九州の東西の物流と南北の物流は鳥栖市で交わる。高速のインターは完全クローバー型で日本最大だ。月面探査船が地球の人工物を探した時、見えたのは万里の長城とこのインターチェンジだった。
九州という島には1300万人が住み、そのうちの40%は福岡県民だ。きわめて福岡寄りに位置する鳥栖市は、物流の中心になるべくしてなった。
地球の物流は船であるが日本の物流はトラックである。ドライバーは昼夜を分かたずトラックを転がす。
道路情報を得たり、睡魔と戦うアイテムは、ラジオと無線だった。が、今はカーナビと携帯にとってかわった。ほんの10年前までCB無線を聞くとドスのきいた声が行き交っていた。
トラックのアンテナは、夜になると強力な不法電波で灼熱し、まさに火矢のように飛んだ。だからトラッカーたちはもれなく情報通であり、つけっぱなしのラジオから多くの教養を得ている。
全日本トラック協会は、精緻な理論武装をしていて、半端な政党の建前論など一蹴する。トラッカーは博学なのだ。
トラックは小回りが利かない、駐車スペースに困ることが多い、時速100キロで走っても自分を守るのは薄い鉄板一枚だ。鳥栖には彼らのオアシスがある。オアシスに群がるラクダは30センチ間隔で駐車している。
なかなか乗用車では行きにくいが、問題ない。
ご飯のお替り自由。すべてにボリュームがある。料理も人間も。町では出会わない男たちがいる。モテるのがよくわかる。