となり果てる己の姿を
白く煤けた頭蓋の裏に
赤黒く刻印してゆく

無機質に 無感覚に


無情なる世界との 訣別──

朝を 迎える

2012-08-10 | 心詩~こころうた・己
明け方の空
蜩の声 澄み渡り

昼間とは別世界の
肌に冷たき 網戸越しの風


眠れない夜は
私だけの時間

誰の思考も入り込まず
自分だけの世界に 没頭する


早朝のにわか雨
何日ぶりだろう


動きだした時間
蝉たちの合唱
まだ 夏は残っている

おはよう 私
おはよう 世界
おはよう 今日という一日