『文楽』とも呼ばれる人形浄瑠璃は、歌舞伎との関わりも深く、日本独特の歌劇、一人語りのオペラだと思うのです。
太夫というソロの歌い手が、三味線や笛太鼓とともにストーリーを繰り広げます。
この三味線と唱(うた)は、日本独特のリズムと音階が生む、どこか物悲しい展開か魅力です。
『文楽』と比べて『阿波の人形浄瑠璃』は、民衆芸能の色が濃く、特に八段目『順礼歌の段』はよく知られています。
「あーいぃ・・・ととさんの名は、阿波の十郎兵衛、かかさんの名はお弓、私の名は鶴と申しますぅ・・・・」
という娘語りを聞いたことがあるでしょう?
もとは近松門左衛門の「夕霧阿波鳴渡」を改作したもので、全十段から成っており、一段から三段までは江戸での行状であり、四段から八段までは大坂、そして九、十段が徳島(阿波)での行状で、故あって盗賊と疑われてふるさとを追われる夫婦と、生き別れになった娘が巡礼となって利用芯を探しあて、苦労を重ねて出会うものの、親子であることを名乗れず、父は知らず、小判のためにその娘を殺してしまうが、それが自分の娘で、盗賊との汚名が晴れたことを知らせる手紙をもっていた・・・という、やはり涙無くては語れない、聞けない物語です。
私は歌舞伎が大好きなのですが、『阿波人形浄瑠璃』は、400年の歴史があるそうで、阿波の蜂須賀家の初代藩主家政がこの『人形浄瑠璃』を保護、奨励し、藍染の染料である「藍」のおかげて誕生した豪商の登場などで経済の要所となったことなどもあって、淡路の人形座が諸国巡業に出ることで、全国的に知られるようになったようです。
この『阿波人形浄瑠璃』を保存しようという人々の力で、観光の一環として観ることもできますが、今回の上演はやはりこれらとは一線を隔するものだったと思います。
太棹の三味線が奏でる、低く哀愁に満ちた音。太夫の謡のあるときは高く。あるときは太く、聴き入るものの腹の底に深く染みてくる、なんとも言いようの無い語り・・・・・
そのどれもが、まさに一級品、生きた文化そのものでした。
近頃は、こういう伝統芸能の後継者が減るなか、その技術や芸の質も低下傾向にあります。
みなさんも、多少金額は高くても、こんな本物の文芸を、ぜひ実体験していただきたいものです。
それにしても、久し振りに、謡(うたい)の本物を堪能できたことも、素晴らしかったです。
私にとって、思いがけない誕生日のセレモニーとなりました。
このような機会をいただいた徳島経済同友会のみなさまに、心から感謝します。
太夫というソロの歌い手が、三味線や笛太鼓とともにストーリーを繰り広げます。
この三味線と唱(うた)は、日本独特のリズムと音階が生む、どこか物悲しい展開か魅力です。
『文楽』と比べて『阿波の人形浄瑠璃』は、民衆芸能の色が濃く、特に八段目『順礼歌の段』はよく知られています。
「あーいぃ・・・ととさんの名は、阿波の十郎兵衛、かかさんの名はお弓、私の名は鶴と申しますぅ・・・・」
という娘語りを聞いたことがあるでしょう?
もとは近松門左衛門の「夕霧阿波鳴渡」を改作したもので、全十段から成っており、一段から三段までは江戸での行状であり、四段から八段までは大坂、そして九、十段が徳島(阿波)での行状で、故あって盗賊と疑われてふるさとを追われる夫婦と、生き別れになった娘が巡礼となって利用芯を探しあて、苦労を重ねて出会うものの、親子であることを名乗れず、父は知らず、小判のためにその娘を殺してしまうが、それが自分の娘で、盗賊との汚名が晴れたことを知らせる手紙をもっていた・・・という、やはり涙無くては語れない、聞けない物語です。
私は歌舞伎が大好きなのですが、『阿波人形浄瑠璃』は、400年の歴史があるそうで、阿波の蜂須賀家の初代藩主家政がこの『人形浄瑠璃』を保護、奨励し、藍染の染料である「藍」のおかげて誕生した豪商の登場などで経済の要所となったことなどもあって、淡路の人形座が諸国巡業に出ることで、全国的に知られるようになったようです。
この『阿波人形浄瑠璃』を保存しようという人々の力で、観光の一環として観ることもできますが、今回の上演はやはりこれらとは一線を隔するものだったと思います。
太棹の三味線が奏でる、低く哀愁に満ちた音。太夫の謡のあるときは高く。あるときは太く、聴き入るものの腹の底に深く染みてくる、なんとも言いようの無い語り・・・・・
そのどれもが、まさに一級品、生きた文化そのものでした。
近頃は、こういう伝統芸能の後継者が減るなか、その技術や芸の質も低下傾向にあります。
みなさんも、多少金額は高くても、こんな本物の文芸を、ぜひ実体験していただきたいものです。
それにしても、久し振りに、謡(うたい)の本物を堪能できたことも、素晴らしかったです。
私にとって、思いがけない誕生日のセレモニーとなりました。
このような機会をいただいた徳島経済同友会のみなさまに、心から感謝します。
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