日々雑感

豊かな四季の移ろいを記憶にとどめて行きたいと始めたフォトブログです。暫しご笑覧下さい。

大阪の原点・天王寺界隈 (4) 新世界

2012年10月26日 | 町並み・風景 大阪

 天王寺界隈でもっとも賑わいのある町は新世界です。大阪で、”賑わい”という言葉を、その本来の意味で使えるのはここ新世界だと思います。実に人間くさい街。それが新世界です。
 看板は、どれもこれも、これでもかこれでもかいうくらいに限りなくど派手で且つ巨大であることを競っています。日本文化の象徴と言われる「わび」「さび」など、痛快なほどに、どこにもありません。誰にも媚びず、己の手で毎日の生活を乗り切って来た生活者・庶民が作り上げてきた街、それが新世界です。

 

 

 

 

 今、天王寺と言えばこの日本一高層のビル「あべのハルカス」がマスコミを賑わしています。果たして、これに象徴される天王寺界隈の現代版再開発が、かつての新世界が持っていた本当の賑わいをもたらしてくれるのかどうか、間違ってもJR大阪駅周辺・梅田界隈のような「リトル東京」だけにはならないで欲しいと祈るばかりです。

  この新世界は今、街が持つこの独特の雰囲気が観光化される一方で、その独特の雰囲気を担ってきた生活者・住民の高齢化と過疎化が進むという、大きな岐路に差し掛かっています。今後の行政や民間の再開発がこれに拍車をかけるでしょう。
 この天王寺界隈を歩いてみて思いました。人を大切にするのか、それとも金儲けが大事なのか、豊かさとは何なのか、この難題を避けて通れないところに、私達は、今、立たされているのではと。。。

END 

 


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大阪の原点 天王寺界隈 (3) てんのじ村周辺

2012年10月25日 | 町並み・風景 大阪

 JR天王寺駅や四天王寺は上町台地上にある高台です。
そのために夕日が美しいことで有名で、夕陽丘という地名にもなっています。
この高台から西に下ると上方演芸発祥の地といわれる一画があります。
「てんのじ村」です。

この辺りは、明治の末頃までは大池という文字どおり大きな池があり、その底地だったようです。

「黒龍大神」
その大池には大蛇が住んでおり、池の周辺に住む人々から、
はじめは池の主として崇められていたようですが、
やがて地域の守護神として祀られるようになったとのことです。

昭和の上方演芸を支えた芸人さんの多くがこの町で暮らしました。

典型的な大阪の下町の風景がここには色濃く残っています。
天王寺界隈は今、急激に再開発が進んでいます。
近い将来、こうした情緒豊かな大阪の下町の風景も消えるかも知れません。

つづく

 


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大阪の原点・天王寺界隈 (2) 四天王寺

2012年10月23日 | 町並み・風景 大阪

 JR天王寺駅を東に7~8分も歩くと、四天王寺に至ります。
 四天王寺は、奈良県明日香村飛鳥寺と並び、
日本で最初の本格的仏教寺院として建立された寺院です。

創建以来、幾度も焼失・再建を繰り返してきました。
寺院にもその時代々々に応じた建立の仕方、流行があります。
そして何よりも再建にかかる費用の問題が、再建計画を大きく左右します。

 しかし、四天王寺は、その都度、中心伽藍といわれる五重塔、金堂、講堂は、
創建時と同じ場所、同じ大きさで、再建されてきました。
特に近世では、官ではなく民の財力で行われました。
そしてその民の担い手は商人でした。
いかに大阪の商人に財力があったか、四天王寺はその象徴的存在でもあります。

 直近の再建は、昭和三十八年です。
太平洋戦争の米軍の無差別空襲によって、この中心伽藍は破壊され尽くされたました。
その十八年後に、全て鉄骨とコンクリートで施工されました。
これが奈良や京都であればどうでしょう。木造ではなかったでしょうか。
実際、奈良の薬師寺は木造によって再建されています。
 兎に角も、四天王寺は、昭和三十八年に、創建時の同じ場所、同じ大きさで、
「鉄骨・コンクリート造り」で再建されました。
良きにつけ悪しきにつけ、実に大阪らしい四天王寺の再建です。






 つづく

 


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大阪の原点・天王寺界隈(1)

2012年10月23日 | 町並み・風景 大阪

 JR天王寺駅のほんの近くに古い商店街があります。
通りの幅は3m有るか無いかです。
歩いていると、店先の商品、店主の顔と声、すれ違う人、
何もかもが”近い”のに驚かされます。
売る人の、買う人の、そして古びた長屋の店舗にさえ、
その息づかいが、
まるで家の中にいるように、聞こえたり、感じたりします。
妙に穏やかで安らんでいる自分がそこを歩いている、
それを異空間から眺めている自分。
不思議な空間です。

 

 

つづく

 


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