<前回からのつづき>
当時大部分の慰安所の慰安婦は日本女性のほうが朝鮮女性より2倍以上多かった。したがって、他民族から動員した慰安婦の数は3千名から最大1万5千名だと推定することができる。韓国の教科書では従軍慰安婦の数を20倍以上膨らましているしその実態も非常に歪曲しているのは明らかだ。
慰安所の利用は各部隊の内規に従って厳格に統制されていた。フィリッピン駐屯軍のある事例は次のとおりである。
南地区舎営内特殊慰安所利用規則
階級 時間 料金(中国人、日本人)料金(中国人)
兵一時間 2円 1円50銭
30分 1.5円 1円
下士官 1時間 2.5円 2円
30分 1.5円 1円
将校及び准士官 1時間 3円 2円50銭
徹夜利用(24時から)10円 7円
徹夜利用(22時から)15円 10円
利用時間 兵士 10時から16時まで
下士官 16時10分から18時40分まで
将校と准士官 18時50分以降
備考:1.軍属はそれぞれの身分により所定料金を支払うこと
2.利用客は上記料金を超過する金額を慰安所経営者又は慰安婦に支払ってはいけない
各部隊の日程は次のとおりである
日曜日 連隊本部 連隊直轄部隊
月曜日 第一大隊 第4野戦病院
水曜日 連隊本部 連隊直轄部隊 第三大隊
木曜日 第一大隊 (ただし午前中は健康診断後に行う)
金曜日 第二大隊 第四野戦病院
土曜日 第三大隊
これ以外にも性病予防とセックス補助器具、健康検診、料金分配などに対して細かい規制があった。紙面の都合上ここでは割愛する。このような資料から推測するのであるが、知られているのとは異なり特殊慰安所(定期慰安所)は、合理的、体系的に運営されていたのであり慰安婦の人権と賃金支払いに関しても相当な保護措置があったといえる。慰安婦には乱暴であるとか酒に酔っている利用客を拒む権利があったし、きれいな慰安婦は利用競争が激しかったため労働がきつくなることがあったが後見人たちを使って(慰安婦が)威張り散らしたという記録もある。
【評価】
最後に従軍慰安婦問題を評価するにあたりその公平性の観点から述べておく。最初に日本人慰安婦と比べ他民族の慰安婦には過酷なことも起こったのではないかということ。次には男性と女性の間の公平性に対しても考察しておきたいことがある。
最初の側面について。おおよそ公平性は保たれていたと思える。従軍慰安婦は大部分日本人と朝鮮人、中国人で構成されていた。人種構成についての信頼できる研究はいまだない。多分不可能であろう。ただ、何カ所かの慰安所については人種構成を推定できるものもあるのだが、おおまかに言って日本出身が圧倒的に多く朝鮮人と中国人は一部に過ぎない。台湾出身者は慰安所によっては日本人に分類されているようだ。ただし当時の台湾の人口は日本の15分の1に過ぎなく無視できる数だ。朝鮮の人口は日本の3分の1程度だった。したがって当時日本に同化されていた朝鮮と台湾地域では人口比率よりも多くの従軍慰安婦が動員されていたとみる証拠はない。おおよそ人口比率によっていたと推定される。
ただ朝鮮女性の場合には社会発展段階が日本に比べ大幅に遅れていたため強い純血思想が残っていた。そのため従軍慰安婦として働いたという前歴があることの精神的苦痛は相当に大きかったといえる。したがって韓国側では朝鮮人従軍慰安婦問題に対してはその範囲においてのみの問題提起に限るべきだ。
<つづく>