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2020年度・二級建築士受験ブログ講座「建築法規」Vol.20:建築士法

2020-05-12 16:35:06 | ビジネス・教育学習

◇出題傾向分析から、全体のバラツキは認めながらも、重要事項を次の6点に整理する。

◇重要事項①:建築士の法的独占業務規定(士法3条1項)
 ・一級、二級、木造の建築士の級別に、建築士でなければできない建築物の用途・規模を規制。
 ・二級の問題では、一級との境界線がどこであるかの理解が大切。
 ・二級建築士の範囲は、原則、木造が500㎡以内、RC&S造等が300㎡以内。
 ・この境界線は、建築士法にとどまらず、そのまま建築基準法の出題範囲に影響してきます。

◇重要事項②(士法22条の2、規則17条の36、37):定期講習の受講義務
 ・建築士事務所に属する建築士は、業務内容にかかわらず、3年ごとに受講する義務がある。
 ・学校の先生など、法人として建築士事務所登録をして設計・工事監理をしていない場合は不要。

◇重要事項③(士法23条、規則18条):建築士事務所の開設者責任としての事務所登録義務
 ・5年ごとに登録更新が必要で、期間満了30日前までに更新が必要。
 ・他人の求めに応じ、報酬を得て、建築士としての業務をする場合に必要。
 ・開設者は、建築士の資格を必要とせず、有資格者である建築士を雇えばよい。

◇重要事項④(士法24条の6、同24条の7):委託者(消費者)への情報開示義務
 ・委託者への建築士事務所としての業務実績情報管理と情報開示義務。
 ・業務委託時の業務内容、業務報告方法、担当建築士の氏名等に関する情報開示義務。

◇重要事項⑤(士法24条の3第1項、同2項):業務の再委託制限
 ・建築士の登録をしていない無登録事務所への再委託(一括丸投げ)の禁止。
 ・登録事務所であっても、300㎡を超える新築工事は、再委託(一括丸投げ)は禁止。

◇重要事項⑥(法21条):設計・工事監理業務以外の建築士が担うその他の業務
 ・設計、工事監理業務のような、重要事項説明の必要はない。
 ・一級建築士と二級建築士の区別なく業務ができるが、木造建築士は木造に限定している。

◇気になる法改正事項の追加事項:登録拒否の規定における追加事項に注意。
 ・士法23条の4第1項六号、規則20条の2の2
 ・心身の故障で、建築士事務所の業務を適正に行えない場合。

2020年5月12日 by SHRS(シュルズ)一級建築士、建築基準適合判定資格者
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2020年度・二級建築士受験ブログ講座「建築法規」Vol.19:その他関連規定

2020-05-11 10:15:45 | ビジネス・教育学習

◇出題傾向分析
 (1工作物の重要規定(法88条)が、1年おきですが、重要事項であることが分かります。
  ⇒基準数値があるので、出題しやすいし、R1、H29と、正答での出題になっています。
 (2)仮設建築物の規定(法85条)が、正答での出題はないですが、毎年のように出題されています。
 (3)文化財保護、既存不適格(法3条)絡みでの制限緩和(法86条の7)規定は、出題減少傾向です。
 (4)変わって、用途変更規定(法87条)が、建確、検査絡みで、要注意事項と推察しています。
 (5)罰則規定の出題が、今後は多くなってくると予測していますので、注意です。
 (6)分析表の「◎」印が5択で正答になった設問で、総論的には、意表を突く部分の設問では?
 (7)正直、バラツキが大きく、掴みどころのない出題傾向ですが、条文が明瞭な分野ですので、条文が検索できれば、対応がし易い分野だと思います。

◇重要事項①:工作物の重要規定(法88条)
 ・法6条1項一号~三号建築物には規制しているが、四号建築物には規制していない事項に注意。
 ・エレベータのみを増築する場合(法88条上段)、四号建築物への規定適用はない事に注意。
 ・主軸は、建築確認や検査規定の対象(準用)となる工作物を令138条に列記していることです。
 ・具体的数値が列記されていますので、出題がしやすいという事もあると思います。
   一号:高さが6mを超える煙突
   二号:高さが15mを超える鉄筋コンクリート造の柱、鉄柱、木柱その他これらに類するもの
   三号:高さが4mを超える広告塔、広告板、装飾塔、記念塔その他これらに類するもの
   四号:高さが8mを超える高架水槽、サイロ、物見塔その他これらに類するもの
   五号:高さが2mを超える擁壁

◇重要事項②:用途変更(法87条)
 ・用途変更の規定では、完了検査はなく、建築主事への「完了届」に読み替える部分が重要です。
 ・従って、確認検査機関への検査等の手続き申請は、存在しないのです。
 ・あくまで、建築主事への「完了届」なので、一方通行の手続き規定です。
 ・1級建築士試験では、時々、見うけられる設問の部分です。
 ・用途変更の規定は、ひょっとすれば、トレンディーな分野かもしれないので、注意です。

◇重要事項③:罰則規定(主に、法98条、99条)
 ・工作物の規定同様に、法6条一号~三号建築物と、四号建築物での対応が異なる部分があります。
 ・法20条(構造規定)違反で、一号~三号建築物は3年以下の懲役300万円以下の罰金(法98条1項二号)です。
 ・四号建築物の場合は、1年以下の懲役100万円以下の罰金(法99条1項八号)です。
 ・罰則規定は、どの部分から出るのか読み難いですが、一読で理解できる部分ですので、法令集の検索スピードを高める訓練が重要です。

2020年5月11日 by SHRS(シュルズ)一級建築士、建築基準適合判定資格者
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2020年度・二級建築士受験ブログ講座「建築法規」Vol.18:防火地域等

2020-05-10 09:03:32 | ビジネス・教育学習

◇出題傾向分析:過去問からの出題傾向は3つ
 (1)法27条の特殊建築物の防火規制との混合問題で、法27条の規定の方が厳しく、優先される。
 (2)防火地域をまたがる場合を含めて、防火地域内建築物の建築可能性の是非を問うてくる。
 (3)法改正で条文の位置が変わっていますが、法令集参照ですぐ理解できる部分の出題が多い。

◇重要事項①(法27条、別表第1):特殊建築物の防火規制
 ・法27条:別表第1の建築物は、原則、耐火構造、又は特定避難時間に基づく準耐火構造を要求。
 ・ただし法改正により、基本的に、3階建200㎡未満のものは、規制対象から除かれる。
 ・その中で、(2)項の用途で宿泊施設を有するものは、警報設備を設けたものに限定している。
 ・特定避難時間に基づく準耐火構造の具体仕様については、告示255号で明示している。

◇重要事項②(法61条、令136条の2第一号):防火・準防火地域内で、耐火建築物(延焼防止建築物を含む)を要求する場合。
 ・防火地域内:3階建以上、若しくは100㎡を超えるもの。
 ・準防火地域内:4階建て以上、若しくは1,500㎡をこえるもの。
 ・地域を跨ぐ場合(法65条):建物が建つ位置で判断し、防火地域(厳しい方)の規制を受ける。

◇重要事項③(法61条ただし書き~法64条)
 ・法61条ただし書き:高さ2m以下の門、塀が木造でも建築できる。
 ・法62条:屋根に「令136条の2の2」に定める基準に適合する防火性能を有する構造を要求。
 ・法63条:防火・準防火地域内の隣地境界線に接して設ける外壁には、耐火構造を要求。
 ・法64条:看板等で屋上に設けるものはすべて、地上であっても3mを超えるものは、不燃材料を要求。

◇重要事項④(令136条の2):法改正により性能表現の規制が追加されている(ある意味の緩和策)。
 ・既存不適格を作らないという今回の法改正の趣旨への理解が前提にある。
 ・性能表現の追加に伴い、規制の記載場所が法律から政令に移動していることに注意。
  ⇒令136条の2第一号 イ:耐火建築物(従来の仕様表現)
  ⇒ 同・ロ:耐火建築物相当の延焼防止時間以上のものが延焼防止建築物(性能表現)。
  ⇒令136条の2第二号 イ:準耐火建築物(従来の仕様表現)
  ⇒ 同・ロ:準耐火建築物相当の延焼防止時間以上のものが準延焼防止建築物(性能表現)。

◇重要事項⑤(告示194号):旧法の法令に記載されていた事項が、告示へと移行していることに注意。
 ・告示194号第2第二号
  ⇒防火地域内で100㎡を超える機械製作工場は、耐火建築物でなくてもよい(H27出題)。
 ・告示194号第4第一号
  ⇒準防火地域内で3階建500㎡以内は、耐火・準耐火建築物でなくてもよい(H30、H27出題)。
 ・告示194号第7
  ⇒防火地域の2mを超える門、塀は、不燃材料で覆う。
  ⇒準防火地域の木造建築物附属の2mを超える門、塀は、不燃材料で覆う(H28出題)。

2020年5月10日 by SHRS(シュルズ)一級建築士、建築基準適合判定資格者
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2020年度・二級建築士受験ブログ講座「建築法規」Vol.17:日影規制

2020-05-09 08:57:22 | ビジネス・教育学習

◇出題傾向分析:過去問からの出題傾向は、3つ。
 (1)別表第4の用途地域別に、制限を受ける建築物の規模に関する問題が主軸。
  ・制限を受ける軒の高さは、令2条1項七号に基づく地盤面からの高さである。
  ・要求する日影図は、(は)欄に掲げる平均地盤面からの高さの水平面である。
  ・平均地盤面は、別表第4の最下欄で当該建築物が周囲の地面と接する平均水平面としている。
  ・これらの用語の意味を理解したうえで、別表4の規制内容を把握する必要がある。
 (2)日影規制対象地域では、北側斜線制限を適用外としている。
  ・北側斜線制限規定(法56条1項三号)のかっこ書きで、適用外とする地域を指定している。
  ・法56条の2第1項、別表第4の表の2項(第一種中高層住専、第二種中高層住専)とある。
 (3)法56条の3第3項:敷地が道路、川などに接する場合、日影規制の境界線を緩和している。
  ・道路、水面などが、10m以内の場合には、その幅の1/2だけ緩和される。
  ・10mを超える場合は、5mの線までを緩和するとしている。

◇重要事項①(法556条の2第1項、別表第4):日影規制による中高建築物の制限規定の把握。
 ・(い)欄の用途別に、(ろ)欄の規制規模、(は)欄の日影位置を把握する。
 ・そして地方条例に基づき、(に)欄の日影の規制時間を選択するという手順になる。
 ・設問事例:○○地域内の軒の高さ〇mを超える階数が〇以上のものは日影規制を適用する。
 ・別表第4の表を参照すれば、直ぐに回答できると思っています。

◇重要事項②(法56条1項三号):北側斜線制限を適用しない日影規制区域の把握。
 ・法56条1項三号(北側斜線):第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域は対象。
 ・ただしかっこ書きで、別表第4の2項に規定する(1)(2)(3)の指定区域は除くとしている。
 ・すなわち、地方条例に基づき、日影規制対象区域として指定された、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域は、北側斜線の対象外という事になる。

◇重要事項③(法56条の2第3項):日影規制の測定境界線の緩和の把握。
 ・原則、道路境界線が日影規制の測定基準線であるが、緩和条件もある。
 ・令135条の12第3項一号(水平方向の測定線の緩和)
  ⇒幅が10m以内の道路、水面等がある場合、その中心線まで境界線が外側にあるとしてよい(1/2緩和)。
  ⇒幅が10m以上ある場合、5m先まで境界線が外側にあるとしてよい(5m緩和)。
 ・令135条の12第3項二号(垂直方向の測定面の緩和):隣地等との宅盤が、1m以上低い場合。
  ⇒1mを減じた数値の1/2まで、平均地盤面を高くして日影規制を計算してもよい。)

◇その他、出題事例がある事項にも、注意する必要がある。

2020年5月9日 by SHRS(シュルズ)一級建築士、建築基準適合判定資格者
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2020年度・二級建築士受験ブログ講座「建築法規」Vol.16:高さ制限(道路斜線等)

2020-05-08 08:37:29 | ビジネス・教育学習

◇高さ制限の問題は、道路斜線制限の図形計算問題に終始していると言っても過言ではない。
◇過去6年間でH28年だけ、図形問題に加えて、日影規制と併せての5択式問題が出ています。
◇道路斜線制限の問題も、建物後退緩和と2面道路との複合要素での問題が主軸です。
◇また、計算用の道路幅について、水面等の要素が、計算用道路幅として加えられて計算します。
◇北側斜線との複合問題の場合もありますが、北側斜線が正答になったのは、H27年一度だけです。
◇注意すべきは、北側道路斜線と、北側斜線とを、混同しないことだと思います。

◇重要事項①(法52条2項):道路斜線計算で、建物後退緩和がある。
 ・道路境界線から建物後退がある場合、その距離分だけ、反対側の境界線も後退して計算します。

◇重要事項②(法56条6項、令132条1項):2面道路の斜線制限の計算用道路幅の理解。
 ・当たり前ですが、広い道路に面する部分は、広い道路幅で斜線制限を計算します。
 ・狭い道路に面する部分は、広い道路幅で計算する部分と狭い道路幅で計算する部分とがあります。
 ・狭い道路に面する部分で、広い道路幅で高さ制限を計算できる要件は、次の二つ。
  (1)広い道路幅の2倍以内、かつ、35m以内の範囲にある部分。
  (2)この範囲になくとも、狭い道路の中心線から、10mを超えている部分。
 ・従って、狭い道路に面していても、そのほとんどは、広い道路幅での計算となることが想定できます。

◇重要事項③(法56条6項、令134条1項):水面等に面する場合の計算用道路幅の理解
 ・敷地に接する道路の反対側に、水面等がある場合は、その部分も道路幅としてみなしてよい。
 ・2面に接する敷地の狭い道路に面する部分も、広い道路幅で算定できる場合は、水面等を含んだ道路幅とすることができる。

◇重要事項④(令135条の2):道路と敷地に高低差がある場合の補正計算の理解
 ・道路斜線制限の計算では、計算の起点が、道路中心線の路面上にある。
 ・建物の高さの算定は、敷地の地盤面からである。
 ・従って、路面と地盤面に高低差がある場合、その補正計算を必要とする。
 ・その場合、高低差が1mを超える場合、1mを減じたものの1/2を、高さ計算から控除できる。

◇重要事項⑤(法56条1項三号):北側斜線制限の計算方法の理解
 ・北側斜線制限に、建物後退緩和はない。
 ・北側に道路がある場は、北側の道路斜線制限と、北側斜線制限の2種類のチェックが必要。
 ・その時の注意点は、水面等がある場合。
  (1)道路斜線の水面等の扱い(令134条1項):水面の反対側の境界線とする。
  (2)北側斜線の水面等の扱い(令135条の4第1項一号):水面の1/2だけ外側を境界線とする。
  (3)なお、北側斜線では、水面等への緩和があっても、公園への緩和がないことに注意する。
   ⇒H27年の問題を参照すれば、そのことを理解できると思います。

◇重要事項⑥(法56条1項二号):時間に余裕が無ければ、隣地斜線制限は計算しなくてもよい。
 ・基本的に、二級の試験問題において、隣地斜線制限で規制された出題例はない。
 ・垂直方向に20mの距離をとってから、建物後退緩和があり、斜線勾配の計算をします。
 ・概念的に考えても、斜線制限規制にかかるような建物が出題されることは、考えにくい。

◇今後の重要と推察できる事項
 ・建物後退距離算定の特例(令130条の12)
 ・暫く、宅盤差のある敷地の出題がないことが気にかかる。
 ・建物の最高高さ限度は、地盤面から計算する。
 ・道路斜線制限では、道路の中心線の路面を起点として高さ計算をする。
 ・すなわち、宅盤差の補正計算を必要とすることです。

2020年5月8日 by SHRS(シュルズ)一級建築士、建築基準適合判定資格者
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