伊吹有喜さんの小説「なでし子物語」を読んだ。

伊吹さんの作品は、「風待ちのひと」以来、2作目である。
ドラマでは「四十九日のレシピ」(NHK・11年2月)を観た。
これは、文庫本の帯である。

涙ぐむまでいかないまでも、伊吹さんらしい、
優しい気持ちになれる、元気に生きていこうと思わせる作品であった。
作品の舞台は、静岡県の天竜川流域の山間の里、峰生。
(架空の場所らしい)
かつては地元の大富豪で名士であった、遠藤家の常夏荘での話。
父を亡くし母に捨てられ、祖父に引き取られたものの、
学校ではいじめに遭っている、使用人の子、耀子。
夫を若くして亡くした後、舅や息子と心が添わず、
過去の思い出の中にだけ生きている照子。
そして、照子の舅が愛人に生ませた男の子、立海。
彼もまた、生い立ちゆえの重圧やいじめに苦しんでいる。
この3人の出会いが、
それぞれの人生を少しずつ動かしはじめるというもの。
また、青井という若い女性の家庭教師が出てくる。
とても厳しく、融通が利かない、少し嫌なタイプの先生。
しかし、次第に先生の良さが分かってくる。
「自立とは、顔をあげて生きること。
自立とは、美しく生きること、新しい自分を作ること。」
また、青井先生が耀子に最後の授業として話す。
「ぐるぐる考えても答えはでないの。
どうして、どうしてって思いながら、ずぶずぶと沈んでいくばかり。
今の状態を『どうして』って責めても、何も始まらないのよ。
だって、もう終わってしまったことだから。
わかっているけど抜けられない。
そんなときには、そこから抜け出す魔法があるの。」
「そう、今を変える魔法の言葉。これが今年最後の私の授業」
「どうして、って思いそうになったら、どうしたらって言い換えるの」
「『どうして』グズなの? この質問に答えは出ない。
だけど『どうしたら』グズではなくなるの?
この質問には考えれば答えが出る。」
「誰にも負けないもの、ずうっとやっていても苦にならないものを
見つけなさい。」
「今、そういうものがないなら、それが見つかるまで、
こつこつ勉強をするのは大事なこと。
勉強というのは、自分の武器を見つけるための手段なの。」
このように言ってくれる先生は少ないと思う。
勉強する理由が分からないうちは、いくらやっても身に付かないと思う。
自分がやろうと思って、初めて身に付くものだと思う。
それを気付かせてあげるのが、先生の大切な仕事だと思う。
大人向けの本であるが、子供が読んでもためになる本だと思った。

常夏、それは"なでしこ(撫子)"の古い呼ばれ方だそうだ。

伊吹さんの作品は、「風待ちのひと」以来、2作目である。
ドラマでは「四十九日のレシピ」(NHK・11年2月)を観た。
これは、文庫本の帯である。

涙ぐむまでいかないまでも、伊吹さんらしい、
優しい気持ちになれる、元気に生きていこうと思わせる作品であった。
作品の舞台は、静岡県の天竜川流域の山間の里、峰生。
(架空の場所らしい)
かつては地元の大富豪で名士であった、遠藤家の常夏荘での話。
父を亡くし母に捨てられ、祖父に引き取られたものの、
学校ではいじめに遭っている、使用人の子、耀子。
夫を若くして亡くした後、舅や息子と心が添わず、
過去の思い出の中にだけ生きている照子。
そして、照子の舅が愛人に生ませた男の子、立海。
彼もまた、生い立ちゆえの重圧やいじめに苦しんでいる。
この3人の出会いが、
それぞれの人生を少しずつ動かしはじめるというもの。
また、青井という若い女性の家庭教師が出てくる。
とても厳しく、融通が利かない、少し嫌なタイプの先生。
しかし、次第に先生の良さが分かってくる。
「自立とは、顔をあげて生きること。
自立とは、美しく生きること、新しい自分を作ること。」
また、青井先生が耀子に最後の授業として話す。
「ぐるぐる考えても答えはでないの。
どうして、どうしてって思いながら、ずぶずぶと沈んでいくばかり。
今の状態を『どうして』って責めても、何も始まらないのよ。
だって、もう終わってしまったことだから。
わかっているけど抜けられない。
そんなときには、そこから抜け出す魔法があるの。」
「そう、今を変える魔法の言葉。これが今年最後の私の授業」
「どうして、って思いそうになったら、どうしたらって言い換えるの」
「『どうして』グズなの? この質問に答えは出ない。
だけど『どうしたら』グズではなくなるの?
この質問には考えれば答えが出る。」
「誰にも負けないもの、ずうっとやっていても苦にならないものを
見つけなさい。」
「今、そういうものがないなら、それが見つかるまで、
こつこつ勉強をするのは大事なこと。
勉強というのは、自分の武器を見つけるための手段なの。」
このように言ってくれる先生は少ないと思う。
勉強する理由が分からないうちは、いくらやっても身に付かないと思う。
自分がやろうと思って、初めて身に付くものだと思う。
それを気付かせてあげるのが、先生の大切な仕事だと思う。
大人向けの本であるが、子供が読んでもためになる本だと思った。

常夏、それは"なでしこ(撫子)"の古い呼ばれ方だそうだ。