天王寺界隈でもっとも賑わいのある町は新世界です。大阪で、”賑わい”という言葉を、その本来の意味で使えるのはここ新世界だと思います。実に人間くさい街。それが新世界です。
看板は、どれもこれも、これでもかこれでもかいうくらいに限りなくど派手で且つ巨大であることを競っています。日本文化の象徴と言われる「わび」「さび」など、痛快なほどに、どこにもありません。誰にも媚びず、己の手で毎日の生活を乗り切って来た生活者・庶民が作り上げてきた街、それが新世界です。
今、天王寺と言えばこの日本一高層のビル「あべのハルカス」がマスコミを賑わしています。果たして、これに象徴される天王寺界隈の現代版再開発が、かつての新世界が持っていた本当の賑わいをもたらしてくれるのかどうか、間違ってもJR大阪駅周辺・梅田界隈のような「リトル東京」だけにはならないで欲しいと祈るばかりです。
この新世界は今、街が持つこの独特の雰囲気が観光化される一方で、その独特の雰囲気を担ってきた生活者・住民の高齢化と過疎化が進むという、大きな岐路に差し掛かっています。今後の行政や民間の再開発がこれに拍車をかけるでしょう。
この天王寺界隈を歩いてみて思いました。人を大切にするのか、それとも金儲けが大事なのか、豊かさとは何なのか、この難題を避けて通れないところに、私達は、今、立たされているのではと。。。
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