船の操縦操舵席はなぜ船の上についているか。それは地球が丸いからである。丸いから上に上がったほうが遠くまで見渡せる。
クルーザーというのは見た目ほど快適ではない。潮の飛まつはすべてをベタベタにする。10月の太陽は殺人光線だ。12月でもまだ暑い。クルマがエンストすればJAFを呼べばよい。海上でエンジンが止まると、波を避ける方向転換が出来なくなり転覆する。
体温が低下し5時間で死ぬ。海上保安庁が5時間でこられる距離は限られる。ヘリに発見される可能性はさらに低い。
不潔と苦痛と危険の中になぜ身をおくのか。
お膳立てされた楽しい幼稚園でつつましく遊ぶのはいやだからだ。
だがやっかむ人が多い。理解力の無い人たちだ。そういう人は何回乗っても風と波と推力の関係を理解しない頭の悪い人たちだ。泣きべそをかく資格は無い。
遊びというのは命がけで真剣にやっているのだ。自然は保護してはいけない。知力と体力の限りをつくして自然と戦うから面白いのだ。
クルーザーは2度うれしいという。買ったときがその2度のうちのひとつ。これは当たり前。もう一度は売ったとき。つまりもてあましていたのだ。十分な時間と気合がある人は中古艇を買えばタダみたいに安く手に入れることができる。
2度うれしかった人は本来持つべきではなかった人だ。
でも一度も持たなかった人より遥かにましだ。
乗る前は気持ちが高ぶり大声になる人がいる。異常にふざける人がいる。
それを面白く思わない、やっかみのために生きる人がいた。僕の友人だった人の船が放火された。船は風にさらされ乾燥しているしガソリンもある。船火事は陸上の火災より消えにくい。犯人はある程度知識のある人だったかもしれない。
バカとひねくれ。甲乙つけがたくうっとおしい。